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なぜ共和党候補争いは流動的なのか 米大統領選

 2016年米大統領選に向けての共和党候補による第4回テレビ討論会を前に言うのはおかしいかもしれないが、同党指名候補争いはこれまでにないほど流動的になっているように思える。現在のところ確実になったものは何もなく、年末までに状況は大きく変わる可能性は大きい。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とFOXビジネス・テレビは 10日夜に共同でテレビ討論会を開催するが、一見すると状況は安定しているようにみえる。不動産王のドナルド・トランプ氏は7月以降支持率でトップ圏を維持しており、元神経科医のベン・カーソン氏はトランプ氏の強力な対立候補として引き続き脚光を浴びている。その他の候補は低迷したままだ。なのに、なぜ共和党候補争いは流動的なのか。底流を流れている不確定要素について考察してみよう。

 トランプ氏が、共和党のみならず米政治の歴史に反して勢いを維持しているのは、彼が政治のアウトサイダーだからという理由だけではない。彼は自由貿易と移民には懐疑的で、シリア内戦と公的給付制度の抜本的な改革などに反対を表明している。仮にこれが現在、大統領候補指名争いで勝てるポリシーミックスであれば、共和党は実際に劇的に変化したことになる。

 さらに彼は、米国民の間に広がっている後ろ向きの気分を刺激しているのだ。WSJとNBCテレビの最新の世論調査結果によると、トランプ氏に後ろ向きの気分を感じる人は56%に達している。大統領選でこうした後ろ向きの気分をかき立てる候補が有力となるのは異例のことだ。彼が、新しい共和党を形成する可能性はあるが、その仮説はまだテスト中である。

 一方カーソン氏は今や、アイオワ州の共和党支持者間の支持率ではトランプ氏を追い抜いたようだ。しかしカーソン氏も、共和党有力候補としては異例の立場にある。しっかりした税制改革案を持っていないのだ。そして、突然ダウンサイド・リスクに見舞われた。彼はこれまで、マスコミによる厳しい身元調査にさらされてこなかった。貧困家庭に生まれながら医学界のヒーローにのし上がったという身の上話が細部にわたって調べられており、話の一部にほころびが出てきている。

 ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、知名度や資金面で大きな強みを持っていながら、苦戦を続けている。ただここ数週間は切迫感を持って選挙戦を再始動させた。クリス・クリスティー・ニュージャージー州知事は急に勢い付いた。争点として公的給金改革を取り上げ、他候補との差別化を図っている。上昇気流に乗る可能性が大きいのは、テッド・クルーズ、マルコ・ルビオ両上院議員である。トランプ、カーソンの両氏が失速すれば、同じアウトサイダーとして売り込んでいるクルーズ氏が漁夫の利を得そうだ。一方ルビオ氏は、一度に3枚の切符を切れる候補である。つまり新顔で、保守派で、共和党主流好みなのだ。

 もちろん、今回の大統領選は異例の展開をたどっており、思い込みは禁物だ。ただ、状況が大きく変わるのはほぼ間違いない。

(筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長)

By GERALD F. SEIB

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