記事

CBPP2やLTROがもたらす効果とは・・・?

為替千里眼、3連休中日、比較的穏やかな陽気に恵まれ、絶好の行楽日和になっていると思いますので、マーケットに携わる皆さんもしっかりと気分転換を行っていただきたいところではありますが、引き続き週明けのマーケットも楽観的になれるような状況ではなく、先週末に再燃したイタリア・スペインの格下げ、ベルギーの格下げ懸念などの新たな欧州懸念材料を背景に海外勢がどのような反応を示すか注目されるところです。先週末の焦点であった米雇用統計に関しましては、前回の更新記事のようにヘッドラインこそ市場予想を上回る好結果となりましたので、週明け早々から回避動意懸念が台頭するような展開にはなりにくいかと思いますが、今週はフィンランドに続き台風の目となりうるスロバキアのEFSF拡充に伴う議会投票などが予定されておりますので、引き続き欧州絡みの話題に振り回されそうな予兆は感じつつあります。

先週は、RBAをはじめECBやBOE、BOJなどが政策金利を発表いたしましたが、やはり世界的な景気後退観測、そして債務危機問題などを背景に一段と緩和姿勢を強める結果となったことは言うまでもありません。BOEに関しましてはアセットパーチェッスの規模を従来の2000億GBPから2750億GBPへ拡大、そしてECBに関しましては、政策金利であるリファイナンス金利を1.50%に据え置く一方、総額400億EURのカバードボンド買い入れ(CBPP2)を決定。さらには1年物の資金供給オペを10月と12月の2回実施すると発表し、金融機関に対して新たな救済措置を講じたことはご周知のとおりです。今後の焦点はこれらの非標準的措置に対する実際の政策効果の見極めという判断になってくるかと思いますが、実際にカバードボンドの買い入れやLTRO(リファイナンスオペ)がどのような効果をもたらすのは、なかなか把握しきれないところではありますので、この辺はしっかりと認識して、今後の市場の流れについていけるよう心がけたいところではあります。

CFTC IMM Positions(October 4, 2011)
JPY:Long60,867  Short17,405
EUR:Long18,104  Short100,801
GBP:Long14,929  Short83,653
CAD:Long22,713  Short38,395
CHF:Long 5,110  Short 6,219
AUD:Long35,937  Short23,026
NZD:Long12,929  Short 7,363

※先週データはこちら

先週は、米雇用統計ほか各国政策金利等のビッグイベントが控えていただけに、さほど大きなポジション変化は見られず、数字的にも水準的にも大きな変化は見られなかったというのが実情かもしれません。引続き円ロング、ユーロおよびポンドのショートという基調的な部分は変わらず、オージーロングが再び拡大傾向にある点はやや明るい話題かもしれませんが、全体的にはまだ積極的なリスクオンの状態とは程遠いところかと思います。先週でECB会合も終わり、ひとつの区切りができたのではないかと思いますが、現状ではECBの新たな措置が欧州の債務危機解決に十分と考える市場参加者はほとんどおらず、大方は年内のユーロ相場について弱気姿勢を崩していないのが実情ではありますので、現状10万枚規模に積み上がっているユーロショートが解消されるかどうかは非常に懐疑的であります。

US10Y Treasury Notes
リンク先を見る

短期的な下落トレンドのレジストは上抜いてきた米10年利回りで、目先の短期トレンドの半値戻し水準が2.45%前後まで余地を残していると捉えると、徐々にではありますが、利回りの上昇を背景としたドル円の上昇もわずかに見込める部分かもしれません。この債券利回りの下落については、米景気後退観測以上に欧州債務危機を背景とした安全資産への逃避といった側面が強いので、足元のマクロが軒並み改善に向かったとしても、欧州危機に対する新たな懸念が台頭するたびに債権買いの流れとなってしまうことから、必然的にドル円の上値も抑制されてしまう、というのが現状の流れです。今週以降、EFSF拡大やカバードボンド買取プログラムなどの開始といったユーロサイドも地合いを改善させる材料が出てくることから、少なくとも利回りはある程度上昇すると見込んでおりますが、この辺は非常に流動的ではありますので、その点を踏まえてクロスの方が妙味が高いのか、ストレートの方が無難なのかの判断を下したいと思います。

