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安保法制特別委員会 2015年6月4日

○細野委員 私は今、民主党の政策の責任者をやっておりますので、我々の考え方と比較をしながら、政府が提出をされた法案について伺ってまいりたいというふうに思います。
私ども民主党のスタンスは、この安全保障法制においては、近くについてはしっかりと現実的に対応していく、しかし、我が国から遠いところにあることについては抑制的に対応していく、そして人道支援については積極的にという考え方でございます。
したがって、その考え方に基づいて、先日は長島委員の方から、いわゆる領域警備法について具体的な法案を我々は用意している、そういう説明をさせていただきました。すなわち、国民の皆さんが一番心配をされているであろう尖閣を初めとした問題については、平時においても海上保安庁をしっかりと自衛隊がバックアップできる体制をつくる、そして、いざ海上警備行動を発令しなければならないようなケースについては、これは時間的な猶予がありませんから、しっかり対応できるようにする、そういう考え方を提示させていただきました。
ぜひ総理におかれましては、そういう近くの現実的な問題について対応する、その御検討を改めてお願いしたいというふうに思います。
そして、私どもの考え方からすると、政府が出しておられる法律というのは、近くと遠くを全体として区別せずに捉えておられて、そこの部分のいわゆるめり張りというものが非常になくなっているというふうに感じています。
例えば周辺事態法、我々は周辺事態という考え方を残すべきだというふうに思います。すなわち、北朝鮮の問題を初めとした朝鮮半島有事についてやらなければならないことがあるのであれば、これは我々も理解をする、しかし、周辺事態という概念自体をなくして、世界じゅうで同様のことができるということをする必要はない、さらに言うならば、今回新しく提出された国際平和支援法、この法案を新たにつくる必要はないというのが私どもの考え方ですね。
そこで、まず中谷大臣にお伺いしたいと思います。
私がこの法律を初めに見てみて非常に不思議だなと思いましたのは、周辺事態法を重要影響事態安全確保法とする、この新しく改正をする部分のやれること、すなわち、これまで周辺事態でやれたことと、そして新しく出してきた国際平和支援法でやれることというのがほぼ、全く同じですね。つまり、現に戦闘が行われていない現場に出せるという意味でも全く同じ、そして、そこでやれること、例えば弾薬の輸送やまた外国の軍人の輸送、給油もできる、これも全く同じですよね。
最初に申し上げたように、それぞれの事態が違うわけだから、それに応じてやれることをしっかりと法律として整備していく、これが本来の姿だというふうに私は思いますが、大臣、その点、どのようにお考えになりますか。
○中谷国務大臣 確かに、やれる内容は同じ部分が多いんですが、全く違う法案にしたのは、まず、重要影響事態というのは我が国の平和と安全に重要な影響をもたらす事態ということで、その条件を記しております。
もう一つは、やはり国際平和協力支援ということで、国際社会が連携して共同して行うような事項に対して我が国が参画をする、いわゆる国際平和に我が国としてどうかかわっていくかということで、国連の関与など条件をつけた上でそれに参画できるという内容で、法律の目的自体を変えております。その違いがあるということです。
○細野委員 目的は全く違うのに、二つの目的が違うのに、やれることが同じなわけですね。
ちょっと、数日前から、いわゆる野呂田六類型、これについて議論がありましたので、それを少し参照しながら、さらに突っ込んで聞いていきたいと思いますので、パネルをごらんいただきたいと思います。
これが、周辺事態法が議論されたときのいわゆる野呂田六類型というものでありますけれども、例えば四番、ある国の行動が国連安保理によって平和に対する脅威あるいは平和の破壊または侵略行為と決定され、その国が経済制裁を受けたような場合であって、我が国に重要な影響を及ぼす。これは当初は、例えば、北朝鮮が現実的に核武装をして、それをミサイルの先端に搭載できるというようなことになった場合はまさにこういう第四類型に当たってくるというようなケースで想定をされたんだろうというふうに思います。
しかし、これは、もう周辺事態法という概念をなくしていますから、これが全体に広がっていて、では果たしてこれはどういう事態なのか、極めてわかりにくくなっている。統一見解を出されるということでございますので、この点についてはさらに突っ込むことはいたしませんが、こういう類型を見ていますと、周辺事態法を重要影響事態にして新しい法律をつくるという部分と、この国際平和支援法というのは本当に完全にダブってきていて、目的は違うと言うけれども、やれることは全く同じなわけですから、なぜそれを分けているのかということすらよくわからなくなっていますね。
