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「修正案によって安保法案は確実にベターなものになった」~松田公太氏が振り返る安保国会と元気会の今後

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9月に大きな混乱の中で成立した安保関連法制。修正案を提出した日本を元気にする会など、野党3党は、自民・公明両党と修正協議を行い、政府原案の採決に際して修正案の内容を附帯決議・閣議決定することで与野党5党と合意し賛成票を投じた。反対から修正へと立場を変えた日本を元気にする会(以下、元気会)の対応は、賛成・反対の両陣営から批判を受けた。今回修正案を提出した経緯について、代表を務める松田公太氏に話を聞いた。【取材・文:永田 正行(BLOGOS編集部)】

法案通過時の本会議場で“本気”だったのは元気会と共産党だけ

-安保法案の採決をめぐっては、混乱が見られました。反対する野党が議長席に迫り、それを与党議員が食い止めるなど、もはや議論としての体をなしていませんでした。何故、国会においてあのようなことが起きるのでしょうか?

松田:私の感覚では、あれは完全にパフォーマンスだと思います。「俺たちはこれだけ必死になって抵抗しているんだ」というイメージを作るためにやっていたのでしょう。ただ、最近は、それも国民に見透かされ始めていると思います。

採決の日には大雨が降る中、SEALDsをはじめとする様々な団体のメンバーだけでなく、老若男女問わず多くの方々が国会の周囲に詰めかけて「反対だ!反対だ!」と言い続けていました。本会議の合間に議員会館に戻って待機する時間などもあり、何度か議事堂と会館を行き来しました。その際に、国会の周囲で抗議活動をしている人たちの声が聞こえるわけです。安保法制に反対している人たちは、「民主党にエールを送ろう」「野党頑張れ!」というようなことを言っていました。

そうした声を聞いて、私はとても心苦しくなりました。何故なら、実際の本会議場は、グダグダというか、笑いながらジョークを飛ばしている議員もいるなど、ほとんど緊迫感がなかったからです。壇上で涙を流しながら演説していた人もいましたが、自席に戻ればもう軽口を叩いていました。勝負が見えていたということもあったのかもしれませんが、みんなで茶化しあっているような状況だったのです。

必死だったのは、我々元気会と共産党さんぐらいだったと思います。それに対して、“第一野党”の人たちはそうでもなかったなというのが、正直な印象です。外で雨に濡れながら、風邪を引くかもしれないのに頑張っている人たちに対して、同じ国会議員として申し訳ないと感じました。

-確かに報道では、参院審議の混乱の直後に与野党の中心人物が議場で談笑している写真などもありました。

松田:国会中継のマイクは、発言者の声以外のヤジなどを拾いません。ですから、視聴者の皆さんには伝わらなかったかもしれませんが、本会議場は笑いにあふれて、みんな楽しそうな雰囲気でやっていました。正直、私は怒りを感じたものです。

死に物狂いで修正案を調整していた我々元気会は、両サイドからバッシングを受けました。今回の安保法制に反対の人たちからは「お前らは裏切り者だ」「タリーズコーヒー不買運動だ」「落選運動だ」と言われましたし、賛成の人たちからも「余計なことをするな」「あのまま通せばいいじゃないか」「附帯決議でガマンしろ」と言われ散々でした。両サイドから叩かれながらも真剣にやっていたのは我々だけだったと、今でもそう思っています。

―修正協議は最終的に、自民、公明、元気会、次世代、新党改革の間でまとまりました。この間の経緯は、どのようなものだったのでしょうか。

松田:私たちが“入口論”と呼んでいる国会の事前承認については、以前から新党改革の荒井広幸さんと「こういうものが必要ですよね」という話をしていました。そこでさらに、荒井さんに、「事前承認という入口だけじゃなくて、途中の監視(中口)と事後検証(出口)も必要ですよね」と話したところ、「わかりました。それでいきましょう」ということになり、まず、元気会と新党改革で握手をしました。

