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政治的中立という名で教育現場を締め上げる 体制護持のための翼賛教育

 文科省は、全国の高校に生徒の政治活動の「一部解禁」とする通知を10月29日付で送付しました。
 趣旨としては、文科省(当時、文部省)が1969年に高校生の政治活動を校内外を問わず「望ましくない」とする通知を出していたところ、今回、校外については解禁するというものです。
 この通知は直接、高校生の政治活動を制限するものではなく、あくまで文科省が高校に対して生徒をそのように指導せよということを目的とするものです。
 しかし、現実には、そのような通達が文科省から来れば、高校としてはそれに従った対応を行い、生徒の政治活動を制約することになります。
 このような制限が憲法で保障された政治活動を自由を侵害するものであることは明らかです。
高校生の政治活動 文科省が学外では『解禁』? 高校生の政治活動の「禁止」は不当な制限

 この通達について朝日新聞に私のコメントが掲載されました。
高校生の政治活動を不当に制限する通知は憲法違反だ。校外では認められ、全面禁止だった今までよりましとの見方もあるが、そんな決まりが忘れられていた今改めて出すことは、むしろ禁止を強調することになる。
「安保関連法制は良いと思う?」と教員が意見を言うのもだめなら、政治を考えるなと言うに等しい。学校は生徒の自主性を尊重してほしい。


 今、このような通達が出されのは18歳選挙権が実施されるからではあるのですが、そもそも忘れ去られていたような通達が息を吹き返したようなもので、改めてこのような通達することによって生徒の政治活動の押さえ込もうとする意図がありありです。1969年の通達など既に忘れ去られていたのですから。
 そして、そこで用いられる決まり文句が「政治的中立」です。
 これがあまりにも露骨に教育現場を支配し、必要以上に現場を萎縮させるのです。しかもたちの悪い管理職がいると、俄然、はりきって取り締まりに動くのですから最悪となります。それこそが政権が望んでいることです。
 (第2次)安倍政権が誕生して以来、「憲法を守ろう」ということさえ、政治的という扱いを受け、各地の自治体などで集会やシンポなどの実施が妨害されました。
政権に気遣い、ピリピリする役人たち 制服向上委員会の自民批判に後援取消 全体主義に向かう日本

 北海道では、教室に「アベ政治を許さない」というファイルがあったというだけで、自民党の道議会議員が教育委員会に調査を迫り、教育委員会が調査の乗り出すという構図です。
安倍政権批判の文言入り文具、有無を調査 北海道の学校」(朝日新聞2015年10月17日)
 この程度のファイルがあった程度で、教育委員会が直々に調査ということになれば教育現場が萎縮していくことは明らかです。
 ここでも政治的中立の名の下に、一切の活動を制約してしまえという教育委員会の思惑が浮かび上がります。

 このような状況では学校現場が萎縮し、それが高校生に対する圧力となることは目に見えています。
 これで有権者としての自覚をどうやって育てていくというのでしょうか。
 もともと民主主義とは批判的に物事を考えるところから出発しています。民主主義とは政権に対し、有権者として批判的に考察することが求められているのです。政権に対するチェック機能を果たすことこそ主権者たる由縁です。
 しかし、そのような題材の提供すら政治的中立を犯すなどということであれば、もはや高校が主権者としての教育はせず、ただただ体制に従うだけの生徒を育成せよと言っているようなものです。
 例えば、戦争(安保)法制については、このような構図になります。

「安保法制とは~」と政府見解をそのまま伝える 
「安保法制と憲法の関係をどのように考えるか」を問う ×

 戦争(安保)法制はおろか、消費税率について問うことすら政治的中立を犯したということになりかねませんし、恐らく安倍政権、文科省の見解は、「ノー」ということになるのでしょう。
 これでどうして主権者教育ができるのですか?
 安倍政権、文科省にとって高校生には政治について興味を持って欲しくない、そのような不純な動機が露骨であり、今回の通達はまさにそれを具体化するためのものなのです。

 体制批判を許さない社会、従順な生徒だけを育成する教育、それがどんなに恐ろしいことになるのか、私たちは自覚しなければなりません。

参照
高校生の政治活動は原則自由であり、必要最小限度の制約しか受けない。教育の中立性は強調すべきでない。」(Everyone says I love you !)

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