その上で、総理にお伺いしたいと思うんですが、総理、第二類型のところをごらんください、ちょっと紙をごらんいただいて。ここですね、我が国周辺の地域において武力紛争が発生している場合であって、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合、これが一番深刻なケースですね。これはまさに、朝鮮半島で有事が起こった場合に何をするかという話です。
総理に申し上げますが、我々民主党も、安全保障の深刻な事態にさまざま遭遇をしました。したがいまして、責任を持って対応すべきだという立場です。したがって、この野呂田第二類型に当たるようなケースについて、こういうケースについて、例えば、弾薬の輸送が必要であるとか給油が必要であるというようなことがあれば、それについては私どもも認める余地はあると思いますよ。
しかし、北朝鮮で、朝鮮半島有事であり得るさまざまな事態に対応できる、最大限に対応できるという中身を、これを全世界のあらゆる安全保障事態に適用するような法律になぜしたのか。そこは、近くについては現実的にやり、遠くについては、おのずとこれは日本としてやるべきことというのは変わってくるわけですから、そういう法整備にすべきだったと私は思いますが、総理、そうお考えになりませんか。
○安倍内閣総理大臣 やれることができるから全く同じではないかというふうにおっしゃったんですが、それは全く違うわけでありまして、目的が違うんですから。目的が違うから二つの法律に分けたわけであります。
重要影響事態法は、重要影響事態に際して、我が国の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する対応措置等を定める法律であります。一方の国際平和支援法は違います。これは、国際社会の平和及び安定のために国際社会が共同して対処している事態に対して、国際社会の平和及び安全の確保に資するために我が国が実施する対応措置を定める法律でありますから、目的が違う。しかし、やることは大体同じことをやっていく。しかし、目的が違うんですから、法律が、目的が違えば変わるのは当然であろう、このように思うわけであります。
ただ、それは、重なる場合というのは、その事態が全く重ならないということではもちろんないわけでありまして、そのことによってこそ、初めて切れ目のない対応が可能になっていくということになるわけであります。
国際平和支援法においては、まさに国連憲章にかなう、例えば、国連の安保理、国連の決議があるということも前提になってくるわけでありますが、重要影響事態は、まさに我が国の平和及び安全の確保のために必要なものである、こういう、目的が違うということで法律を分けているわけでございます。
○細野委員 目的が違う。目的が違えば、当然想定される事態も違いますね。目的も、想定される事態も違うのであれば、それに応じてきちっとやれることを変えるというのが当たり前ですよ。その整理が政府案では全くできていない。
その現実的な、そういうことの一つの帰結として、私は、総理の答弁で一つ気になったことがあるので、それを少し詰めて聞いていきたいと思います。
ISIL、この事態について日本が後方支援をすることはないと、総理は、一番初めの、法案を出したときの記者会見で答弁をされました。そして、先日の北側委員に対する答弁は、政策判断として、有志連合に参加する考えはありませんとおっしゃった、政策判断として。
私は、この新しくできた国際平和支援法をしっかり読み込みましたけれども、法律上、しっかりとした国連決議があって、後方支援という意味では、ISILに出せないという根拠は法律からは見出せないと思いますよ。
中谷大臣にお伺いします。
政策的な判断ではなくて、法律上、ISILに対して、多国籍軍のようなもの、今であれば有志連合ですが、そこが行動する場合に、日本が後方から支援をすることは法律上できませんか、本当に。できるんじゃないですか。ここは大臣に御答弁いただきたいと思う。大臣に御答弁いただきたいんです。
○中谷国務大臣 まず、法律を説明させていただきますけれども、国際平和支援法、それに基づいて、我が国は後方支援を行うかという要件となる国連決議があるかないかというのみで決まるわけではありませんで、いずれの国連決議、二つありますが、国際平和支援法に定めるケースを満たすかどうかということについては、実際に、運用に際して、個別具体的なケースについて精査すべきでございます。
