記事

米景気悪化以上に欧州銀行のファイナンス懸念が台頭?

為替千里眼、今週も1週間お疲れ様でした。
昨晩は材料性に乏しい中、株価の下落を背景に引続き回避動意が先行し、NYダウは-172ドルと続落、ドル円は一時76円を下回るなど相変わらずのリスク回避の展開が支配的となりました。10年債利回りも一時2.00%を割り込み過去最低水準を更新するなか、回避動意を背景にストレートでもドル買いが台頭したことで、クロス円の下落が顕著ではありましたが、終盤にかけてドル円は再び76円Midのコンフォートゾーンに回帰したことは唯一の救いかもしれませんが、ダウがこれだけの下落幅となると明けの東京も下落先行となる可能性が高く、引続き予断を許さない状況は続くものと思われます。各国当局が、市場のセンチメントを改善すべく手段が見出せないなか、参加者は来週末に控えるジャクソンホールでのバーナンキ議長の講演に全てを委ねている状況ではありますので、来週一杯はこの状況が続くと見ておいた方が無難かもしれません。

さて、一段と利回りは低下し日米金利差の観点からも一段とドル円に下落バイアスが掛かるところではありますが、一方米国内では住宅ローン金利の低下などを背景に住宅販売やローン申請などの数値に改善の兆しが見られても良いような気もしますが、今週発表された住宅着工は予想通りの60.4万件、許可件数は予想を下回る59.7万件に留まり、さらには中古住宅販売は予想を大幅に下回る467万件と、消費者の購買意欲は購入環境が改善するなか一段と後退しているような雰囲気です。来週は新築住宅販売のほか、GDP改定、個人消費等のマクロ、そして先週大幅鈍化となったU-Michなどに注目が集まりそうな雰囲気ではありますが、株式市場の大幅下落、そして米景気見通しの一段の悪化により信頼感は後退している可能性が高く、マクロの好転を期待する方が酷なのかもしれません。

CFTC IMM positions(August 16, 2011)
JPY:Long59,060  Short11,712
EUR:Long47,094  Short40,368
GBP:Long36,193  Short39,289
CAD:Long23,153  Short19,032
CHF:Long13,330  Short 4,322
AUD:Long41,286  Short11,563
NZD:Long19,214  Short 797

※先週データはこちら

IMMポジションですが、先週から一段と円およびドルロングが拡大したような感じで、円のネットロングはさらに0.5万枚程度増加、その他通貨はロングの解消が一段と進んでいるような感じです。状況的には円ロングが大幅に積み上がっている訳でもないので、仮に何らかの協調行動により市場のセンチメントが大幅に改善したとしても、ドル円の大幅反発はあまり期待できない状況でありますが、トレンドチャネル下限で随分と停滞していることを踏まえると、そろそろ半値戻しレベルとなる78円アラウンド程度の反発の可能性は多少なりとも想定しておくべきかもしれません。材料的には、1・米リセッション懸念、2・欧州債務懸念の拡大、この二つの壁をクリアしないことにはなかなか円ロングの解消には繋がらないと思いますが、前者はジャクソンホール頼み、後者は???、現状は仏独頼みではありますが、仏独の格下げリスクを懸念してEFSFの拡大には至らないとの見方が大勢ですので、地合い改善までの道のりは相当に険しいかもしれません。

US10Y Treasury Notes
リンク先を見る

ご周知のとおり10年利回りは過去最低水準を更新し、リーマンショック以上の状態にまで落ち込んでおります。今日は5年チャートになりますが、最初の長期サポートを割り込んでからは2.00%目掛けて一気に下落、08年12月当時の2.13%を下抜けている状況を踏まえると、テクニカル的には一段の下落が想定されるところです。この辺は、何らかのイレギュラー的な緊急措置などにより、1.80%とか1.70%を目指すような展開にはなりにくいかもしれませんが、本邦当局が介入したところで中長期債利回りが上昇する訳ではないので、上記で述べました根本的な問題が解決できないと利回りも上昇しませんし、市場のセンチメントも改善しないと考えておいた方が良いかと思います。

CBOE Volatility Index
リンク先を見る

VIXです。モメンタムの上げ余地を踏まえると一段と上昇しそうな雰囲気で、前回急騰した48%台は軽く越してくる恐れがあります。回避動意となれば円およびドルが選好されることとなりますので、必然的にポジニングはストレートでのドル買い、ドル円は微妙なところではありますが、どちらかと言えば円買いの方が優勢になるかと思われますので、やはりクロス円の大幅下落は避けられない状況です。特にオージーやカナダなどの株価動向に敏感な高ベータに関しては警戒が必要で、オージードルなどは先日の急落後の反発局面も既に終わってしまったような雰囲気ではありますので、引続き1.05レベルからは戻りが出やすくなるのではないかと懸念しております。

今週、特に地合いを悪化させた問題として、フィリーの大幅悪化と同タイミングで取り沙汰された「欧州銀行の米国部門に対する懸念の深まり」という問題が新たに浮上してきております。きっかけは、WSJ紙による「欧州債務危機が米金融システムに波及する可能性」という報道が背景にありますが、NY連銀のダドリー総裁は「われわれが国内銀以上に外国銀に重点を置いているわけでないという点を強調することが非常に重要だ。国内銀も外国銀も全く同じように扱っている」と即座に火消しに回った点は、かえって欧州銀行株の下落を誘引したような感じです。昨日もイタリア系銀行株やそれらのエクスポージャーの多い仏銀行株が大きく下落していましたが、今年2月頃から外銀の米国子会社は、親銀行のドル資金調達源となるどころか、自らの保有するドル資産のファイナンスにも苦労する状況となっていることが明らかとなっており、17日にはユーロ圏の銀行1行が今年2月23日以来初めてECBの1週間物のドル資金供給オペを利用したことから、欧州の銀行問題は引続き市場の懸念材料となり続けると考えられます。

来週以降も厳しい地合いが継続すると思われますが、何らかの協調行動が出る可能性も想定しつつ、リスクポジションは極力敬遠するようなスタンスで臨みたいと思います。

今週もありがとうございました

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    北海道の医療崩壊を見た医師「来週から東京で多くの重症者が出てくるが入院できない」

    田中龍作

    08月03日 19:41

  2. 2

    「日本の携帯大手と正反対」ネトフリが幽霊会員をわざわざ退会させてしまうワケ

    PRESIDENT Online

    08月03日 16:00

  3. 3

    来るべき自動車産業戦国時代を勝ち抜ける日本がなぜEVなのか?

    ヒロ

    08月03日 11:52

  4. 4

    森林大国ニッポンが木材不足のナゾ ウッドショックは林業に変革をもたらすか

    中川寛子

    08月03日 08:07

  5. 5

    人権尊重、企業は本気か-DHCの不適切文書に批判

    山口利昭

    08月03日 08:42

  6. 6

    医療崩壊目前で気が動転?コロナ入院は重症者ら重点との政府方針は菅首相の白旗か

    早川忠孝

    08月03日 15:39

  7. 7

    原則自宅療養の方針に橋下徹氏が懸念「国と地方で責任の押し付け合いがはじまる」

    橋下徹

    08月03日 21:37

  8. 8

    河野大臣「ワクチンは十分に足りている」接種状況について説明

    河野太郎

    08月03日 09:13

  9. 9

    世界初の自動運転「レベル3」登場も複雑化する使用条件

    森口将之

    08月03日 10:28

  10. 10

    一部の声を最大公約数のように扱うメディアに「報道の自由」をいう資格はない

    鈴木宗男

    08月03日 20:08

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。