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司法試験委員が法科大学院に求めるもの~公法系2

今回は、公法系第2問を取り上げる。

(引用開始)

5 今後の法科大学院教育に求めるもの
基本的な判例や概念等を正確に理解する訓練を重ねることはもちろんであるが,こうした訓練によって得られる基礎的な知識・理解と,具体的な事実関係を前提とした,事案分析能力,法の解釈・適用能力,文書作成能力等との結び付きを意識して習得させるという視点に立った教育を求めたい。

多くの答案からは,本問で論ずべき主な論点の内容自体について基本的な知識・理解を有していることがうかがわれ,この点,法科大学院教育の成果を認めることができた。しかしながら,各設問における具体的な論述内容を見ると,問題文等の指示から離れて一般論・抽象論の展開に終始している答案や,会議録から抜き書きした事実関係と一般論とを単純に組み合わせただけで直ちに結論を導くような,問題意識の乏しい答案が,相変わらず数多く見られた。

また,本年度においては,行政法における基本的な概念の理解が不十分であると思われる答案も少なからず見られたが,これは,概念自体を学習していないというよりは,具体的な状況でこれらの概念をどのように用いるのかといった視点での学習が不十分であることに起因するように思われた。

法律実務家に求められるのは,法律解釈による規範の定立と,丁寧な事実の拾い出しによる当てはめを通じた,具体的事案の分析・解決の能力であり,こうした能力は,理論・法令・事実を適切に結び付ける基本的な作業を,普段から意識的に積み重ねることによって習得されるものである。法科大学院には,判例等具体的な事案の検討を通じて,基礎的な知識・理解を確認する学習機会を増やすなど,こうした実務的能力の習得につながる教育を求めたい。

(引用ここまで)


<超訳>~司法試験委員が言いたいんだろうなと思うことを推測しての私の意訳

法科大学院に言いたいねん。

 応用なんていらんねん。基本的な判例や、概念について正確に理解させてほしいねん。それが出発点やねんから。でもそれだけじゃ足りへん。基礎的な知識と理解が学生に身についたっちゅう仮定の上で話すけど、具体的事実を前提として、事案の分析、法の解釈・適用能力、文書作成能力、要するに法律家として最低限必要なことやわな、これらとの結びつきをよう考えさせて、指導してほしいんや。簡単に言うたら、基礎的な知識と理解だけできてもあかんねん。

 ぎょうさん答案見てみたら、この問題で論ずるべき論点の内容自体には、基本的な知識と理解があるようには「窺うこと」はできるかな。でも知識と理解が身についとるとまでは、よう断言できひん。けどまあ、そこんとこは、敢えて言うたら法科大学院教育の成果と言えるかもしれへんな(旧司法試験でもできてたことやけどそれは言わんといたる)。

 せやけど、よう答案読んでみたら、凄いで。問題文の指示を無視して、一般論・抽象論ばーかり書いとる答案、問題文から抜き書きした事実関係と一般論だけ書いて全~く問題の個別的な特性(真の問題点やわな)を無視して結論づけとる答案、こんなふうに問題文の個別的な問題点をほとんど分析できてへんような答案ばっかしや。今年だけとちがうで、だいぶ前から言うてきたと思うけど、相変わらずできてへん。

 ちょっとと違うで、数多くの答案でそうなんや。これはエライことと違うか。

 それから、今年の試験みたら、行政法における基本的概念の理解が不十分な答案も結構あったんや。応用ちゃうで、基本的な、誰でも知っとらなあかん、ほんま基礎の概念の理解やで。まあ、ええように言うたると、概念自体を勉強しとらんちゅうより、具体的な状況でどうやって概念使うたらええのか分かっとらんのかもしれんけど、どう使うたらええのか分からんのやったら、結局使いモンにならんから、そもそも概念の理解ができとるとは言えんわな。「はさみ」つーたらどないな形をしとるもんかを知っとっても、使い方分からんかったらよう使わんわな。それやったら、「はさみ」を理解したとは言えんやろ。

 法律実務家には、法律解釈による規範定立、丁寧な事実の拾い出しによるあてはめを通じた具体的事案の分析・解決の能力が必要やねん。こんな能力は、理論・法令・事実をええように結びつける、ホンマ基本的な作業を普段から積み重ねることで身につくことやねん。悪いけど答案見てたら、法科大学院ではできとらんとしか思われへんわ。法科大学院には、判例などの具体的事案の検討をさせることなんかを通じて、基礎的な知識・理解を確認する学習機会を増やさなあかん(もう一回言うけど、基礎的な知識・理解やで、応用まで行ってないところやで。)。そうせんと、実務的能力を学生に習得させることはできへんで。

(続く)

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