法律的には、まず、国連憲章の目的に従って共同で対処していくことと、もう一つは、国連決議を前提に、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められる、これを満たしているかどうかでございます。
○細野委員 もう一度確認をしますが、では、ISILに対して国際社会が行動する場合に、今の基準に該当して法的には派遣が可能になる、そういう可能性があるということですね。大臣にもう一度。
○中谷国務大臣 法律に定められました、国際社会とか国連決議、それに基づいて判断するということで、法律的にはあり得るということでございます。
○細野委員 今のは非常に重要な答弁だと思いますね。
つまり、ISILのケースというのは、国際社会においても相当これは厳しいケースです。あらゆる厳しいケースに日本の自衛隊が海外に出ていく可能性があるということを大臣がお認めになったわけですね。それはこの法律の立て方上当然の帰結で、なぜならば、朝鮮半島有事に対応できるぐらいの、それぐらいの措置が書かれているんだから、国際社会であらゆる紛争があったときに、それを後方支援できる法律の仕組みになっているんですよ。仕組みとしてはですよ。
そのことをきちっと正面から認めずに、初めから、ISILには行くことを断言しませんと、それは現内閣の現時点での判断であって、将来まで保証するものでは全くないですよね。そこは非常に、私、総理、ミスリードだったと思いますよ。
そして、もう一つ。この間、そういう事態も含めてさまざまなケースがあり得るということを前提に、自衛隊の方々と、私かなりの数会って、かなりの方と会って、いろいろな議論をしました。いずれも海外でのさまざまな活動経験のたくさんある方、人格、識見とも非常にしっかりとした方にお会いをして話をいたしました。その中で、幾つか、現職の自衛官の皆さんから、明確にこの点は解決をしてほしい、懸念をしているという事項が出てまいりましたので、それについて聞いていきたいと思います。
まず、最も具体的にそういう自衛官の皆さんが懸念をするのは、今回、戦闘現場に近いところで活動することになる可能性がある。そうなってくると、これまでは幸運にしてそういうケースはありませんでしたが、テロリストと遭遇して武器を使用しなければならない、そういう可能性がある。できるだけ想定はしたくないけれども、こういう法律を出してきた以上、そのことも頭にしっかり入れて法整備すべきだと思いますね。
一番悩ましいのは、それこそ撃たなければならない場合に、撃つべきか撃たないべきかという現実的な判断を、それぞれの自衛官が、部隊としても問われることがあるけれども、個人としても問われるケースが出てくるわけですね。
特に、今は非対称戦といって、国と国とがやる、そういう戦争ではなくて、テロリストに対してどう対応していくかという、極めて非対称な状況で自衛隊は行動しなければならない、これも含めてあり得る。となると、市街地に民間人に紛れたテロリストがいて、そこから攻撃をしかけてくるケースというのは十分あり得るわけですね。
そこで、まず外務大臣にお伺いしたいと思います。私は、そういう現場に行く自衛官を守るのは国の責任だと思いますから、そういう観点からまず一つ聞きたい。
自衛隊が海外に出る場合は、これは国連のPKOにおいても、多国籍軍というような形においても必ず地位協定が前提として締結をされていますよね。ですから、現地の法律で自衛官が個人として裁かれるということは、これはないと私は理解をしていますが、間違いありませんか。外務大臣、お願いします。
○岸田国務大臣 御指摘のとおり、例えば、イラク特措法に基づいて自衛隊がクウェートにおいて行った活動に関し、日本とクウェートの間で締結された地位取り決めにおいて、自衛隊部隊の隊員及び支援職員は、問題となる行為が公務の範囲内であるか否かを問わず、クウェートの刑事裁判権から免除されておりました。
そして、その上で、このケースにおいては、実際自衛隊が武器を使用した事例もありませんでしたので、結果として裁かれる事例もなかった、こういった結果になっております。
○細野委員 もう一度確認をしたいと思いますが、外務大臣、これからも海外に自衛隊が出る場合については、きちっとそういう協定を結ぶことによって自衛官が個人としては裁かれることはないというふうに、大臣として責任を持って答弁されますね。
○岸田国務大臣 国連PKOの際には、国連としてこれに責任を持って対応する、こういったことになっております。
それ以外の部分につきましては個別に対応していく、こういったことになります。
