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- 2015年11月18日 07:07
「自由な働き方」のあれからと「文化系で食べる」のこれから 金に支配されないために稼げ
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朝食というものは、村上春樹風に言うと「小さくても確かな幸せ」なんだと思う。散歩の途中に、近所のおしゃれカフェで食べるこのモーニングも、早起きして炊くお米に納豆をかけて食べるのも、それぞれ好き。
リンク先を見る自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術 [単行本(ソフトカバー)]常見 陽平日本実業出版社2013-01-26
『自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術』(日本実業出版社)という本を2013年の1月に出した。物書き、大学の非常勤講師、コンサル業などで働きつつ、院生をやっていた修羅場な時期に出した本だ。重版はかからなかったが、評価は高かったし、一部の書店ではベストテン入りした。久々にレビューをみてびっくりした。めちゃ好意的じゃないか。いや、手前味噌だが、その時のベストはつくしたし、なんというか、あたたかい本だと思う。
リンク先を見るエヴァンゲリオン化する社会 (日経プレミアシリーズ) [新書]常見 陽平日本経済新聞出版社2015-10-09
最新作のレビュー欄が激しく賛否を呼んでいるので。というか、評価が両極端なので。久々にレビューを読み返し、「なんてあったかいんだろう」と思った次第だ。
話を戻すと、その担当編集者である滝啓輔さんと久々にゆっくり話した。いや、ここ数ヶ月も何度も会っているのだけど、意識の高いホームパーティーや、ライブ会場などで立ち話ということが多く。実にゆっくり話をすることができた。ビジネス書界のカリスマ編集者である彼と仕事ができて、感激したのだった、あのとき。なんというか、すごいプロデューサーと仕事をするような気分だった。感謝。実に様々なことを話し合った。気持ちいい時間だった。
いっぱいインスパイアされたので、書きたいことはたくさんあるのだが、今日は「自由な働き方」の「あれから」と「文化系で食べる」ことの「これから」について書くことにしよう。
2012年の春、私は会社員をやめ、フリーランスになった。それまでもベンチャー企業に勤めつつ、かなり自由に働いていたわけで、それに近い感じだったのだが。ちょうどそのころ「ノマド論争」なるものがあった。・・・なんだか懐かしいな。
リンク先を見る冒険に出よう (U25サバイバル・マニュアル) (U25 SURVIVAL MANUAL SERIES) [単行本(ソフトカバー)]安藤 美冬ディスカヴァー・トゥエンティワン2012-11-29
『冒険に出よう』なんて本もあったな。安藤美冬さん、元気かな。「情熱大陸」にも「笑っていいとも」にも出ていたよね、彼女。
なんというか、そんな論争に巻き込まれたりしたんだけど(噛み付いたともいえる)、その後、「自由な働き方」はどうなったんだろう。今なら、より冷静に話せる気がする。
「ノマド」なんて言葉は言うのも恥ずかしくなったけれど、それは決着がついたのだとも言えるし、そういう言葉が必要なくなったのだとも言える。約3年前のあの頃ですら「時間、場所、所属にとらわれない働き方ができる環境が広がってきたゾ」なんて言われていたわけだが、いまはますますそのための環境が充実してきていると思う。フリーランスで食べるためのプラットフォームも多数登場したし。
一方で、本質は何も変わっていないように思う。人が人と働く、人が人から仕事をもらう(あるいは人が人と仕事をつくる)という(もっとも、広義の機械が発達してきていることも事実だけど)。
結局は、信頼関係だし、仕事を頼みやすいかどうか(何度も書いてきたが、これ大事、別にスキルが高いからといって稼げるわけではない)だし。そして、個人でできることはたかが知れている。
その頃の原稿を読み返していて思い出した。当時も今も「働き方」は話題になるわけだが、「ノマド論争」に代表されるように、それは個人の創意工夫による「働き方」改革がネット上で話題になっていた時代だと解釈している。
その後も「働き方」は話題になるのだが、あれから約3年の議論は個人レベルでの創意工夫だけではなく、国家レベルでの政策、企業レベルでの施策の話が盛り上がるようになったと解釈している、よくも悪くも。それは「働き方」のようで「働かせ方」だったりする。別にこれは、労働に関する、極めて基本的な法則であり、言うまでもないのだが、再確認しておきたい。
まあ、しょうもない牧歌的な論も多数あったわけだけど、ノマドというのはその象徴だったように思うけれど、そんなふうに論じられた当時は、それでも今ほど世の中がギスギスしていなかったのかな。
そんなことを考えていた時に、TBSラジオ「文化系トークラジオLife」のホームページをみたら、こんな超絶良企画が。
2015年11月16日(番外編予告編)「文化系で食べるためには」
http://www.tbsradio.jp/life/2015/11/20151116.html
いてもたってもいられず、番組にメールした。読まれるかもしれないメールをここで公開するのはアレなので、とはいえ、手短に書くが・・・。
「文化系で”食べる”」よりも「文化系で”生きる”」ことの方が大事であり、そのために「文化系”だけ”で食べない」ということが私が出した結論であり、決断したことである、と。
昨年の6月、NYからの帰国直後に「里山ウェブ」というテーマだったときに出演したのだが・・・。津田マガが成功している(と言われている)津田大介さんや、クリエイターのプラットフォームcakesの加藤貞顕さんなんかが出ていて、そういう会員制コンテンツで食うみたいな話なんかが出て、アウェイ感がいっぱいだったのだが・・・。
そのあと、みんな、食えた?