その今回決定したカバードボンド(CBPP2)の買い取りやLTROについての評価については、まだあまり評価されていない(逆に不透明という声はチラホラ)ところではありますが、カバードボンド買い取りプログラムついては、これをきっかけにカバードボンドの発行が再開されるとみられ、特にスペイン、イタリア、フランスなどにとってよい影響をもたらすものと思われます。400億規模のカバードボンド買取資金がどのように配分されるかは不透明(基本的には独以外のカバードボンドが購入される見込み)ではありますが、これによりユーロ圏の銀行による償還債務の借り換えが用意となり、足元のような資本不足懸念や流動性懸念などの問題は解決されるのではないかと思われます。合わせて、EFSFの拡大により銀行の大規模な増資が可能となるならば、従来よりも遥かに包括的になり、金融政策および非標準的措置の信頼性も高まると思われますが、既に1430億UERがギリシャやポルトガルなどの救済に使われているため、現状の4400億EURでは規模として少々心もとないところかもしれません。

CBPP2の形式に関する詳細は、次回11/3のECB理事会にて詳細が述べられる予定となっておりますが、今回のECB会合後の声明でも、従来あった「流動性は引き続き潤沢である」という件(くだり)は削除、インフレバイアスの継続を示す「我々は今後も全ての動向を非常に注意深く監視していく」という件も削除されており、既にECB内での強いインフレ抑制スタンスは剥落し、流動性という部分に軸足を置き換えてきた点が強く感じられます。声明でも「ソブリン・リスクの問題と銀行の資金調達ニーズの相互作用を勘案すると、銀行部門の状況は特に注意を要する」と述べられておりましたので、EFSF拡大の承認はもちろんですが、今後はソブリン債のレーティングはもちろん、欧州系銀行に対する格付けなどもまた意識されやすく、新たな懸念材料が突発的に出てくるケースが散見されるようになるかもしれません。次回会合まで詳細が掴みにくいところではありますので、それまでユーロは引続き不安定な展開を強いられる可能性が高いと踏んでおります。

では、夜の更新で次週「主要材料と展望」の更新をしたいと思います。

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    強行放送!緊急事態宣言下の24時間テレビは「ジャニーズ祭り」

    渡邉裕二

    08月04日 08:04

  2. 2

    中等症めぐり政府の揚げ足を取る毎日新聞 いい加減な記事を出すのは許されるのか

    中村ゆきつぐ

    08月04日 08:26

  3. 3

    コロナ禍で迷惑行為をするのは一部の人たち JR北海道も列車内での飲酒の自粛を呼び掛けよ

    猪野 亨

    08月04日 08:35

  4. 4

    北海道の医療崩壊を見た医師「来週から東京で多くの重症者が出てくるが入院できない」

    田中龍作

    08月03日 19:41

  5. 5

    「日本の携帯大手と正反対」ネトフリが幽霊会員をわざわざ退会させてしまうワケ

    PRESIDENT Online

    08月03日 16:00

  6. 6

    「横浜独立」で神奈川県は困らないの?-県と市はよきライバルに

    松沢しげふみ | 参議院議員(神奈川県選挙区)MATSUZAWA Shigefumi

    08月04日 08:36

  7. 7

    来るべき自動車産業戦国時代を勝ち抜ける日本がなぜEVなのか?

    ヒロ

    08月03日 11:52

  8. 8

    2020年に米国人平均寿命は03年以来の低水準、日本は逆に最長のワケ

    My Big Apple NY

    08月03日 22:17

  9. 9

    オリ・パラ後の新国立は誰のためのスタジアム? - 上林功 (追手門学院大学准教授)

    WEDGE Infinity

    08月04日 09:49

  10. 10

    二階幹事長“首相の続投望む国民多い”発言に「どこの国?」「幻聴では」と失笑の嵐の異論」

    女性自身

    08月04日 09:50

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。