○細野委員 やはり個別にきちっと対応するのが国としての最低限の責任だと思いますね。
次に、法務大臣にお伺いしたいと思います。
私は、日本の自衛隊のレベルの高さというのを非常に信用しています。したがって、日本の自衛官が海外に行って、そこで、それこそ故意で人を、民間人を殺すであるとか、さらには、そこでいわゆる刑法上触れるような他の犯罪を行うことはない訓練をして行っていると信じているし、これからもそうあってもらいたいと強く思います。ですから、現実的に、自衛官が海外で何らかの犯罪に問われる可能性があるケースということで言うならば、これは誤想防衛、誤射ということになるわけですね。
すなわち、市街地で市民に紛れてテロリストが撃ってきたときに、テロリストと間違って民間人を撃ってしまった、実はテロリストじゃなかった、こういうケースがある。さらには、テロリストは現実的にいたんだけれども、周りも含めてこれは一団で来たんじゃないかと思って撃ったところ、テロリストも撃ったけれども、ほかの民間人も撃ってしまった。こういうケースは、こういう法律を出すならば、真剣に検討すべきだと思いますね。
法務大臣に確認をしますが、海外で誤射をした場合、これはいわゆる業務上過失致死、亡くなってしまったケースですね、これを日本の国内法で裁くことができますか。
自衛官にとっては、それを国内法できちっと裁いて、ROEを守っていたということで刑法上しっかりと対応されるのであれば、それは一つの、私は、ある種の自衛隊の皆さんの安心にもつながるし、重要なことだと思うんですが、業務上過失致死を海外で、日本の国内法で問うことができますか。これは法務大臣、お答えください。
○上川国務大臣 犯罪の成否でございますけれども、これは基本的に、捜査機関によります収集された証拠に基づき個別に判断をされるという事柄でございますので、仮定の御質問につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、今、国外犯の処罰に関する一般論ということで申し上げるところでございまして、日本国外における日本人の行為について、我が国の刑罰法規が適用できるかどうかということで御質問があったということでございます。
当該行為につきまして、いわゆる国外犯処罰規定が刑法上設けられているかどうかということになるわけでございます。
例えば、故意により人を死亡させた事例、これについては、今御質問がございませんけれども、これは殺人罪が成立をするということでございますので、この点につきましては国外犯の処罰規定が設けられているということで、刑法犯の適用ということでございます。
他方、過失により人を死亡させたケースということでございますが、これは過失致死罪または業務上の過失致死罪が成立をするということが考えられるわけでございますが、これらの罪につきましては国外犯の処罰規定が設けられておりませんので、刑法を適用して処罰することはできないということで理解しているところでございます。
○細野委員 防衛大臣にちょっとお伺いしたいんですが、これは深刻だと思うんですよ。撃って、それは故意ということは自衛隊の場合は私はあり得ないと信じていますから、自分の身を守るのにやむなく武器をして民間人を殺傷してしまった、業務上過失致死。これを、国家としても守れないし、逆に、それについて、それこそその国で極めて厳しい立場に追い込まれる可能性もありますよね。これは、法の空白をしっかり埋めて対応できるようにした上で出さないと、大きな問題が起こってからでは遅いですよ。
これは、大臣、どうするんですか、こういうケースは。
○中谷国務大臣 御指摘ありがとうございました。
PKOはもう二十年、それからイラク派遣においてもこういった事例はまだ発生しておりません。
まず、自衛隊がこのような武器使用について極めて厳格な注意義務が求められて、また、各種情報をもとに相手を的確に識別して武器を使用するよう事前に厳しい教育訓練を行っているということ、そして、派遣された隊員も、現地の社会的な、文化的な慣習を尊重して地元の住民と友好な関係をまずつくるようなことの教育訓練を行っている、このようなことから、武器を使用して一般の現地住民に対して危害を加える事態というのは極めて想定しにくいことであるとは考えております。
今回新設する自衛隊の国外犯処罰規定は、国外において、まず、上官の命令に対して多数共同で反抗したり、正当な権限なく、または上官の命令に違反して部隊を指揮した場合などに適用されるものです。