その後、分け隔てなく呼び掛けようということで、全政党に話をしにいきました。民主党や共産党にも声を掛けました。そうした中で、次世代の党だけが賛同を示したというわけです。「今の安保法案じゃ生ぬるい。もっと政府の権限を強化すべきだ」との主張をされていたので、国会の権限を強める我々の案に乗ってくれたのは意外でしたね。

-今回の安保法制をめぐる議論において、元気会が果たした役割、成果をどのように考えていますか。

松田:最近の国会では、特にそうした傾向が顕著なのですが、イデオロギー的な部分が強く出てしまって、どうしても右だ、左だの論争になってしまいます。政府案の良いところを残しつつ、改善策を考えるというような議論がなかなか起こらない。常に賛成か反対かの二元論になってしまうのは、国民にとっても良くないことだと思っています。繰り返しになりますが、この修正案というのは絶対に「ベスト」ではありません。しかし、確実に「ベター」なものだと考えたのです。

そもそも私は、ブログなどでも明らかにしているように、昨年の解釈改憲の時から、集団的自衛権については、一部行使できるようになればいいと表明していました。例えば日本の領海で、日本を防衛するために来ているアメリカの艦船がミサイル攻撃を受けるようなことがあったら、それを助けられないのは問題だからです。このような範疇に収まるものであれば、行使容認は賛成できると考えていたのです。ところが、今回の法案の中身を見てみると、「存立危機事態」という新しい概念が作られ、ホルムズ海峡のケースのように、 “一部”を超える行使もできる内容だったのです。ここまでやるのであれば、憲法改正すべきだという考えから反対に回ることに決めました。

このような流れで、野党の党首会談にも参加したのですが、一貫して言ってきたのは、「修正案を出します」ということでした。法案が衆議院を通過して参議院に来ましたが、「60日ルール」があったため、成立を阻止することは事実上不可能な状況でした。であれば、この60日間で出来ることは何か。それを考えたときに決断したのが政府案を修正するということでした。「修正案を出して、それに与党が乗ってくるようであれば、私は賛成に回ります。そうなれば、野党会談には出られないかもしれません」と断りを入れ、「それでもいいから」ということだったので出席していたのに、修正案が動き始めると、野党から「寝返った」と言われるようになったわけです。

民主党の枝野さんと一緒にラジオ番組に出演したことがあったのですが、その時にも「あなたたちがやっている修正案や閣議決定には意味が無い」「絵に描いた餅だし、騙されているんだ。擦り寄っているだけじゃないか」くらいのことは言われました。ところが、最近、枝野さんも、岡田さんも街頭演説で「今回の安保法案には、歯止めがしっかりあるんだ。衆参両院で決議を取らなければ、存立危機事態として、集団的自衛権を行使出来ない。だから、我々に次の選挙で勝たせてくれ。参議院で抑えさせてくれ」と言い出している。

正直、「ふざけるな」と思いますし、こういうところに民主党の姿勢が表われていると感じます。彼らは「反対」と言うしかない。だからこそ「もうちょっと、ここを直せばなんとかなるのに」という部分があったとしても見て見ぬフリをするのです。先ほども言いましたが、私は民主党にも共同提出を呼びかけました。最大野党である民主党が協力してくれれば、もっと修正できる部分が広がる可能性があったからです。ところが、「何を言ってるんだ。廃案しかないんだ」と言い続けた。そして最後は、衆議院でのプラカードに続いて、参議院での体を使った抵抗です。失礼かもしれませんが、あれでは国会議員である意味がないと思います。

SEALDsのような活動は素晴らしいですし、よく頑張っていると思います。しかし、それと同じことしかしないのであれば、議員の職責を果たしたことになりません。廃案のアピールに終始し、議論を放棄するようなことは許されないのです。

-そうした状況の中で、少数野党でありながら修正を勝ち取った意義は大きいと?

松田:大きな変化をもたらしたと思います。先程、現在では民主党も認めていると言いましたが、冷静になれば誰が見ても絶対に「この修正案があってよかった」と思うでしょう。今回の安保法案の一番のポイントは、「存立危機事態」という集団的自衛権行使の新しい概念が出てきたことです。これに例外なく国会の事前承認を義務付けることができたというのは、歴史的にも非常に大きな意義があるのではないでしょうか。

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