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ECBの利上げと資金供給の取扱い

みなさん、こんばんは!

為替千里眼、あっという間にお花見の時期も過ぎてしまい、ソメイヨシノもすっかり緑付いてしまいましたが、これから迎えるGWも震災の影響でキャンセルが相次ぎ、各行楽地の人出も相当に抑えられてしまうものと思われます。引続きG20内でも日本の震災における景気後退が世界経済への足枷とならないかどうか、中東情勢も含めて懸念が広がっておりますが、依然として福島原発の問題は収束していませんし、被災地への補償問題、そして夏場に向けた電力不足懸念など、国内に残された課題は山積しておりますので、こうした懸念をバックに東京株が大きく下落するようだと、再び円売りではなく円買いの基調が強まる可能性もあります。この辺の市場反応は難しい問題だと思いますが、積極的にリスクを取る動きになるかどうかという観点で見れば分かりやすいと思いますので、一段の原油価格高騰などもまた、景気後退観測に繋がりやすいという点は留意しておきたいところかもしれません。

さて、4/7に主要国の先陣切って25bpsの利上げを実施したECBですが、その後も断続的に続く原油高等を背景にHICPは+2.7%まで上昇、追加利上げ観測を背景にユーロは底堅く推移している状況であります。対するFedが6月末までのQE2遂行を表明していることから、一般的に考えてもユーロが対ドルでアウトパフォームする可能性は高く、既にユーロドルは1.50付近まで上昇するのではないかという声も聞かれるほどです。なぜ故にこれほどまでにECBの金融政策方針が注目されているのか、もちろんECBが、FedやBOEより先に行動したのが2008年7月の25bps利上げの1度きりで前例が殆どないこともあるのですが、やはり欧州周縁国の財政問題が深刻化しているなかでの利上げ判断、そして利上げスタンス継続ということで、財政面での不透明感を残していることが一番の要因かと思われます。

ECBは2011年内にもう25bps、2012年に75bps程度の利上げを行うと予想されており、市場も大方当該内容を織り込みつつあります。目先の市場の焦点は、言うまでもなく次回利上げのタイミングであり、市場では6月とも7月とも予想されておりますが、直近のHICPは+2.6%から+2.7%に上昇、インフレ抑制というECBのスタンスと照らし合わせれば、6月利上げという可能性の方が高いのかもしれません。ただし、6月はECBによる公式経済予測の発表を控えていることから、これらの見解を纏め上げた上で追加利上げの判断を下すといった見方もあります。また、直近の課題でもある域内の借り入れが常習化している銀行への対応なども協議、発表されるとの話も出ておりますので、インフレ抑制ばかりに軸足を置いているのではなく、引続き財政健全化に向けた規制強化などにも注力していることが窺えます。

HICPに関しては、引続き原油高等を背景に最終的に+3.0%程度まで上昇すると見られており、欧州圏内の大幅な景気減速や大幅なユーロ高がない限り、教科書的な判断で言えばECBが利上げバイアスを解除する可能性は低く、仮に6月前後に追加利上げを実施したとしても、依然として金融政策は緩和的といったスタンスを解除することは考えにくく、市場も継続的に追加利上げを織り込んでくるものと思われます。無論、言うまでもなくユーロがアウトパフォームすることとなりますが、その他中銀も同様に利上げサイクルを開始するとなれば、現状のようなユーロの一人勝ちの状態ではなくなってくると思われますので、この点は他国の金融政策スタンスにも注目しておく必要があります。

一方でユーロのネガティブ材料として意識される恐れがあるのが、財政危機に陥っている周縁国の問題です。既に、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルは、EUおよびIMFの支援を正式に決定しておりますので、残るリスクとしては各格付け会社によるレーティングリスク程度なものかもしれませんが、その他考えられる懸念とすれば、これら財政懸念国における国内銀行の健全化、ECBより借入の多い銀行に対する新たな資金供給制度が創設される可能性などが指摘されます。前回3月のECB会合後のトリシェ総裁の会見でも「アイルランドの銀行に対する新たなファシリティーについて、何らかの決定をした場合はそれを公表する」と述べられていましたが、これらの包括的な合意には相当に時間を要すると思われ、具体的な解決策が見えるまでは少なくとも数ヵ月掛かると思われます。もちろん、合意に至った際はユーロにとってはポジティブですが、域内諸国からの否定的な見方や合意そのものが先送りになったりした場合には、ユーロネガティブとなる可能性が高いと思われます。

また、現在実施中の資金供給オペの全額供給についても課題として残されております。言うまでもなく、どの時点で正常な状態に戻すのか、Fedでいうバランスシートの縮小と同等の意味合いになりますが、ECBの場合は銀行から要請された額の資金をすべて政策金利の固定で全額供給という方式を取っており、この資金供給(主要リファイナンス・オペ(MRO)、短期リファイナンス・オペ(STRO)、長期リファイナンス・オペ(LTRO))に関しては2011年7月半ばまで続けることをフィックスしております。この異例な緩和措置をどの時点で変動金利に戻すか?というのが市場の焦点でもありますが、もちろんこれら緩和策が終了となれば短期金利は上昇、こうなれば上記で述べましたECBからの資金供給に大きく依存している財政懸念国における銀行などが大きな影響を受けるため、その辺の舵取りをECBがどのように扱うのか、これは現時点では少々不透明な部分です。

このように、逆サイドのリスクはもちろん内在しておりますが、引続きバイアスは上向きであり、他国追従が始まるまではそれなりの堅調さを維持する可能性が高いと思われますので、その点を念頭に置きながら来週のマーケットに取り組みたいと思います。

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