他方、誤想防衛、こういった行為については、これまでどおり、現行の一般の刑法、これが適用されることになるわけでありまして、自衛官が派遣先で犯罪を犯した場合に、我が国と派遣先のどちらが裁判管轄権を持つかについては、派遣先国との間での地位協定などの内容いかんによるものと考えますが、自衛隊を海外に派遣する場合には、こういった受け入れ国の裁判管轄権からの免除等を含めて、自衛隊員の法的地位を確保することが重要であると考えます。いずれにしましても、現行の一般の刑法が適用されるということでございます。
○細野委員 防衛大臣、ちょっと失礼ながら、防衛大臣は陸上自衛隊御出身ですよね。本当に現場の自衛官の皆さんの話を聞いていますか。基本的には想定をされません、そんなケースはないですなんということを言う自衛官はいませんよ。これまでだって危ないケースがあったんだ、しかし、厳しいROEもあり、それは幸運にも恵まれ、そういうことはなかったと。皆さんは何か否定をされているようですけれども、これまでよりも厳しい現場に行かされると自衛官はみんな思っていますよ。
その自衛官がこういった形で法的に完全に宙に浮く可能性があることについて、現場を経験した大臣が、そんなことはないと思いますがなんという答弁で、これは責任を持って自衛隊を海外に出すことなんてできないですよ。ちょっと信じがたい答弁ですね、私から見ると。
総理、これは外交問題にもなり得るんですよ。そこで例えば子供を殺してしまった、女性を殺してしまった、そのときに、日本としては法的にこう対応しますよというのを現地でしっかり説明をされなければ、幾らいいことをやろうとしたって、反日感情が高まる可能性がありますよ。(発言する者あり)それについて全く法的に対応せずにより危険なところに自衛隊を出すことについて、国家の最高責任者としてどう思われますか。総理に御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、中谷大臣から答弁をしたのは、海外で活動をする自衛隊には特別な訓練を施すわけであります。実際、武器を使用する、これは後方支援の場合は自己保存型に限られるわけでありまして、正当防衛と緊急避難、正当防衛かつ緊急避難においても、これは相当の状況でなければ撃たないということになっているわけであります。そうした訓練を終えた自衛隊員が帰ってきた場合は、我が国の、いわば我が国事態に対する訓練をするときには訓練をし直すぐらいでありまして、それぐらい厳しい、いわば規制的な訓練をした上において現場の自衛官は判断する。
しかし、防衛大臣は想定されないと言っているわけではなくて、そういう状況に至らないような最大限のことはやっているということは十分に国民の皆様にもちゃんと説明する必要があるんだろう、こう思うわけであります。
これはもう先ほど既に中谷大臣は答弁しておりますが、今回の法改正、誤想防衛といった行為については、これまでどおり、現行の一般の刑法が適用されることになります。
○細野委員 私、こういう特別委員会とかで質問をして、与党の皆さんからそうだという声を受けたのは初めてですね、もうめったにこんなことはないので。それぐらい、やはりこの問題は本当に政府として対応すべきだというところまで来ていると思いますよ。逆に言うならば、これまででもやらなければならなかったことを怠ってきたとも言えると思いますね。ここはしっかりと政府としての対応を求めたいと思います。
そして、その次にもう一つ、これは総理にお伺いしたいんです。
現職の自衛官の皆さんと話していまして、もう一つやはり懸念をされたのは、今回、現に戦闘が行われていない現場に派遣をされる、そこで戦闘が起こった場合については、活動を中断するなり撤退するという、そういう法律のたてつけになっているわけですね。
これは、兵たんを預かる、例えば弾薬を運ぶとか軍人を運ぶとかいう非常に重要なオペレーションにかかわることになればなるほど、他国の部隊と一緒に活動していて、そこで武力の行使、武器の使用がなされて危険なところになりましたというので、自衛隊だけが撤収するということに関して、それはまずいという声が非常に多かったです。
これは、本当に国として責任を持って、海外との関係を考えたときに、事前に他国に説明をしておけばそれでいいんですというレベルの話じゃないと思うんですよ。ここは総理に御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 これは、再三もうここでも答弁させていただいておりますが、まさにこの後方支援においては、武器の使用も自己保存型であります。任務遂行型の武器の使用ではない、自己保存型の武器の使用ということになっています。
