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焦点:FRB議長、年内利上げにはメッセージ発信強化が次の課題

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、28日までの連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で12月の利上げを政策課題として見事復活させた。次に必要となるのは、自身から市場へのメッセージ発信を強化することだ。

それによって内部の反対意見を「一掃」し、さえない経済指標が出てきてもうまく乗り切っていける。

今回のFOMC声明文には、12月15─16日の次回FOMCで利上げの可否を判断すると明記されたため、市場では利上げが来年に先送りされるとの見方がやや後退。フェデラルファンド(FF)金利先物が見込む12月の利上げ確率は34%から47%に上がった。

イエレン氏はずっと前から、年内に事実上のゼロ金利を解除することが基本シナリオだと表明していたのだが、FRBの他の何人かの当局者からの異論や、利上げは「データ次第」という姿勢を示してきたために、肝心のメッセージが影をひそめてしまった。

そこでアナリストや元FRB幹部らは、イエレン氏が恐らくは12月初めまでには、年内に利上げをするか、先送りを確定するかをはっきりさせるために「議長としての影響力」を行使するはずだとみている。

同氏が何もしなければ混乱を招き、市場では金利高騰など極端な動きが生じて米国の景気回復が損なわれる恐れがある。

オイラー・ハームズのチーフエコノミスト、ダン・ノース氏は「イエレン氏は内部で反対者を説得し、できるだけ全員一致の決定にする必要がある。そうでないとまた混乱と透明性の欠如にさらされる」と指摘した。

イエレン氏はこれから11月いっぱいまで、物価や雇用に関するデータを点検する時間があるだろう。手始めは29日公表の第3・四半期国内総生産(GDP)速報値だ。

ただ、FRBのタルーロ、ブレイナード両理事やシカゴ地区連銀のエバンス総裁は最近、利上げ先送りを支持している。投資家の間でも年内利上げに疑問が高まっているため、イエレン氏としてはFRB内で合意形成を模索するのをやめて、より強引な形で政策方針を定めていかなければならないかもしれない。

元FRB副議長のアラン・ブラインダー氏は「イエレン氏はもっと積極的になるべきだというのがわたしの意見だ。それは主に内部の不協和音を減らしたり、場合によっては完全に除去する効果がある。12月に利上げするとしても、市場におけるショックや驚きは少なくなる」と述べた。

<地ならしの機会>

イエレン氏が市場に利上げに備える態勢を整えさせる機会は、12月2日にワシントンの経済クラブで予定されている講演と、翌3日の議会証言になるかもしれない。

そのころまでには、FRBは10月の物価指標や製造業、貿易、小売売上高に関するデータを入手できる。10月の雇用統計もイエレン氏の手元にあるだろう。もっとも12月FOMC前に判明する最後の雇用統計である11月分の発表は12月4日だ。

ソシエテ・ジェネラルのチーフ米国エコノミスト、アネタ・マルコフスカ氏は、12月利上げは見送られると予想しながらも、今回のFOMC声明について利上げに向けて「市場の背中をやさしく押すささやかな試み」と分析。今後発表されるデータが利上げの確率を高めるか、そうでなければFRBは利上げが近づいているとのシグナルを送らざるを得なくなるとの見方を示した。

ブラインダー氏は、イエレン氏が同僚の発言を「締め付ける」ことはないだろうが、11月終盤か12月初めに決定的な発言を行って彼らの見解を「場外へと締め出す」とみている。

その上で「イエレン氏がもしも何をすべきかはっきりした考えを持っているのなら、彼女がそうした意見を非常に強力に前面に出して異論を圧倒していくのはほぼ間違いない」と語った。

*写真キャプションを修正します。

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