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「おおさか維新」の勝利に関する考察

〝圧勝″の要因を探る

大阪府知事と市長選挙のダブル選挙では、「おおさか維新の会」の圧勝という結末でした。事前の調査などでは、特に大阪市長選挙の方では反維新陣営が優勢との報道もありましたから、選挙戦における維新陣営の勢いは相当なものだったということです。この圧勝の要因は何か、日本の政治の行き先を鑑みるために、しっかり咀嚼したいと思います。

多くの識者がこのW選挙の考察をブログなりで発表しています。その中で一番わかりやすくすとんと落ちる説明をしてくれるのが国際政治学者の三浦瑠璃さんの分析です。長文ですから抜粋しますが、今回のW選挙維新勝利の要因で次の点を指摘します。
維新への評価には個別の政策を離れた社会文化的なものがあるように思います。それはトップダウンの意思決定スタイルであり、議論を尽くしたならば決をとるという原則主義です。個別の既得権集団に事実上の拒否権を認め、強い反対が存在する限りは現状維持がまかり通ってしまう、「ムラ社会」への不満です。
(中略)
都構想をめぐる住民投票で前面に出された統治機構改革の原則論や、詳細な行政的論点ではなく、維新が設定した強烈なメッセージ=ポリティクスが奏功したのです。

それは、改革を前に進めるか戻すかであり、かつての大阪市政に戻していいのかということであり、都構想にもう一度挑戦するか否かということでした。
確かに、「ムラ社会」に対する普通の市民の反発が強いことは、私もよくわかります。一部の人だけが得をしているように見えるのです。それと維新のスタイル、確かに分かりやすいと思いますが、それが対立や罵詈雑言を浴びせなければいけないことなのか、そこは理解に苦しむところです。

私は、この三浦さんの分析と合わせて注目するのが、維新は空中戦頼りに見えるけれども、実は「どぶ板」選挙にも徹底して力を入れて来た、ということです。私の周りの話でも新聞記事でも確認できますが、大阪府下の地方議員100名以上に国会議員とそのスタッフ、さらに支援者を総動員していわゆる「どぶ板」を徹底的に行い、電話かけから街頭活動に至るまで、しっかりとやりきっていました。対する反維新連合も、同じく組織戦を展開したようですが、同じ物量合戦になれば、メッセージ力が強い方が上回るのが世の常です。

大阪の圧勝と全国の温度差 大阪はスコットランド化するか

今回のW選挙で、大阪では維新の力は衰えていないことが示されました。一方で、この強さは大阪とその近隣に限られていることが大きな特徴です。私が目にした世論調査では、自民党支持率は全国的に20%から40%、対する民主党支持率は関西以外の北海道や愛知などでは10%から15%前後で一部で自民党に拮抗(兵庫県民には信じられない!)、維新の支持率は1%から5%程度です。一方で関西では、自民党とおおさか維新の支持率は20%前後で拮抗、民主党は共産党や公明党と5%前後で競い合う様相です。要は、大阪と関西のごく一部でのみ、「おおさか維新」の威力が示されているという状況です。

ここで想起されるのが、今年イギリスで行われた総選挙で、スコットランドの地域政党とも言えるスコットランド国民党が、スコットランド地域の議席をほぼ独占し、前回の6議席から56議席に躍進をしたことです。イギリスは、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、スコットランドの四つの国がひとつになった王国です。イギリス下院(庶民院)650議席中59議席がスコットランドに割り当てられています。そのうち56議席をスコットランド国民党が獲得したわけです。

ちなみに、前回2010年のイギリス総選挙においては、保守党、労働党に続く第三党はクレッグ党首率いる自由民主党で、57議席を獲得して第三極の地位を確立し保守党との連立政権を組みました。それが2015年には8議席と惨敗をしています。第三極が政権に入る、ないしすり寄ると消滅すると言われる一つの例と言えるでしょう。

「おおさか維新」が大阪に特化しスコットランド国民党化して勢いを維持するか、イギリス自由民主党化して一時の春を謳歌するか、今後の舵取りが注目されます。

政治の関心を喪失させてはいないか

今回のW選挙の投票率は、大阪市長選挙50.51%、大阪府知事選挙が45.47%でした。前回(2011年)W選挙は、市長選挙が60.92%、知事選挙が52.88%でしたから、市長選挙で10%ダウン、知事選挙で7%ダウンとなり、前回より関心が薄れたとも言えます。しかし、その前と比べると、市長選挙(2007年。平松市長誕生)は43.61%で7%多く、橋下さんや維新の登場が投票率を高めはしたけれども、前回2011年が熱狂のピークであったと見ることが出来ます。2005年の郵政選挙、2009年の政権交代選挙、そしてこの大阪W選挙。熱狂とワンイシューで注目をひいた手法が派手すぎたために、有権者が政治から離れていくことは一番好ましいことではありま せん。この嵐が過ぎた今こそ、民主主義は地に足をつける時と思います。

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