そして、後方支援を行う上においては、戦闘行為が行われないと見込まれる地域において、これは、その任務を実行している期間、一週間、二週間、あるいは一カ月かもしれませんが、その期間は見込まれないというところをしっかりと見きわめながら活動をしていくわけであります。
そして、まさにそうした、食糧や医療品やあるいは弾薬等を運ぶ、これは極めて重要な任務であります。と同時に、受け渡しをするというのは脆弱な状況になります。ですから、脆弱な状況になるからこそ、戦闘行為が行われない、そういうことが見込まれる場所でやるのは当然のことでありまして、それはまさに、それで奪われてしまってはしようがないわけでありますから、こちらの武装もまさに自己保存型で行くわけでありますから、そういう場所を選んで行くというのは、これはある意味、軍事的合理性があるんだろう、こういうことになるわけであります。
それはいわば、そういう需要が発生する相手国側の軍とも、当然、そういう前提条件の上において、ニーズがあれば実際に行うということでありまして、綿密な打ち合わせを行った上において我が国が主体的に判断する、当然のことでございまして、まさに戦闘現場となってしまったら直ちに撤収するのは当然のことであろう、それを前提に自衛隊は活動をするわけでございます。
○細野委員 重要な任務を担うことになればなるほど、自衛隊が途中からいなくなるのは、これは本当にまずいわけですよ。国際関係にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
総理も、統幕議長をやられていた西元徹也さん、よく御存じだと思うんですが、そういう、本当に自衛隊のトップをやった方々もこの点については懸念を表明されています。支援をすぐにやめるというのは友好国との信頼関係を著しく傷つける、そういうふうにおっしゃっていますね。
ですから、ここは本当に、国益を考えたときにどうなのかというのはもう一度お考えになった方がいいと思いますよ。
そして、最後にもう一つ。総理、これはもう感想だけで結構なんですけれども、多くの自衛官が一番心配をしているのは、最後のこの点だと思います。ちゃんと国会審議を通じて国民の支持を取りつけてくれ、国論を二分する形で安全保障の問題について強引に結論を出して、いろいろな反対もある中で行くことになる、さまざまな準備をしなければならないということについては、これはできるだけ避けたいというのが自衛官の声ですよ。
このことについて、ちょっと一言ここはいただきたいと思うんですが、総理、お願いします。
○安倍内閣総理大臣 その前に、途中でやめるということについては、ゴラン高原のときも、UNDOFの活動についても、シリアにおける情勢が悪化しましたからまさに自衛隊は撤収をしたわけでありますし、あるいはまたテロ特措法のときにも、給油活動を途中で、ほかの部隊がやっている中で、それは民主党政権時代に撤収を判断されたわけでございます。同じように、我々もしっかりと判断していきたい。
そして、この法案の、平和安全法制の議論につきましても、まさに今、国会で議論をしていただいているわけでありまして、しっかりと与党、野党、質問に立っていただき、我々政府としても誠実に答弁していきたい、こう考えているところでございます。
そして、同様に、この法案が成立した際にも、国会承認というものがそれぞれかかっているわけでありまして、いわば、国民の代表から成る国会において御承認をいただかなければならないというのは当然のことであろうと思います。
我々は、もちろん、強引に進めるという気持ちはさらさらないわけであります。しっかりと、国民的な理解が深まるように努力を重ねてまいりたいと考えております。
○細野委員 ある自衛官が言っていたのは、かなりいろいろな経験をしていて、幹部でもあります、この人が言っていたのは、これは総理、ぜひ、私の言葉じゃありませんから聞いていただきたいんですが、本当に国民の理解が得られるような状況にならないのであれば、一年かけてでもやった方が自分たちにとっていいというふうに言っていましたよ。そういう大事な法案であるということはぜひわかってもらいたい。
残された時間で歴史認識についても少し聞いていきたいと思います。
先日、党首討論を見ていまして、共産党の志位委員長と安倍総理のやりとりが私は非常に気になりました。ポツダム宣言について、つまびらかに知らないというふうに御答弁をされた。(安倍内閣総理大臣「読んでいない」と呼ぶ)いや、知らないとも一度答弁されています。読んでいないということなら結構です。宣言の文章が全て頭に入っている政治家がどれぐらいいるかというと、これは怪しいですから、そんなことを問うつもりはありません。ですから、そういうことならそういうことと言っていただきたい。
