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2011年の経済や株価について(1)

日経平均が11月に反転して以来、強気な意見が日に日に増えてきています。証券大手各社の2011年度の株価予想が、その強気の見方を後押ししていることは間違いありません。

2011年の高値予想では、日興コーディアル証券が13000円、みずほ証券が12650円、大和総研とドイツ証券が12500円、野村証券やゴールドマン・サックス、メリルリンチ日本証券などが12000円と、いずれも2010年の高値11408円を上回っています。

これらの見通しの背景には、米国の景気回復への期待感があります。どうしてそんなに楽観できるのか、私には不思議に思えてなりません。米国の実体経済を決める大きな要素は「雇用と住宅市場」であって、そのどちらも将来の見通しが芳しくないからです。

雇用については、米国の2010年の失業率は9.5%〜9.9%で推移していますが、直近の11月の失業率は9.8%と高止まりしています。毎月継続的に雇用者数が15万人前後は増えない限り、人口が増え続けている米国では失業率が大きく下がることはありません。

2010年の雇用統計では、平均して8.6万人/月で雇用者数が増えている計算になっていますが、国勢調査による雇用増を考慮すると、7万人/月を割り込んでしまうのが実情です。2008年と2009年の2年間で雇用が800万人以上も減少しているのに、国勢調査による嵩上げ分を入れても86万人しか雇用が増加していないのは、回復が緩慢すぎると言わざるをえません。

おまけに、私が危惧しているのは雇用の質が悪化していることです。11月の雇用統計では雇用者数は前月比で3.9万人増加しましたが、11月は人材派遣が前月比で4万人も増えています。人材派遣の雇用増加は夏場以降、顕著になりつつあります。

米国企業は今、必死に正社員を減らし、派遣社員を増やそうとしています。米国経済は雇用面でも「日本化」が着実に進んでいるのです。将来に不安を抱える派遣社員が消費を控えることは、日本の「失われた20年」を見ても明らかです。GDPの7割を占める個人消費が増えない限り、米国経済の本格的な復活はありえません。

住宅についても、明るい見通しは立てられません。6月以降の中古・新築の住宅販売件数は歴史的な低水準で推移したままですし、ケース・シラー住宅価格指数は2009年の4月〜5月で底を打ってから少しずつ戻してきていましたが、8月を境に下落の兆しを見せ始めています。住宅価格の低迷により、家計のバランスシートは依然として悪く、この状況はそう簡単には改善することができません。家計の借金返済にまだまだ時間がかかりそうです。

さらに米国には、もうひとつの懸念が浮上する見通しです。米国では政府債務の上限が14兆3000億ドルに定められています。ブッシュ減税を延長すれば、2011年半ばにはその上限を突破するために、上限引き上げが議論されるのは避けられません。

仮に政府債務の上限が引き上げられれば、欧州の高債務国に加え、米国も投機マネーの標的になりかねません。だから、2011年中に米国が財政再建路線に転換する可能性はかなり高いと予想されます。

よって、米国の実体経済は恐らく2011年の後半から弱含み、2012年〜2013年までは厳しいだろうと見ています。確かにFRBの量的緩和によるドル安の恩恵で、大企業は輸出が増え業績が回復しています。しかし、大企業は収益の増加分を以前のように国内の労働者に還元していないので、消費は思うようには回復しないでしょう。

実体経済の回復なくして、本格的な株価の回復も考えられません。現在のような金融相場は、続いても春先までだと思います。

この続きはまた次回で述べたいと思います。

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