そこそこだと思うんだよね。
その時もcakesが提供するnoteで10数万稼いだライターがいるなんて話が出ていたと思うのだけど、お小遣いならいいけど、そこまで努力して10数万かって思っちゃったりする自分がいる。講演やコンサルなら数時間、いや1時間で稼げるお金を、そこまでしないといけないプラットフォームってどうなんだろう。食えていることになるんだろうか。
もっとも、金だけじゃないし、達成感って大事だし。
で、里山っていいつつ、その内輪感ってどうかなって思ったりする自分がいる。まあ、矢沢永吉クラスになると、その里山が富士山なみにでかくなっているわけだけど。ゲンロンカフェから出禁状態になったわけだけど、あそこが苦手だったのは、微妙な内輪感だったのだよね。で、私ってアウェイだなあと。
もっとも、文化系で食うっていうことは、よっぽど大御所になるか、あるいは貧しくてもそれで食っていくっていう覚悟がないとダメだなって思ったり。
何より、それから解放されるためには「文化系”だけ”で食わない」ってことだと思った次第なんだ。文化系以外の売上で、文化系なインプットもアウトプットもいっぱいできている。今のオレ、最高って感じだ。
何にしても、次々に新しいことに飛びつく世の中だけど、たまに立ち止まって振り返ってみることも大事だと思った41歳の朝。
まあ、金に支配されるために稼ぐんだよ。それもまた結論。
11月25日(水)の青木大和さんとのイベントでは、そのあたりも語り合うことにしようか。きてね。
朝食というものは、村上春樹風に言うと「小さくても確かな幸せ」なんだと思う。散歩の途中に、近所のおしゃれカフェで食べるこのモーニングも、早起きして炊くお米に納豆をかけて食べるのも、それぞれ好き。
リンク先を見る自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術 [単行本(ソフトカバー)]常見 陽平日本実業出版社2013-01-26
『自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術』(日本実業出版社)という本を2013年の1月に出した。物書き、大学の非常勤講師、コンサル業などで働きつつ、院生をやっていた修羅場な時期に出した本だ。重版はかからなかったが、評価は高かったし、一部の書店ではベストテン入りした。久々にレビューをみてびっくりした。めちゃ好意的じゃないか。いや、手前味噌だが、その時のベストはつくしたし、なんというか、あたたかい本だと思う。
リンク先を見るエヴァンゲリオン化する社会 (日経プレミアシリーズ) [新書]常見 陽平日本経済新聞出版社2015-10-09
最新作のレビュー欄が激しく賛否を呼んでいるので。というか、評価が両極端なので。久々にレビューを読み返し、「なんてあったかいんだろう」と思った次第だ。
話を戻すと、その担当編集者である滝啓輔さんと久々にゆっくり話した。いや、ここ数ヶ月も何度も会っているのだけど、意識の高いホームパーティーや、ライブ会場などで立ち話ということが多く。実にゆっくり話をすることができた。ビジネス書界のカリスマ編集者である彼と仕事ができて、感激したのだった、あのとき。なんというか、すごいプロデューサーと仕事をするような気分だった。感謝。実に様々なことを話し合った。気持ちいい時間だった。
いっぱいインスパイアされたので、書きたいことはたくさんあるのだが、今日は「自由な働き方」の「あれから」と「文化系で食べる」ことの「これから」について書くことにしよう。
2012年の春、私は会社員をやめ、フリーランスになった。それまでもベンチャー企業に勤めつつ、かなり自由に働いていたわけで、それに近い感じだったのだが。ちょうどそのころ「ノマド論争」なるものがあった。・・・なんだか懐かしいな。
リンク先を見る冒険に出よう (U25サバイバル・マニュアル) (U25 SURVIVAL MANUAL SERIES) [単行本(ソフトカバー)]安藤 美冬ディスカヴァー・トゥエンティワン2012-11-29
『冒険に出よう』なんて本もあったな。安藤美冬さん、元気かな。「情熱大陸」にも「笑っていいとも」にも出ていたよね、彼女。
なんというか、そんな論争に巻き込まれたりしたんだけど(噛み付いたともいえる)、その後、「自由な働き方」はどうなったんだろう。今なら、より冷静に話せる気がする。
