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南シナ海における米イージス艦の航行は緊張の高まりを意味しない 市場関係者は頭を冷やした方が良い

米海軍がイージス艦、ラッセンを南シナ海のスプラトリー諸島に派遣しました。ここは中国が人工島を建設している場所です。

ラッセンは中国が建設した人工島の12海里以内を通過し、暗黙のメッセージとして「米国はこの人工島を中国の領土とは認識しない」というアピールをしたわけです。

因みに国連は人工的に作られた構築物は国土ではないとしており、今回の航行はこの国連の規定を実地にデモンストレーションする意図がありました。

さて、日本では今回の事件は大きく報道されていますが、アメリカでは大きな扱いはされていません。一例として今日のニューヨーク・タイムズはA5面にこの記事を載せています。言い換えれば米国政府は「この件で、マスコミは大騒ぎしてほしくない」と考えているのです。

このNYタイムズの記事を書いているのは防衛関連を担当するベテラン、ヘレン・クーパーと、ジェーン・パーレツです。

それによると、かねてから米議会はオバマ政権に対し「南シナ海でアメリカはもっと自分の考えを主張しろ!」と圧力をかけていました。しかしオバマ政権はそれには乗り気ではありませんでした。つまり義理があるので、しぶしぶやったのです。

今回の航行は、日本、ベトナム、フィリピンの各国に対して「アメリカは彼らの側に立っている」ということを示し、それらの国々をなだめる目的でやったことであり、公式発表、ニュースリリースの類は出されませんでした。

オバマ政権の高官は匿名を条件にNYタイムズに「今回のことは、大袈裟にしたくないんだ」と語っています。

ここからは僕の考えですが、このニュースに接して、すわ(有事のドル買いだ!)とか早とちりしない方がいいと思います。

アメリカは南シナ海の問題については単独で中国と対峙するのではなく、日本の海上自衛隊やオーストラリアの海軍などを招き入れ、グループとして「公海における航行の自由」を守ってゆく考えです

実際、米イージス艦ラッセンの航行に続いて、次はオーストラリアが同様のデモンストレーションを行う可能性が報道されています。

アメリカの本音は、中国と日本という極東の二大国が仲良く折り合いをつけて欲しいというところにあり、あくまでもビジネス優先です。

アメリカにとって南シナ海は重要な地域ではないし、領土的利害も全くありません。

さらに言えば、人工島の建設云々には、ある種のアナクロニズムすら漂っています。なぜなら人工衛星やミサイルなどの軍事技術の発達で、見張り所や補給基地をこしらえる事自体が時代遅れになっているからです。

実は、見張り所や補給基地をあちこちに建設したのは第二次世界大戦前の日本のアプローチです。ワシントン会議とそれに付帯する一連の交渉で太平洋における見張り所や補給基地を作ってはならないということが条約として成立したにもかかわらず、こっそりそれを進めたのは他ならぬ我が国でした。

その意味では中国は昔の日本をお手本にしているわけです。

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