技術の発展が描く、クルマと社会の将来像

ジャーナリスト・作家・編集者として活動する石川憲二氏(撮影:田中丸善治)
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前回はハイブリッドやプラグイン・ハイブリッド車の特性のほか、電気自動車の優位性について話を聞いた。日本に限らず世界的なトレンドが電気に向かう中、我々はどのような視点で次世代エコカーを選択すべきなのか。

電化するモビリティ社会とシステム


モビリティ社会全体が電化に向かう中で、最有力は電気自動車なのだろうか。また、利用シーンや“地域性”なども考慮すべきなのだろうか?

先ほど話が出た燃料電池自動車(FCV)は、いろいろな意味でおもしろい自動車だと思います。排気ガスがなく、水しか出さないという点は走行中の環境負荷がきわめて低いということになりますし、燃費や航続距離の問題は今後の技術革新によって大きく改善されていく可能性があるので楽しみですね。燃料電池自動車はまだまだ発展途上なので、今の性能だけでは判断できないです。

ただ、車両側はメーカーの努力でなんとかなっても、燃料の供給システムを担うインフラの整備はもっとも大きな課題でしょう。燃料電池自動車の多くは燃料に圧縮水素(気体)を使います。ちなみに日本のH-IIAロケットなどは液体水素を燃料にしますが、水素を液体状態に保つにはマイナス260度以下にしなければならないので装置もすべて特殊になり、自動車向きではありません。

といって圧縮水素が簡単に取り扱えるかといえばそうでもなく、タンクによる長期保存はできないので水素補給スタンドではその場で天然ガスなどを改質して水素を生産しなければなりません。ガソリンに比べるとはるかに建設コストがかかるため、ガソリンスタンド並みに水素スタンドが建ち並ぶということはすぐには難しいでしょう。

自動車の中には、決まった場所で燃料補給をするものもあります。たとえば高速バスや路線バスはそうですし、長距離トラックやタクシーも計画的に走行すれば限られた補給スタンドに立ち寄ることができるでしょう。したがって、そういう目的には燃料電池自動車が向いているように思いますね。

電気自動車用の充電ステーションはガソリンスタンドよりも設置が簡単ですが、急速充電でも30分以上、普通充電では5~8時間かかるので、自宅と訪問先の両方に供給装置がなければ使い勝手はかなり悪くなります。そういう意味では「気ままなロングドライブ」にはあまり適していないのですが、通勤や買いものなど、生活圏の移動手段としては十分に利用価値があるでしょう。

モビリティ社会の電化は確実に進んでいくでしょうが、そのとき、もうひとつ考えないといけないのがバッテリーの取り扱いに関する問題です。自動車を走らせるようなバッテリーはかなり大きく、しかもさまざまな金属や化学品が使われていますから、そのまま廃棄するとかなり環境負荷が高くなってしまいます。電気自動車自体は構造がシンプルな分、ガソリンエンジン車に比べ部品点数が約半分で済み、廃棄に際しても処理は簡単です。それだけに、バッテリーに関してもちゃんと考えておかなければなりません。具体的には、リデュース(廃棄物の発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)の3Rを社会システムとして完成させる必要があります。

このようなシステムの構築は先進国では可能でしょうが、途上国では現状でも自動車を壊れるまで乗り続け、多くの場合、放置したまま廃棄します。そういう国では電気自動車はもちろん、定期的にバッテリーを交換しなければならないハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車を普及させるのは難しく、それが「ガソリン車やディーゼル車は、まだ長く残る」と考える理由です。ただし、社会の進歩は私たちが想像している以上のスピードで進むことがあるので、石油系燃料も併用できるハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車については、バッテリーの交換サービス込みで販売していくといったことが、比較的、早い時期に可能になるかもしれません。

これからの日本の技術への挑戦に投資するという意識


環境面だけでなく技術面におけるプラグイン・ハイブリッド車に期待する部分には、どのような点があるのか。

「電気で自動車を走らせる」という試みは、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減につながるだけでなく、自動車というものの可能性を大きく広げてくれるかもしれません。なぜなら、モーターはエンジンと違って小さくできますし、電源さえ供給できれば車内のどこにでも設置できます。たとえば、車輪の中に仕込んでしまうインホイールモーターという方式だって実現できるのです。つまり車輪そのものが回るのですから、エンジン車のように車軸や動力伝達シャフトとの位置関係に左右されず、自由に方向を変えることができます。極端な話、タイヤの向きを90度回転させ、自動車を真横に進ませることだってできるのです。縦列駐車が簡単になりますね。

さらにそうした技術は他の分野へ応用していけます。狭いスペースでも前後左右自由に動ける車椅子とか、もしかしたら靴の底に小さな電気自動車を付けることだってできるかもしれません。プラグイン・ハイブリッド車や電気自動車はそんな入口に立っているわけですから、走らせながら自動車のさまざまな未来を考えてみるのもおもしろいでしょう。

カメラがフィルム式からデジタルになり、写真そのものが大きく変わりました。ネット経由で自由に送ったり、さまざまな加工をしたりと自由度が増したのです。自動車の動力源がエンジンからモーターに変わっていくのも同じことで、これからはまったく新しい「クルマ」が次々に登場し、ドライブの概念を変えていきます。

個人的にもっとも期待しているのは自動運転ですね。電気で動かす自動車はコンピュータの指示通り入らせますから自動化には向いています。完全な自動運転が実現すれば、私たちと自動車の関係はまったく変わるでしょう。楽をしたい人はすべて自動車に任せ、目的地を入力するだけで運んでもらう。つまり自家用車が専用タクシーのようになるのです。

また自分で運転を楽しみたい人は、自宅や目的地まで行ったら、入口のところで降りてしまってかまいません。あとは自動車が勝手に走って近くの駐車場に停まってくれる。そうなると、もうガレージは必要なくなるのです。それどころか、出先で他の交通機関に乗り換えるときにもスイッチひとつで勝手にどこかで待機してくれるので、片道しか必要ないときでも気軽に利用できます。さらに先ほどのインホイールモーターのように自動車の構造そのものが変わってくれば、もしかすると持ち運び可能の折り畳み式電気自動車なんていうものもできるかもしれません。とにかく、これからの時代、自動車はどんどん変わっていくのはたしかなのです。

そんな技術革新の先頭にいるのが日本の自動車メーカーであることはまちがいないでしょう。ハイブリッド車でもプラグイン・ハイブリッド車でも電気自動車でも燃料電池車でも最初に完成させるのは日本ですし、さらにトヨタはパーソナルモビリティと呼ばれる超小型電気自動車の研究・開発も熱心に行っています。

これは個人的な意見ですが、私たちが企業の商品を買うということは、企業の新しい技術への挑戦に対して投資をしているのと同じだと思うのです。特にハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車などの新しいプロダクトであれば、強い声援を送っているようなものです。技術立国である日本は、このような開発プロジェクトの成果を通して豊かになってきましたし、世界中から評価をされています。したがって、これからこの国を担う子どもたちのためにも日本の技術を応援していく。そういう考え方も必要なのではないでしょうか。

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