「ノマド」なんて言葉は言うのも恥ずかしくなったけれど、それは決着がついたのだとも言えるし、そういう言葉が必要なくなったのだとも言える。約3年前のあの頃ですら「時間、場所、所属にとらわれない働き方ができる環境が広がってきたゾ」なんて言われていたわけだが、いまはますますそのための環境が充実してきていると思う。フリーランスで食べるためのプラットフォームも多数登場したし。
一方で、本質は何も変わっていないように思う。人が人と働く、人が人から仕事をもらう(あるいは人が人と仕事をつくる)という(もっとも、広義の機械が発達してきていることも事実だけど)。
結局は、信頼関係だし、仕事を頼みやすいかどうか(何度も書いてきたが、これ大事、別にスキルが高いからといって稼げるわけではない)だし。そして、個人でできることはたかが知れている。
その頃の原稿を読み返していて思い出した。当時も今も「働き方」は話題になるわけだが、「ノマド論争」に代表されるように、それは個人の創意工夫による「働き方」改革がネット上で話題になっていた時代だと解釈している。
その後も「働き方」は話題になるのだが、あれから約3年の議論は個人レベルでの創意工夫だけではなく、国家レベルでの政策、企業レベルでの施策の話が盛り上がるようになったと解釈している、よくも悪くも。それは「働き方」のようで「働かせ方」だったりする。別にこれは、労働に関する、極めて基本的な法則であり、言うまでもないのだが、再確認しておきたい。
まあ、しょうもない牧歌的な論も多数あったわけだけど、ノマドというのはその象徴だったように思うけれど、そんなふうに論じられた当時は、それでも今ほど世の中がギスギスしていなかったのかな。
そんなことを考えていた時に、TBSラジオ「文化系トークラジオLife」のホームページをみたら、こんな超絶良企画が。
2015年11月16日(番外編予告編)「文化系で食べるためには」
http://www.tbsradio.jp/life/2015/11/20151116.html
いてもたってもいられず、番組にメールした。読まれるかもしれないメールをここで公開するのはアレなので、とはいえ、手短に書くが・・・。
「文化系で”食べる”」よりも「文化系で”生きる”」ことの方が大事であり、そのために「文化系”だけ”で食べない」ということが私が出した結論であり、決断したことである、と。
昨年の6月、NYからの帰国直後に「里山ウェブ」というテーマだったときに出演したのだが・・・。津田マガが成功している(と言われている)津田大介さんや、クリエイターのプラットフォームcakesの加藤貞顕さんなんかが出ていて、そういう会員制コンテンツで食うみたいな話なんかが出て、アウェイ感がいっぱいだったのだが・・・。
そのあと、みんな、食えた?
そこそこだと思うんだよね。
その時もcakesが提供するnoteで10数万稼いだライターがいるなんて話が出ていたと思うのだけど、お小遣いならいいけど、そこまで努力して10数万かって思っちゃったりする自分がいる。講演やコンサルなら数時間、いや1時間で稼げるお金を、そこまでしないといけないプラットフォームってどうなんだろう。食えていることになるんだろうか。
もっとも、金だけじゃないし、達成感って大事だし。
で、里山っていいつつ、その内輪感ってどうかなって思ったりする自分がいる。まあ、矢沢永吉クラスになると、その里山が富士山なみにでかくなっているわけだけど。ゲンロンカフェから出禁状態になったわけだけど、あそこが苦手だったのは、微妙な内輪感だったのだよね。で、私ってアウェイだなあと。
もっとも、文化系で食うっていうことは、よっぽど大御所になるか、あるいは貧しくてもそれで食っていくっていう覚悟がないとダメだなって思ったり。
何より、それから解放されるためには「文化系”だけ”で食わない」ってことだと思った次第なんだ。文化系以外の売上で、文化系なインプットもアウトプットもいっぱいできている。今のオレ、最高って感じだ。
何にしても、次々に新しいことに飛びつく世の中だけど、たまに立ち止まって振り返ってみることも大事だと思った41歳の朝。
まあ、金に支配されるために稼ぐんだよ。それもまた結論。
11月25日(水)の青木大和さんとのイベントでは、そのあたりも語り合うことにしようか。きてね。
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