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焦点:日銀、追加緩和バイアス続く 新興国・賃上げめぐりリスク

[東京 30日 ロイター] - 日銀は30日の金融政策決定会合で、経済・物価見通しを下方修正するとともに、目標とする物価2%の到達時期をさらに後ずれさせた。物価の基調は上昇しているとの判断から追加金融緩和は見送ったものの、中国など新興国経済の動向を中心に先行きの不透明感はむしろ増している。

当面は経済・物価の下振れリスクを抱えながら、追加緩和に比重を置いた金融政策運営にならざるを得ない状況だ。

<展望リポートに「下振れリスク大きい」と言及>

同日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、15年度と16年度の実質国内総生産(GDP)と消費者物価(生鮮食品を除く、コアCPI)の上昇率見通しを下方修正した。特に日銀が目標に掲げる物価2%の目安としているコアCPIは、15年度を従来の前年比0.7%上昇から同0.1%上昇に、16年度を従来の同1.9%から同1.4%に大きく引き下げた。

このため、これまで「16年度前半ごろ」と見込んでいた物価2%の到達時期を「16年度後半ごろ」に先送り。それでも、物価2%の後ずれは「基本的に原油価格が圧倒的に大きな要因。物価の基調は着実に改善している」(黒田東彦総裁)として、現行の量的・質的金融緩和(QQE)の継続を決めた。

もっとも、今回の展望リポートでは、物価見通しについて「中長期的な予想物価上昇率の動向などをめぐって不確実性は大きく、下振れリスクが大きい」と指摘。前回「リスクは上下に大きくバランスしている」としていた経済見通しについても、「海外経済の動向を中心に下振れリスクが大きい」と慎重化させた。

<中国減速と賃上げ鈍化の連動、リスクシナリオに>

特に日銀が警戒しているのが、中国をはじめとした新興国経済の減速が、長期化もしくはより深化する場合だ。こうしたケースでは、企業の収益減少やマインドの悪化を通じて設備投資や賃上げが抑制され、現在の物価の基調をけん引している雇用・所得環境が悪化に転じる可能性がある。

日銀では、政策効果などを背景に中国経済が年内、その他の新興国経済が来年前半にも底打ちするイメージを描いているとみられるが、さらに減速が長期化する懸念が強まる場合には、日銀が強く期待する来年度の賃上げにも影響が出かねない。

すでに海外経済の不透明感を背景に来年度の賃上げに慎重な企業の声も聞かれており、目先は中国をはじめとした新興国経済の動向を見守る展開になりそうだ。

展望リポートでも、物価基調を構成する予想物価上昇率の先行きについて「来年度に向けた労使交渉において、既往の基調的な物価上昇や先行きの物価見通しが、どのように織り込まれて行くかが重要」とし、物価上昇ペースの下振れリスクとして「先行きの海外経済の不透明感などから企業の賃上げに対するスタンスが慎重化する場合」を挙げた。

黒田総裁は会見で、賃上げに「直接働きかけることは権限、責務を離れているので考えていない」と述べる一方、日銀ができることは「労働市場を含めて需給ギャップを改善し、将来の物価の予想を2%の物価安定目標に近づけていくこと」と指摘。

経済・物価の下振れリスクを抱える中、中国など新興国経済や来年度の賃上げ機運の動向次第では、年内にも日銀が追加緩和カードを切らざるを得ない局面がくる可能性がありそうだ。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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