もしかしたらこうじゃないかと思うところがあるので総理に伺いたいんですが、総理は、ポツダム宣言の六項のところにある「世界征服」という言葉がひっかかって、これはなかなか承服しがたいということで、つまびらかに知らない、もしくは読んでいないというふうに御答弁をされたのかもしれないなというふうに私なりに解釈したんですが、これはどういう意味だったんですか。
○安倍内閣総理大臣 党首討論の場というのは、お互いに資料は持ち込まずに率直に見識、見解をぶつけ合うものだと思っておりますから、私も資料は持ち込んでおりませんが、志位委員長が資料を持たれてポツダム宣言を読まれたわけであります。
もちろん、私もポツダム宣言というものは読んだことはございますが、しかし、逐条的に聞かれてそれが正しいかどうかというのは、そこで判断できるほどのいわば記憶もなければ、寸前に読んだわけでもございませんし、質問通告もないわけでありますから、逐条的につまびらかにお答えできない。
世界征服についても、これはポツダム宣言に書かれていることでございますが、それについて志位委員長が挙げられたわけでありますが、しかし、そうしたことも含めて、一々その中の書いてあるものについて私は答えさせていただくことは控えた方がいい、こういう意味において答弁をさせていただいたところでございます。
○細野委員 これは大事な問題なので私も逃げずに私の見解を申し上げますと、世界征服という、この部分については、これは田中義一、戦前の総理の田中上奏文というのがきっかけとなっていて、GHQの中でも大議論があった、東京裁判でも取り上げられているという経緯がありますね。私も、久しぶりにそういうのを全部調べてみましたけれども、やはりこの田中上奏文の実在については、これは極めて怪しい。それがきっかけとなって世界征服という考え方がここでとられているんだとすれば、その部分については、私は、総理がひっかかりをお感じになったのは理解はできます。
ただ、もう一方の方の懸念が当たっているのだとすれば、そこは総理に考えを直していただいた方がいいと思っているんですね。
すなわち、ポツダム宣言は、その流れの中で次には東京裁判につながっている、そして、東京裁判というのが一つの大きなきっかけとなって日本は独立国になり、そして、戦後の談話でいうならば、戦後五十年の談話ができた。
そこで共通している認識というのは、これは主に二つあると思っています。一つは、我が国が国策を誤ったという、この大きな意味での我々としての立場、そして、その国策を誤った責任が、ポツダム宣言でいうならば六項さらには十項に書かれていますが、ここでは「戦争犯罪人」と書いていますが、戦争指導者にあったと。日本が国策を誤り、その責任が戦争指導者にあったという、この基本的な認識は、ずっと日本が守ってきたところですね。
それについては、総理はしっかりと、そうだということを前提にポツダム宣言を受け取られておられるかどうかというところは、これはまた違う意味で重要だと思うんですね。それはどうですか。
○安倍内閣総理大臣 ただいまポツダム宣言の第六項について、世界征服の部分について、田中上奏文との関係についても解説をしていただいたのでございますが、日本は、降伏する上において、このポツダム宣言というのは、この第六項の世界征服を含めて、当時の連合国側の政治的意図を表明した文書であります。政府としては、同項を含め、ポツダム宣言を受諾し降伏したということに尽きるわけでございます。
その上において、さきの大戦の結果、日本は敗戦を迎え、多くの人々が貴重な人命を失ったわけでありますし、アジアの人々にも多くの被害を及ぼしたというのも厳粛に我々は受けとめ、戦争の惨禍を二度と再び繰り返してはならないとの決意で戦後の平和国家としての歩みを進めてきた、このように思うわけであります。
また、そうした結果を生み出した日本人の政治指導者にはそれぞれ多くの責任があるのは当然のことであろうと思いますが、今後は、こうした教訓、反省を踏まえた上において、二度と戦争の惨禍を引き起こしてはならない、この誓いのもとに我々はしっかりと歩みを進めていきたい、このように考えております。
○細野委員 今、多くの責任という話があったんですが、では、さらにもう一問聞きます。
東京裁判、これについての総理の認識も、私は若干気になっています。「東京裁判という、いわば連合国側が勝者の判断によってその断罪がなされたということなんだろう、」という答弁も過去にあった。今の、多くの責任がそういう戦争指導者にあったということなのであれば、そこは、東京裁判も含めて、その責任を正面からお認めになるということでいいですか。もう一度答弁をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 我が国としては、サンフランシスコ平和条約第十一条によって極東国際軍事裁判所の判決を受諾しており、それに異議を唱える立場にはそもそもないわけでございまして、東京裁判によって、多くのいわば裁かれた日本人が死刑判決また体刑を受けているわけでございます。それは我々はまさに受け入れたわけでございます。
