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テーマは米から欧へ/欧州債務危機再燃に注意

為替千里眼、改めて今秋も1週間お疲れ様でした。

今週もなんだかんだで、レンジ内取引に終始したような1週間ではありましたが、QE3期待が日増しに高まるなか、週末の雇用統計は予想に反する悪結果、株式市場は大幅下落で、週明けの東京株に対して嫌な雰囲気を予感させる結果となりました。幸い為替市場は大幅な回避動意に支配されたという展開ではありませんでしたが、相変わらずドル円は76円Mid〜77円手前で小康状態、ストレートが徐々に上値を削るなか、ドル円が停滞していることでクロス円の下落がやや鮮明になりつつあります。ここ最近は少々棚上げとなっておりますが、ユーロ圏における債務危機問題も依然として燻っておりユーロの下落が顕著、週初の高値1.45Midからは既に350p以上の下落で、テクニカル的な節目も下抜けていることから、一段の下落が危惧されるところです。

今週は、米個人消費支出等の発表で始まったマクロ面についても、とりわけシカゴPMIやISM製造業以外は軒並み鈍化といった感じで、週末の雇用統計がある意味トドメになってしまいましたが、既に米マクロの鈍化については大方織込み済みといった状況で、来週に公表予定のオバマ大統領による追加的な雇用対策に照準を移している状態です。オバマ大統領の講演は、日本時間9日8時(米東部夏時間午後8時半)から、雇用と経済に関して上下両院合同会議で演説する予定ではありますが、皮肉にも同タイミングで米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の開幕戦が行われるようで、国民の多くは大統領演説よりもNFLにチャンネルを合わせる可能性が高いとロイターは報じております(苦笑)。

一方本邦サイドでも、野田新政権での組閣で財務相に就任した安住財務相についての市場判断が焦点となっており、年齢的な部分での経験値や経済政策に関する過去の発言に乏しいことから、積極的な円高対策を講じてくるか否か、為替市場に対するスタンスが未知数で、市場の判断も今のところフラット。基本的に財務相時の野田氏のスタンスを継続するというのが第一路線ではありますが、逆に期待されていない人ほど効果を発揮したりするものでもありますので、俗に言う「不規則発言」さえ出なければ良いかな?程度に見ておきたいと思います(笑)。

CFTC IMM positions(August 30, 2011)
JPY:Long54,136  Short12,951
EUR:Long43,894  Short44,278
GBP:Long31,248  Short30,804
CAD:Long24,823  Short10,884
CHF:Long13,347  Short 4,005
AUD:Long60,605  Short13,036
NZD:Long17,953  Short 1,388

※先週データはこちら

今週のIMMポジションです。レートもある意味膠着状態でしたので、ポジション状況も特段大きな変化は見られていない状況です。大きく値を崩した欧州通貨はやはりロングが減少、逆にオージーはネットロングで+0.4万枚程度の増加となっておりますが、週末にその上昇分を吐き出したような感じではあります。円ロングは多少解消されたような感じですが、これが基調的な動きかどうかは依然不透明で、今後もドル円は76円Midが底堅いと思われる反面、77円台定着の蓋然性もあまり期待できないような状況です。一段と長期債利回りが低下するなか、既に米景気後退の部分に関しては相当に織り込み済みかと思われますが、QE3の実施に対する織込みがどの程度進んでいるのか、現時点での政策スタンスは依然導入を前提にした議論には至っていないため、今後さらにその可能性が高まるようだと債券買い・円買いの動きは強まるかもしれません。

US10Y Treasury Notes
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その10年債利回りですが、雇用統計の悪化を受け再び2.0%割れ示現となっており、日米金利格差は一段と縮小しているような状況です。ただ、長期的にみれば一旦は下げ止まるような水準ではあり、一段の利回り低下については少々懐疑的に見ておりますが、デイリーベースでは足元で形成していた上昇チャネルのサポートを明確に割り込んでおりますので、テクニカル面では1.8%に向けて下落する可能性は高まりつつありますが、現状は次週に控えるオバマ大統領の新政策も踏まえ、流動的と考えております。

Volatility Index(VIX)
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こちらは恐怖心理指数です。過去の例を見ましても、こうした危機的なスパイク型を形成したあとは、じわり低下していくので、ここから一段と回避動意が強まるようなイメージはありませんが、サポートを形成する25%レベル付近まで低下した後の動きがどうなるか、先週末も雇用統計の大幅悪化で6.6%上昇の33.92まで反騰している状況ですので、株式市場の大幅下落が今後も続くようだと高止まりする可能性があり、結果的にクロスなどの上値が圧迫される可能性が高いと思われます。

とは言え、来週の市場テーマはこれまでの米サイドから欧州サイドへ移行する可能性があり、特にECB理事会での動向が注目されるところです。足元の欧マクロを見ますとPMIを筆頭にリセッション懸念が高まっているところで、既に市場では利下げという選択肢が台頭しつつある状況ではありますので、今回のECB理事会でそれを匂わす様なニュアンスとなれば、再び欧州債務危機が取り沙汰される可能性があります。テクニカル的にも既に陰転状態、遅行スパンも1.40レベルまでの下落を示唆するような形状となっておりますので、タイミング的にもマッチしているのが実情です。利下げと言う選択肢に関しましてはさほど現実的ではなく、インフレバイアスが強まるなかでの景気後退という状態ではありますし、ECBは7月に利上げしたばかりでの利下げは中銀としての信認を失うところではありますので、そうした観点からもインフレ抑制が主題のECBがそう易々と利下げを匂わすとは考えにくいところかもしれません。

今週は、週初に欧州主要国のPMI指数の発表を控えておりますので、こうした数値を元に再び欧州債務危機が再燃する可能性は否定できず、イタリアやスペインの債務リストラクチャリングの可能性が一段と強まる、そしてフランスやドイツなどの銀行システムに対する懸念、さらには国家財政の悪化を招く可能性は常に念頭に置いておく必要がありそうです。

今週の主要材料と展望につきましては、夜の更新で取り上げたいと思います。

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