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繰り返される政党支部名称変更で調査困難――加藤勝信大臣の収支報告

一億総活躍担当大臣・加藤勝信衆議院議員(岡山5区)を代表とする自民党支部の名称・管轄地が過去三度にわたって変更され、別の自民党衆議院議員の自民党支部もまた加藤氏と同じ支部名を使って頻繁に名称と管轄を変えている事実とあわせて、同氏をめぐる政治資金の流れがきわめて見えにくくなっていることがわかった。

故・加藤六月元衆議院議員の娘の夫で大蔵省(現財務省)出身の加藤氏は、2000年に自民党から比例区で衆議院議員選挙に出馬して落選する(03年に当選)。その際、自身を代表者として「自民党岡山県衆議院比例区第1支部」(以下、「比(1)」)を設立、総務大臣に届け出た(注)。06年、加藤氏はこの「比(1)」の名称を「自民党岡山県衆議院第5選挙区支部」(以下、「選(5)」)と変え、管轄地を岡山県選挙管理委員会に移す。4年後の10年、「選(5)」を「比(1)」に改め、総務省管轄に変更。さらに3年後の13年、「比(1)」から再び「選(5)」に変え、岡山県選管に戻した。

選挙事情にあわせた変更だろうが、支部名と管轄地が変わるたびに収支報告の場所と要領が変わり、調べにくいことはなはだしい。

だが問題はこれにとどまらない。元自民党衆議院議員・村田吉隆氏(引退・元国家公安委員長)もまた、加藤氏と同じ政党支部名をつかって頻繁に名称・管轄変更を実施、話をややこしくしている。

1994年に「自民党岡山県衆議院第5選挙区支部」(「選(5)」)の設立届が岡山県選管に出され、翌年村田氏が代表になる。06年、「自民党岡山県衆議院比例区第1支部」(「比(1)」)に名前を変え、管轄を総務省にする。10年、「比(1)」を「選(5)」に戻し、管轄地を岡山県選管にする。

村田氏は12年に政治家を引退するが、その際「選(5)」を「自民党岡山県衆議院支部」に名称変更し、解散する。

以上の結果、「選(5)」は94年から現在まで連続して存続しているように見える。「比(1)」も、00年の設立以降13年の名称変更まで続いている。だがこれら二つの政党支部の収支報告書を年々追うと、各所で断絶し、カネの流れを見失う。

たとえば、村田氏の資金管理団体「和平クラブ」は、「選(5)」に8000万円を貸し付けていて(98年収支報告書で確認)、10年と11年の同和平クラブの収支報告書には、それぞれ「比(1)」(当時の代表者は加藤氏)に8000万円を貸し付けている旨の記載がある。しかし、借りたはずの「比(1)」の同年の報告書には該当する記載がない。また「選(5)」の11年分と12年分を比べると、繰越金など収支がつながらない。「トヨタ」の決算が今年と前年で食い違うようなものだ。

【名ばかり政党支部】

奇妙なことがなぜ起きるのか。官報や岡山県公報を調べ、選管に繰り返し問い合わせをして判明したのが次の事実である。

▼村田氏が代表の「選(5)」と「比(1)」は実質的に同じ団体、▼加藤氏が代表の「選(5)」と「比(1)」は実質的に同じ団体、▼村田氏の「選(5)」と加藤氏の「選(5)」は別の団体、▼村田氏の「比(1)」と加藤氏の「比(1)」は別の団体――。つまり政党支部とは名ばかりで、中身は「村田団体」と「加藤団体」ということらしい。

なお、「8000万円」をめぐる問題は、貸し手の和平クラブと借り手の「村田団体」の双方が解散することでさらなる報告義務はない――というのが岡山県選管の説明だ。これも収支報告書をふつうに読む限りでは理解不能である。

政治とカネの透明化を目的とした政治資金規正法の趣旨に照らせば、収支報告の体をなしていない。

取材に対して秘書の加藤則和氏は「ノーコメント」といったん回答。理由をただすと、「非公式だ」としながら「質問は的がはずれている」「聞く先が違う」と述べたのち、「じゃ、政治資金規正法にのっとって対応しているということで」と {正式に} 答えた。

(注)政治資金規正法6条で、主たる活動区域が一都道府県の場合は各都道府県選挙管理委員会に、二つ以上にまたがる場合は総務大臣に届け出る義務がある。

(三宅勝久・ジャーナリスト、10月30日号)

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