記事

パリでのテロを受けて

昨夜、パリで大規模な連続テロが発生した。
コンサート会場での銃撃、オランド大統領も試合を観戦していたサッカー場の外での爆発等、複数の攻撃により、現時点で少なくとも128人が死亡、さらに300名が負傷と伝えられている。近年、先進国で発生したテロ事件としては最悪のものの一つだ。

奇しくも自分は、10年前、ロンドン在住中にもテロに遭遇した。2005年7月7日、実行犯4名を含め56名の命を奪った同時爆破テロである。
(ご関心がありましたら、下記ページにある、2005年7月7日及17日の記事をご覧下さい。http://www.geocities.jp/weathercock8926/ukreport5.html

このときは、まさにイギリス北部のグレン・イーグルズで、先進国首脳会議(G8サミット)が開催されている最中だった。まだ予断は許さないが、今回も、今週末からトルコで開催されるG20首脳会議の直前であったことは、偶然ではないかもしれない。

いかなる思想・信条に立とうと、罪のない市民に対するテロ行為は決して許されないものである。また、今自分が生活を共有しているパリにおいて、多くの人々が命を落とし、傷ついたことには、ひときわ悲しみを覚える。自分と妻は無事だったが、職場の同僚や、友人の誰か、あるいはそれに近い人が被害を受けた可能性は否定できない。

フランス政府は非常事態宣言を発し、パリ市内の多くの観光名所や公共施設は閉鎖された。10年前のロンドンの時と比べても、強い対応といえる。それだけ、近年さらに、テロの脅威が増しているのも確かだろう。

しかし、現地の市民生活は意外に落ち着いている。事件の現場に近いいくつかの駅が閉鎖されているものの、それを除き公共交通機関は今朝から正常に運行されており、フランスへ発着する空路についても、一部の航空会社を除いて維持されている。毎週土曜日の朝に買出しをするマルシェ(市場)に行ってみたところ、屋台の骨組みだけは用意されていながら店舗はもぬけの空だったのは寂しかったが、その分、近所のスーパーが食料品を買い込む人々で混み合っていた。OECDからも全職員に対して、現時点での方針として、月曜日からの業務は、外部の人々が参加する会議等も含めて通常通り行うことが伝えられた。

ロンドンのときもそうだったが、ヨーロッパでは日本に比べて昔からテロの事例は多いものの、それに対する人々、社会の強靭性も鍛えられているように思う。警戒を怠ってはならないが、他方で、テロに屈せず、普段通りの生活を続けることもまた、テロに対する一つの答えであるとの意識があるのだろう。恐怖によって自由な社会を混乱に陥れることこそがテロリストの最大の狙いだからだ。まだ事件の全貌は明らかになっていないが、それが本日の時点での感想である。

当然ながら、朝からパリのテレビでは事件に関連する報道が繰り返されている。その中で、国際社会から次々に寄せられる連帯の声も伝えられている。アメリカのオバマ大統領が、パリでの悲劇を受けた声明において、liberté(自由)、égalité(平等)、fraternité(博愛)というフランスの根源的価値は、フランスを超えて人類に共有され、テロに打ち克つものであると強調したことも大きく採り上げられている。(オバマ大統領は、これら3つの単語をフランス語のまま発声した。)

当面、フランスの国内及び国境において、警備が強化されるだろう。だが、フランスが誇る、自由で寛容な社会、文化や国籍を含めた多様性を重んじる社会が、その本質を維持し、続いていくことを願いたい。

空となったマルシェの会場
画像を見る

画像を見る

あわせて読みたい

「パリ同時多発テロ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    菅首相に見る本読まない人の特徴

    山内康一

  2. 2

    NHK受信料「義務化」は時代錯誤

    大関暁夫

  3. 3

    パワハラ原因?オスカー崩壊危機

    渡邉裕二

  4. 4

    伊藤容疑者 事務所破産の可能性

    SmartFLASH

  5. 5

    感染防ぐ日本人 生活習慣にカギ

    中村ゆきつぐ

  6. 6

    公選法に抵触 毎日新聞の終わり

    青山まさゆき

  7. 7

    任命拒否めぐる菅首相の迷走ぶり

    大串博志

  8. 8

    8割が遭遇する中年の危機に注意

    NEWSポストセブン

  9. 9

    誤報も主張曲げぬ毎日新聞に呆れ

    木走正水(きばしりまさみず)

  10. 10

    橋下氏 毎日新聞のご飯論法指摘

    橋下徹

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。