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旭化成建材によるデータ改ざん 大手であっても持ち堪えられるのか 日本経済の劣化

 以前、ヒューザーという会社が建築士とともに構造計算を偽造してマンションを建築、販売していた事件では、その偽造が発覚するや否や、建築士は刑事責任を問われ、ヒューザーは破産してしまいました。
 同時期でしたが、熊本にあった木村建設も耐震偽装が発覚、一時期は民事再生手続きも模索していたようでしたが、結局、破産でした。

 旭化成建材によるデータ改ざんでは、多額の賠償問題が生じることになります。 マンションの建て直しをすることになるということですから、それ自体、負の清算でしかなく、日本経済にとっても大きな損失です。
 ところで販売元は三井不動産であり、発注先は三井住友建設、旭化成建材は孫請けに当たります。
 販売元の三井不動産にも法律上の責任が発生することにはなり、消費者(購入者)に対しては連帯して責任を負います。
 とはいえ、これだけ何百億にもなるような賠償を、これらの企業が負担しきれるのでしょうか。
 もはや旭化成建材に受注する業者は激減するでしょうし、公共事業からも閉め出されます。親会社がどこまで責任を追うのかと言ってみたところで、親会社も連座して破綻まっしぐらでしかないようにも思います。
旭化成ブランド、危機に直面…株価が約2割下落」(読売新聞2015年11月3日)

 このような不正を原因とした巨額の損失にも仮に耐えうる体力がその企業にあるとすれば、どれだけ割高なマンションを建築(販売)してきたんだということにもなりますし、現実にも耐えうるとも思えません。
 賠償のためには今後の「儲け」も吹っ飛ぶでしょうし、そもそも今後も従来通りの「儲け」が得られる見込みも、もはやないわけです。
 1つの不正の常態化が企業を潰すことにもなるわけですが、このような事態を招来するであろうことは誰にでもわかることでありながら、企業内部での抑止力は全くなかったということでもあります。
安全基準の緩和と「自己責任」

 企業ですから、どうしても目先の利益に目が向くということになります。市場原理の発想はさらにそれを推し進めます。
 なぜなら、弱肉強食の中で、人件費すらも削減対象、安全コストにカネを掛けていたら競争力の足かせになるからです。
 今回の事件もデータ改ざんも工期を間に合わせなければ多額の違約金が発生することになることがありますが、短期間で造り上げるということは実質的には値引きのようなものでした。
マンション傾斜:くい打ち、3カ月で810本 速いペース」(毎日新聞2015年11月3日)
 通常よりも速いペースということは、実際には計画通りに行かないことが普通にあるにも関わらず、工期を「短期」に設定したということです。本来であれば工期を延ばすか、当初より、余裕を持った工期でなければならないことになりますが、そうはしなかったということになります。
 これでは必ずどこかにしわ寄せがいきますが、そうであれば発注元も同罪です。

 しかし、さらに問題が深刻なのは、現場で働く人たちの不足と高齢化です。建築現場での人手不足と高齢化が叫ばれて久しく、それ故に外国人労働者を導入せよなどというトンチンカンな案が出てきていますが、論外です。
政府は外国人技能労働者の導入をやめよ
介護だけじゃない トラック運転手が不足 日本はあらゆる分野で劣化している

 旭建材の問題は、日本の生産力の劣化を示すものとして考えるべきです。
 誰もが敬遠する建築現場の仕事ですが、消費者もそれによって造られたマンションでの「快適」な生活を享受するだけでいいのか、しかも、「割安」でということになるのですが、もはや日本の国力がそのような状態にはない、それを自覚すべきでしょう。
笹子トンネル天井板崩落事故に思う 日本の国力低下の象徴

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