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結局何も得られなかったジャクソンホール、次の焦点は「緩和策の方法」

為替千里眼、昨晩はお仕事の都合で遅くなってしまいましたので、夜の更新は見送りましたが、NY序盤からGDP2ndの下振れなどを背景に株価が大きく下落、U-Michも速報よりかは上方修正されたものの、市場予想を僅かに下回り回避動意の強い展開が先行いたしました。その後の注目のジャクソンホールでの議長講演に関しましては、既に報じられているとおりQE3への言及はなされなかったものの、失業率の改善に向けた一段の措置を検討する意向を示し、次回9月のFOMCでは日程を1日延長、様々な政策の選択肢について議論すると表明しました。ドル円は乱高下で、一時77円Mid超まで急反発するもその後は長期金利の低下からその上げ幅を縮小し、結局いつもの76円Midまで軟化して今週の取引を終えておりますが、株式市場は9月FOMCにおける追加緩和実施への期待感から急反発、NYダウは一時-200ドル付近から+134ドルまで反発して引けております。ただ、9月での追加緩和期待を背景に10年債利回りなどの中長期ゾーンは、やはり利回り低下を招いておりますので、ドル円もこれに歩調を合わせ下落しているのが実情ではあります。

バーナンキ議長の講演に関しましては、上述のとおりQE3への言及はなされず、「追加的な刺激策などの一連の手段を有している」との意向を示すに留まり、「これらの政策手段について、景気動向を睨みながら引続き協議する」と述べたことが9月FOMCでの追加緩和実施期待に繋がったものと思われます。ただ、一部の委員からは「QE3の効果は不透明」「役に立たない恐れ」といった否定的な見方も出ており、引続き8月のFOMCで反対票を投じたフィッシャー、コチャラコタ、プロッサー総裁らからの同意を得ることは困難かと思われ、金融市場全般的な「QE3期待感」は長続きする可能性は低いと思われます。講演内容については、8月のFOMC声明の延長線上といった程度で、詳細部分には殆ど触れられなかったことで株式市場の直後の反応は、やはり追加緩和期待の剥落から大幅下落となりましたが、Fedの2大使命となるインフレの安定、失業率の改善という観点では、この講演でも異例の高水準に留まる失業率と長期失業者について改めて懸念を示しておりましたので、フィッシャー総裁の意向でもある「追加緩和が我々が提供した流動性を活用しようという雇用創出者の意欲と能力を遅延させている」という面でみれば、追加緩和の可能性は限りなく低いのではないかと思われます。

CFTC IMM positions(August 23, 2011)
JPY:Long60,831  Short13,692
EUR:Long47,711  Short45,172
GBP:Long40,888  Short29,927
CAD:Long23,368  Short14,564
CHF:Long14,889  Short 5,252
AUD:Long50,917  Short 7,343
NZD:Long17,980  Short 1,104

※先週データはこちら

相変わらず円ロングの積み上がりが気になるところではありますが、その他通貨に関しては、数値的な部分でも特に大きな変化はなく、強いて挙げればオージーロングが再び増加傾向にあるという程度かもしれません。結局、今週はほとんどがジャクソンホールでの議長講演待ちという流れで終わってしまい、議長の講演内容も上記の通りではありましたので、9月FOMCまでは日々のマクロ動向次第でQE3への期待感の台頭、後退を繰り返すものと思われ、引続き円高の基調は不変かと・・・QE3の台頭で株式が上昇、株式上昇を背景に高ベータが堅調な展開になったとしても、QE3が長期金利を低下させドル円は下落、ストレートは上昇してもクロス円は上昇しないという展開を繰り返す可能性が高く、今後も対円通貨の取引はあまり妙味がないと踏んでおいた方が無難かと思われます。

USDJPY Daily
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既に4hなどは短期サポートが切れてしまっておりますが、引続き76円Midの底堅さは健在かと思われ、デイリーのモメンタムがサポートされれば、77円台への回帰の可能性はあるかと思います。ただ、76円Mid割れは引続き注意が必要で、従来のコアレンジ76〜77円が、76円Mid〜77円Midに切りあがった程度の認識で、来週発表されるマクロ次第では上へも下へも行きやすいという認識でおります。短期的には76円Midをバックにロング、77円手前でクローズの繰り返しになりますが、週明けはロンドンが休場となりますので、NYまでは本流が出にくく値動きも限定的になるものと思われます。現状は、テクニカル以上にマクロやQE3に対する思惑の方がマーケットに与える影響も大きいので、デイリーベースでは、日々変化するセンチメントを追いきれないかもしれません。

US10Y Treasury Notes
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10年債利回りです。モメンタムは一段の上昇を示唆しているように見えますが、昨晩も結局QE3期待から株価は上昇す
も利回りは低下、10年利回りは-4bpの2.1880%に低下しております
ので、大局的な下落基調は当面続く可能性が高いと見ておいた方が良さそうです。来週は、FOMC議事録を始め、ADPやISMシカゴ、ISM製造業などの足許の重要な米マクロが多彩に発表され、現時点では言うまでもなくダウンサイドリスクが高いのが実情ではありますので、悪結果では言うまでもなく逃避的な債券買い、利回りの低下を誘発しやすいところではありますので、やはりドル円に関しては戻り狙い継続、ストレートに関しては、基本的にドル売りでも回避動意を背景にドル買いにも傾斜しやすい状況が続きますので、その点は臨機応変に対応するしかないのが実情かと思われます。

諸々のマクロ動向と今後の金融政策方針、Fedが考えるQE3での政策ツールなど、残された不透明要素はまだまだ多彩にありますが、来週は「QE3を導入するとなると、どのような緩和策の方法があるか」といった部分に焦点が移ってくると思われますので、債券市場はもちろんのこと、為替市場、特にドル動向については引続き神経質な展開を強いられそうな感じです。

では、今週もありがとうございました。
次週もよろしくお願いします。

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