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トヨタ流「年輪経営」の考え方

フォルクスワーゲンは、トヨタを抜いて世界一の座を手に入れたと思った瞬間、不正が発覚し、足元がガタガタに揺れています。
一方、トヨタは、品質問題から立ち直り、好業績が続いています。
何が、明暗を分けたのでしょうか。

東京モーターショーが開催中ですが、先月28日、トヨタ社長の豊田章男さんは、「ビッゲスト(最大)になるより、世の中からグレイティスト(最高)といっていただくほうが将来性がある」と語りました。

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※10月28日、モーターショーでプレゼンテーションする豊田章男さん

豊田章男さんは、08年のリーマン・ショック後の急激な業績悪化や、09年末以降の品質問題を経て、急激な成長ではなく、毎年、木が年輪を重ねるように少しずつ成長を重ねていく「年輪経営」の考え方を、繰り返し主張しています。
2014年度は「意志ある踊り場」と語り、急成長をいさめる姿勢を明確にしてきました。

トヨタの「年輪経営」の考え方については、拙著『社員を幸せにする会社』(東洋経済新報社・10月15日発売)のなかの、Part 3 「トヨタも見習う年輪経営 すべての営みは幸せのために」で、詳述しました。

以下、少し引用してみます。

「豊田章男は、2014年3月期の決算説明会の席上、『意志ある踊り場』という表現で、一本調子の成長に“待った”をかけた。
トヨタは、世界の自動車メーカーとして、販売台数が初めて1000万台を超えるなかで、このまま『量』の拡大を続けると、必ず壁にぶつかると危機感を持った。1000万台を超えても、持続的成長を続けるためには、あえて立ち止まり、研究開発から生産、販売はもとより、組織、人材の育成に到るまで、再構築を図るというのが、『意志ある踊り場』発言の真意である」

今回の「最大より最高」発言は、「意志ある踊り場」発言の延長です。章男さんが数値目標を口にしてしまうと、トヨタ全体が、「数値ありき」の方向、すなわち「量の拡大」に向かってしまう。それを避けるために、あえて規模を語らないのです。

ただし、経営には、やはり数字でなければ引っ張れない部分があります。例えば営業部では、数値目標なしには社員を引っ張れませんよね。

章男さんは、社内では、「果実を提供する会社になる」と語っているといいます。すなわち果実であるクルマを購入する「顧客に喜んでもらう」ということであり、「ディーラーに喜んでもらう」ということです。

果実は、クルマ。幹の太さは、会社の規模。根っこは、社内の仕組みや結束にあたります。
木が細ければ、果実も少ししか実らない。すなわち、会社が小さければ、たくさんのクルマを提供できない。木を太くするためには、それを支える根っこを、しっかりと張る必要がある。すなわち、社内を結束させ、仕組みをきちんと整えなければいけない。

端的にいうならば、商品を顧客に届け続けるために、成長がある。
成長のために、商品を売るのでは本末転倒だということですよね。

マネジメントが、「量」を追わないとはいえ、営業も、ディーラーも、売らなければ成り立たないのがビジネスです。鋭いバランス感覚が求められますね。
その点、フォルクスワーゲンは、世界販売台数1000万台を掲げ、「世界一を目指す」と公言して、躓いた。
つまり、明暗の差は、この“数値目標”にあるんですね。

なお、トヨタの「年輪経営」のルーツは、地方企業にあります。関心のある方は、前述した拙著『社員を幸せにする会社』(東洋経済新報社)のなかの、Part 3 「トヨタも見習う年輪経営 すべての営みは幸せのために」をお読みください。

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