それと、日本にとって戦争をどのように考えるかというのは、また日本にとって、まさに先ほど申し上げましたように、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない、その中で、その結果を生み出した日本人の政治指導者には当然その責任があるわけであります。
我々は、大切なことは、今後戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない、こういうことでございまして、そのためにも、ただ平和、平和と唱えるだけでは平和は守れないわけでございまして、地域や世界の平和安定のためにも貢献しつつ、そして我が国に対しての侵略、いわば侵害行為はしっかりと抑止をしていくという努力も当然大切ではないか、このように思うところでございます。
○細野委員 もう時間も少なくなってきましたから端的に伺いますが、過去こういう答弁もされていますね。東京裁判のA級戦犯は犯罪人ではないという答弁も総理はされている。そこは、小泉総理は犯罪人だと明確に言い切りました。
ここは、総理、今の御認識であれば、きちっと認識を改められるということでよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 かつて、大橋法務総裁の答弁をかりまして、いわば平和条約、サンフランシスコ平和条約を結んだ時点において不可逆的にこれはまさに終結をしたわけでございまして、その中において、通常であれば、いわばまだ収容されている戦犯の人々については釈放を普通するわけでございますが、しかし、サンフランシスコ平和条約の十一条に書かれているように、日本国の判断だけにおいては釈放できないというものも受け入れた中において、いわば連合国側に働きかけを行ってきたということであります。同時にまた、その後、遺族年金等の支払いにおいての処理は細野委員も御承知のとおりなんだろう、このように思うわけでございます。
いずれにせよ、我々はまさにこのポツダム宣言を受諾し、そして、その後の東京裁判の諸判決について我々はそれを受け入れたということでございまして、それに尽きるわけでございます。
○細野委員 そこは、総理、すっきりお答えにならないんですね。
私がこれまでの総理の累次にわたる答弁を聞いていて感じるのは、これは私の感覚ですが、感じているところを率直に申し上げると、戦争犯罪人についてのさまざまな責任論について、総理はやや相対化されている部分があるんじゃないか。相対的に重い責任があるとか、そういう言い方をされる。これは、私は政治家としてはやや危うい判断だというふうに思っています。
なぜ今これを問うたかなんですが、最後、もう時間がなくなりましたので、総理にここだけはぜひ御理解をいただきたいんですが、今回、この法律をお出しになって、いろいろな、これまで日本がやらなかったことについても判断を総理がするということになるんでしょう。
私は、率直に言いますと、国民の世論というのはいろいろ振れる可能性があると思うんです。
一つだけ例として皆さんにお示しをしたのが最終ページなんですが、これは、今、私が引用させていただいたポツダム宣言を伝える当時の新聞記事なんですね。(発言する者あり)これは実は読売新聞なんですが、朝日新聞も似たようなものです。この右肩を見てください。「笑止、」と書いてあるんです。「笑止、対日降伏条件」と書いてあるんですね、笑いがとまらないと。もうあれだけ日本が追い込まれて、終結をしなければならないような場面になっても、この新聞は、当時の新聞は、笑止だ、笑いがとまらないと言い放っている。
つまり、マスコミもいろいろ世論は変わり得る、さらに国民世論は変わるという中において、どういう状況になったとしても、最後は総理が決めるんですね。そのことを考えたときに、当時の状況がいろいろあったから指導者の責任について相対化するという考え方は極めて危険である、そういう意味で、歴史認識を私は問いたかったということでございます。
時間がなくなりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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