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ここに極まる?

小4男児首つり死亡は自殺か 警視庁日野署
産経新聞 10月28日

東京都日野市の緑地で、首をつった状態で死亡しているのが見つかった小学4年の男児(10)について、警視庁日野署は27日、死因は窒息死だったと明らかにした。行政解剖で判明した。現場に第三者が介在した形跡はなく、同署は自殺の可能性が高いとみて、経緯を慎重に調べている。同署によると、遺体の両手と両足には緩くビニールひもが巻かれていたが、目立った外傷はなく、争った跡はなかった。家庭や学校で特に変った様子はなかったという。

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10歳で自殺?
もし、その根拠が、首の皮下出血や筋肉内出血が少ないためだとすれば問題だ。力に差がある場合、例えば大人が子供の首を絞めた場合、首にはほとんど所見が残らない場合が多い。しかも手足を縛れば力の差はさらに大きくなる。
また、報道でばらつきがあるが、司法解剖でなく、行政解剖だとしたら、大いに問題だ。警察は鼻から犯罪性がないと判断したことになるからだ。

他の国なら、どうしただろう。そもそも司法解剖、行政解剖区分はない。死因がわからない場合、まずは解剖と薬物検査などの諸検査を実施しつつ、平行して捜査を行い、納得いかない点があれば、永遠に捜査を継続できる。この事件も、海外なら、数日で犯罪性がないなどと、国民に疑問を感じさせるような拙速な判断はしないだろう。数ヶ月捜査を継続した上で、自殺の疑いが強まったとか、殺人だったなどと判断するので、国民も納得が行きやすくなる。
しかし、日本では、初動の僅か1日程度で、状況などから警察が犯罪性の有無を決め、解剖するしない、解剖する場合は司法、行政解剖いずれかの判断をするのが、常套化しているので、どうしても捜査が拙速になる。仮に司法解剖したとしても、そうした癖から抜け切れず、自他殺の判断を早めに報道に出す傾向がある。

こうしたことをやめるため、数年前に政府で死因究明制度改革が検討されたが、結果的には役人は、自身の省益だけのために動いただけだった。検視官の増員という、警察庁に旨味のあることだけはしたが、解剖や薬物検査などの法医学的検査を行う人員と設備の整備には手をつけなかった。国会や国民に対する背任行為に見える。
検視官は何倍にも増やしたが、解剖を増やさなかった結果、何が起きたか。
検視官1人あたりの殺人事件取り扱い経験値は何分の一かに落ち、責任も分散された。検視官が過労死するリスクは格段に減ったが、犯罪性の有無の見立てについては、未熟かつ無責任になってはいないだろうか。また、警察庁検視指導室もその点の注意喚起をするなどのまともな指導をしていないように見える。

死因究明制度の改革をするはずが、本来は最優先とすべきだった法医学的検査の充実を無視したため、江戸時代の岡っ引きに逆行したことを実感している。結果的に犯罪見逃しのリスクが増しただけでなく、警察の恣意性が増大し、冤罪発生のリスクが著しく増した気がしている。むしろ後者のほうが大問題かもしれない。

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