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【2011年相場特集】:QE3への延長拡大はあるのか?(その2)

みなさん、こんばんは!
為替千里眼、珍しく円安気味な展開となっている本日のマーケットですが、ドル円は反発したといっても依然平均を上回る水準での円高推移となっているのに対して、東京株は7ヵ月半ぶりの高値1万400円台をつけておりますので、足許の円高が企業業績を圧迫しているという話はどうしたのかしら?と首を傾げてしまう部分でもあります。以前の地合いであれば80円台への下落で既に介入観測が強まっていたのではないかと思えますが、現状はまったくその気配を感じさないことから、円が依然として蚊帳の外になっているのではないか、となると一方的な円売り地合いというのもまた期待できないのではないかと、ちょっとガッカリ感に苛まれたりもします。

さて、今日はFOMC議事録が焦点というお話はお昼の更新で取り上げましたが、昨年に続き、やはり米金融政策動向は市場の焦点ではありますので、昨年更新いたしました「QE3への延長拡大はあるのか?(その1)」の続編といたしまして、後編をお届けしたいと思います。前回のその1をご覧になられていない方は、まず前編をご覧いただきたいところではありますが、前編では今回のQE2に至った経緯と、QE2の実施に伴い市場が当局の思惑に反した展開となっていること、そして今後のQE2の方向性についてお話いたしました。当局の狙いは従来どおり、高い失業率を早期引下げること、そしてディスインフレ状態にある現状のインフレ環境を正常と認識する水準まで引き上げることが、このQE2の目的であることは言うまでもありません。

昨年12/14のFOMCでは、これまでのFOMC声明から大きな変化は見られませんでしたが、声明の一文に、生産の回復は認めながらも、11月の失業率が9.8%と10月の9.6%から上昇したことなど、雇用の回復が依然としてみられていないことに対する不満が示されたのが印象的ではありました。また、インフレ環境に関しても前回の声明では「最近数四半期で低下トレンドにある」という認識だったのが、「長期的なインフレ期待は安定したままだが、基調的なインフレの指標は下方トレンドを続けた」とコアインフレの下落についても神経質になっており、今晩のFOMC議事録でも失業率とインフレ率に関する改善進捗の鈍さについて、何らかの懸念が示されるものと思われます。

QE2が市場に与えたインパクトを市場別に精査してみますと、まず肝心の株式市場ですが、S&Pで見る限り、9月のFOMC以降11月にかけて約4%近い上昇、その後も昨年末までにさらに4%上昇しておりますので、こちらは量的緩和本来の効果に沿った動きとなったと言えます。一方の為替については、QE2発表前からのドル下落に対して、11月以降はその下落分をほとんど取り戻すかのようにドル高となってしまったことで、暗に通貨安誘導をとった政策は見透かされてしまっているかのようにドル高となってしまいました。そして最後の債券市場については、言うまでもなく利回りは上昇してしまい、逆に金利上昇で景気への悪影響が出始めるのではないかという水準まで中長期金利は上昇してしまったというのが実情です。

QE2公表当初はドル安誘導だとの批判が強かったのはご存知の通りですが、今ではQE2の実効性に対する批判が強まりつつあります(期待通りの結果が得られていないという点)ので、中銀の信任を維持するためにも、Fedは中長期金利を低位に維持したい意向を示す可能性は高いと見るのが無難ではあります。中長期金利の上昇については様々な見方がありますが、先のブッシュ減税の延長決定による財政悪化を背景としたプレミアムリスクの高まりと言う要因は僅かで、実際には、市場が量的緩和によって成し得る将来的な景気回復やインフレ上昇、金利上昇に対する期待感とのバランスが、現状は高まっているということではありますので、Fedの認識と市場の認識に温度差があると認識しておけば良いのではないかと思います。

ただ、必ずしもFedが中長期金利の上昇について懸念を示すかどうかは微妙な情勢で、その背景にはやはり堅調に推移している株価が挙げられます。Fedの懸念はなにより、金利上昇によって企業の借り入れコストが上昇、企業業績悪化懸念が株価を押し下げるといったシナリオだと思いますので、現状はまだその症状には至っていないとなると、まだ静観する可能性は残されているかもしれません。ただし、現状のFedのスタンスが最悪株価への悪影響がより明確になるまで変更されないとした場合のリスクとしては、共和党が勢力を強める米議会からの量的緩和批判を更に高めるという悪循環も想定され、Fedの信認低下によって究極的にドル安要因となるとバークレイズは指摘しております。

まさか、そうしたワイルドカードを切ってくることはないかとは思いますが、このような状態にまで来ればQE3の可能性は相当に高まっている筈で、今晩の議事録でもなにもそうした議論がなかった場合には、逆にQE3の可能性がジワリ近づいてきているという捉え方もできますので、その点は頭の隅にでも置いておくと良いかもしれません。まだまだ流動的ではありますが、こうみえて結構複雑な問題でもありますので、市場参加者が妙に神経質になっているのも納得できるのではないでしょうか?(苦笑)

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