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エネルギー資源 日ロ協力はどこまで可能か!

日本に「勇気ある決断」を促す
国際会議で訪日のプーチン大統領側近

過日、ロシア最大の国営石油会社「ロスネフチ」会長でプーチン大統領の側近中の側近、事実上のNO2ともいわれるイーゴリ・セーチン氏の講演を聞いた。この中でセーチン氏は「われわれは既に様々なプロジェクトを日本に投げ掛けている。日本は今こそ勇気ある決断をすべきだ」とシベリア開発などに対する日本への期待を強く表明。来年以降に延期されたプーチン大統領の訪日に関しても「日ロ間にはたくさんの問題があるが、実現すればロシアと日本は戦略的パートナーの基礎を築くことができる」と早期実現の必要性を語った。

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講演するイーゴリ・セーチン氏

 日本滞在中、誰と会見したのか、定かな情報はないが、セーチン氏がシベリアの石油や天然ガスなど天然資源の売り込み先、さらに開発のパートナーとして、日本に熱い視線を注いでいることは素人目にも十分、実感できた。

 セーチン氏は11月6日、日本財団の姉妹財団、笹川平和財団・海洋政策研究所が開催した「日露間のエネルギー協力に関する国際会議」で基調講演、その後のパネルディスカッションにも上田一洋・経済産業審議官らとともに出席した。会場となった平和財団国際会議場に駐日ロシア大使館関係者らと現れ、詰め掛けた日本の企業関係者らと握手した後、「日露エネルギー協力の将来」のテーマで約20分間講演した。メモを見ながら話す声は低く、 “豪放”なイメージを持っていただけに意外な感じも受けた。

 公演ではまず油価が暴落している現状について、価格が高いシュールガスの競争力が低下する結果を招いている、とするとともに、「油価は5、6年で元に戻る」との見通しを披露、エネルギー資源の90%を中東に頼る日本について「ロシアに対する関心は依然低い。もっと投資が増えてもいいのではないか」と疑問を呈した。

その上で日ロ間の距離的な近さやロシアの豊富な資源と日本のハイテクが結びついた場合の強みなどを強調、「現在、東シベリアのエネルギー資源の大半は中国に行っているが、今後、原油、天然ガスとも生産量が大きく拡大する。日本向けを大幅に増やしたい」、「日本の企業に資本参加してもらい、両国のエネルギーブリッジを軸に日ロ関係を強化したい」、「今、決断しても実現するのは5,6年先。急いでほしい」などと語った。

サハリン(樺太)に火力発電所を建設、海底ケーブルで北海道に輸出する“電力構想”に関し「法が未整備で現時点では無理だが、将来、実現すれば北海道の経済発展、環境負荷の削減につながる」といった発言も。

全体に日本の前向きで早急な対応を強く促す内容で、上田審議官もエネルギー資源の調達先を多様化するのが今後の日本の課題とした上で、「遅くなっても、しないよりまし」とのロシアの諺を引用、「エネルギー大国・ロシアは日本にとって欠くことのできないパートナー」と語った。

筆者はエネルギー問題や日ロ関係に不案内だが、何事も一極に集中する傾向が強い日本の安全保障にはかねて危機感を持っている。政治、経済など国のあらゆる中枢機能が首都圏に集中している現状はどう考えても危険である。狭い地域に人口の4分の1が集中する現状は、防衛上は言うまでもなく、ひとたび大地震による大津波や巨大台風に伴う大高波に襲われれば国の機能全体がマヒする。

エネルギーも然り。かつてこの国は、連合国側の対日包囲網によるエネルギー不足を打開するため戦争の道を選び国を崩壊させた。安定的に資源を確保する態勢の確立こそ敗戦から得た教訓であったはずだ。シベリアや北極海に眠る膨大な資源利用が現実性を増す中で、エネルギー安全保障も当然、見直されていい。

確かに日ロ間には北方4島返還などいくつかの難問がある。乱暴に言えば、戦後70年間、「4島一括返還」を求める日本と「領土問題は存在しない」というロシアの主張が噛み合わぬまま推移してきた。

国と国との交渉、特に領土問題のような、国の主権にかかわる問題を一挙に解決するのは難しい。個人としては、4島が日本の領土であるとの主張を堅持しつつ、まずは2島返還を実現、段階的に解決を図るのが現実的な選択肢と考える。一括返還にこだわり続ければ、その分、解決の道は遠のくと思う。

中東から輸入には距離だけでなく、マラッカ海峡を中心にした海賊問題、さらに最近は海洋覇権に向けた中国の動きなど新たな問題もある。再生可能エネルギーの開発などに積極的に取り組むは当然として、資源の確保先の分散・多様化は最早、避けて通れないテーマだ。

セーチン氏は講演で日本の資金、技術に対する期待をきわめて率直に語った。ウクライナ問題でのヨーロッパ諸国との対立、エネルギー価格の下落に加え、中国への売却でも買い叩かれている面があると聞く。そうした事情を抜きにしても、シベリアや北極海のエネルギー資源が日本にとって不可欠となる時代が遠からず来ると思う。しばし、政府の対応に注目したい。(了)

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