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H28概算要求-その5_10式戦車調達は3両のみ!_自己変革能力を伸ばした防衛省

H28の概算要求では、地味ながらも注目すべき点がありました。
10式戦車の調達数量がわずか3両になったことです。

図らずも、過去記事「H25概算要求-その5_10式戦車はせいぜい3両でOK」や「戦車に引導を渡す機動戦闘車」で主張・予言したことが現実となった訳ですが、注目すべき理由は、これではありません。

この調達数量低下は、防衛省が自己変革能力を身につけた証左と見るべきだからです。

上記過去記事では、私が3両でOKと言いつつ、そんなことはできっこないと見ていました。
それは、過去記事「自衛隊の無謬性と自己変革能力」を見て頂けば分かると思います。
調達計画を大きく変更しようとすると、財務省が「では、今までの計画は間違っていたということですか?」と言ってくるため、変更することが困難だったのです。

10式戦車についても、平成10年に制式化し、まだ72両しか生産されていません。
調達数量を3両に落とせば、退役までの総生産量が200両に届くことはありえないでしょうし、100両に届くかさえ怪しくなります。
560両生産された61式戦車、870両あまりが生産された74式戦車、340両あまりが生産された90式戦車と比べれば、非常に少ない数で、高額の開発費を投じて新規開発したことは失敗だったと言わざるを得ません。

しかし、それで良いのです。
10年一昔どころか、20年先を見越して開発するのですから、ある意味失敗があって当たり前です。
もちろん、税金を使う以上、失敗をしない努力は必要ですが、失敗を認めずに無駄を続けるよりも、失敗を認めて方向転換すべきなのです。

ですが、上記の財務省との関係もあって、防衛省・自衛隊の自己変革能力は疑問符を付けなければならないものでした。

それが、戦車という非常に象徴的な装備の調達において、失敗を認めて方向修正を図ることができるようになったというのは、評価すべき点だと思います。

経済性を考えれば、3両ではなくゼロにすべきところですが、国内新規開発ではなく、ライセンスだった戦闘ヘリ、AH-64アパッチの調達によるゴタゴタで富士重工が防衛省を提訴したように、10式もゼロにすると防衛産業との関係が悪化します。
上記過去記事で、私が3両と書いたのも、3両くらい調達しておけば、関係維持ができるだろうというドンブリ感情の結果です。

今後、10式の調達は、しばらくは3両程度で推移し、10式に引導を渡した形になった機動戦闘車の現場での評価なども見ながら、どこかで打ち切りになるのでしょう。

失敗を認めて、方向修正を図るのは、自己変革能力を持った健全な組織として、妥当な行動です。

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