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資源のある国、ない国

カナダに長年住んでいてかつて、思っていたことがあります。「資源がたくさんある隣のアルバータ州はうらやましい」と。消費に対する州税がかからないなどの税制のメリットがその第一の理由ですが、オイルブームの時は州全体が好景気に沸いてここBC州からも多くの若者が賃金が良いアルバータに向かっていきました。

そんなアルバータ州も今、住宅ブームはすっかり冷め、キーストーンXLパイプラインの話も葬り去られ、原油価格は低迷したままとなり、元気をなくしているように見えます。

新興国経済に不安感が台頭しています。特にかつてBRICSと称された国のうち、ブラジル、ロシア、南アフリカといった資源に経済が傾注している国は厳しい情勢が続きます。先進国でもオーストラリア、カナダの厳しさが目立っています。

一方、資源のない国、例えば同じBRICSでもインドは資源が少ない国として知られていますが、経済は他国に比べはるかに好調であるとされています。他にも資源輸入国ながら経済好調なフィリピンやスーチー氏が勝利したミャンマーなどもこれから注目されるのでしょう。先進国では日本をどう評価するかですが、企業の稼ぎっぷりをみるとまだ元気はありそうに見えます。

先進国でも資源国でありながらも自国経済の足腰がしっかりしている国、例えばアメリカ、イギリスは好調となっています。両国とも石油などの資源が豊富でありますが、経済がそれに頼り切っているという感じはなく、経済のポートフォリオとしてバランスが取れていると言えそうです。このあたりが、商品相場に左右されない経済力の足腰の強さとなって表れているのだろうと思います。

勿論、経済のからくりだけをみれば資源価格が下落すれば資源のない輸入国家がメリットを、輸出国家がデメリットがある、とあっさり斬ることができるのですが、そこから更に一歩踏み込んでみる意味もありそうです。

カナダにいて思うことはまじめだけど企業や人の努力は日米に比べ低い気がします。すべてに於いてのんびりしていてワークライフバランスが素晴らしいと称されていますが、豊かな国土ゆえの国民性なのだろうと思います。隣国のアメリカに行けば日本人顔負けのワーカホリックがうようよいるわけでその人たちは夢に向かって突き進んでいます。

カナダの問題点はもう一つ、不動産にある気がします。

バンクーバーでの不動産開発だけはいつまでたってもブームが収まりません。よくぞ、この人口でこれだけの開発が続くな、と思うのですが、これは不動産価格が1986年以降見事に右上がりで資源と同等の経済効果があるからだろうと推測しています。不動産を所有して何年か後に売却すれば一定のキャピタルゲインがほぼ確実に取れる、これが不動産が経済の主体になった都市における最大の病いであります。

夏のバンクーバーのビーチには平日にもかかわらず地元の人でにぎわっています。秋のこの時期、日中、犬の散歩をする働き盛りの人たちを普通に見かけます。働いたことがない、というボンボンは私の周りだけでも結構います。

個人的にはこの汗をかくことを知らない人たちでは潜在的成長期待が少ないと思っています。以前ご紹介しましたが、社会学で「ロシアと東南アジア、どちらが働くか」といえばロシアは働かないと飢え死、凍死をするが、東南アジアは木をゆすれば果物が落ちてくるという話を紹介したと思います。これと同じで資源や不動産に頼り切っていては世の中が激変した時、太刀打ちできないことになってしまうのです。

イランの石油輸出が解禁されますが、一部では密輸され、それがシーア派の活動資金に回り、中東情勢をより悪化させるという専門家のコメントが出ていました。イラクでも同様のことが起きています。結局資源のある国では「悪銭身に付かず」ということなのでしょう。

そう考えると日本は必死に努力し、新製品を開発し、世界に売り込み続けている限りにおいて沈没することはないように感じます。日本では消費が伸びないと言われていますが、100円ショップに行けばすべてが揃う、と言われるほど100均文化が充実しすぎているところに努力しすぎた皮肉な結果があるのではないかと思ってしまうほどであります。

こう考えると世界と比べれば日本の底力はまだまだ十分あると確信できそうです。

では今日はこのぐらいで。

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