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口コミに見る東洋ゴムの「不祥事体質」 生かされなかった「2007年の性能偽装」の教訓

今年3月、建築物に用いられる「免振ゴム」の性能データ改ざんの不正が発覚し、大きな問題となった東洋ゴム。6月には社長らが引責辞任したが、10月14日にはさらに電車や船舶などに使われる「防振ゴム」のデータ改ざんが確認されたと同社が発表している。

不正は本当にこれで終わりなのかと勘ぐってしまうが、口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた社員の書き込みを見ていくと、過去のある不祥事から会社の雰囲気が怪しくなっていく様子が垣間見られる。

一時は「いい傾向だと思います」と評価されていたのだが

実は同社は2007年にも断熱パネルの性能を偽装し、不正に認定を受けていたことが発覚している。その手法は性能試験を受ける際のサンプルにのみ燃えにくい物質を混ぜていたというもので、いま話題の独VW社の排出ガス不正問題にも似ている。

この直後、同社は再発防止に向けて、かなり厳しい締め付けを行ったようだ。ある女性営業アシスタントは2008年の書き込みで、次のような内情を明かしている。
「会社の一部門が不祥事を起こしているので、かなりそういうあたりのことには今まで以上に厳しくなっています。(・・・)周囲や取引先、顧客からも常に注視されており、全て完璧にやらないといけなくなっているので、いい傾向だと思います」

しかし同社は2008年度の決算で、約30億円の営業損失、当期純利益でも100億円を超す赤字を出す。これを受けて会社は「改革」の名の下、成果主義の強化やコストダウンの厳命を進めていく。2007年に7248人だった従業員数は、2009年には6862人にまで減った。

このような取り組みに、社員たちは不満を募らせていく。研究開発部門で働いていた30代後半(当時)の男性は、2010年に次のような書き込みを残している。
「不祥事以降、品質面の取り組みは必死で行っているのは分かります。ただし過度な人員削減や客先無視の拠点閉鎖など、不透明な事業方針を行っている感があり、上司に対する不満はもちろん、愛社精神はほとんどなくなっているのが現実です」

「できるというデータがあるのに、なぜできない」と罵倒

他の社員からも「成果主義とは言いながらも、報酬が毎年変わらない」(営業・20代後半・男性)、「ポリシーのない人事異動が多い。特に技術系で優秀な人が、なぜ?という部署に異動になる」(技術職・30代前半・男性)といった不満の声が上がる。

さらに前述の女性が「いい傾向」と感じていた裏で、新たな不正が始まっていた。同社が10月14日に行った記者会見によると、防振ゴムのデータ改ざんの大半は2008年以降に起きていたことが判明。検査を担当する「品質保証課」は同年に約2割の人員削減が行われており、これが不正の直接の原因になった可能性もある。

2011年度になると、当期純利益は不祥事前の6億円台にようやく回復するが、社員にはさまざまなしわ寄せが及んでいたようだ。生産・製造技術部門の30代後半(当時)の男性は、次のような会社の「改革」手法を嘆いている。
「社の方針による無駄(?)の削減で、比較的楽な部署でデータを取り、問題なしとのことで今に至る。『できるというデータがあるのに、なぜできないのか』と罵声を浴びせられるが、実際すべての部署で通用するデータではなく、今現在その作業ができている者はいない」

都合のいいデータを恣意的に使う手法は、「性能試験のときだけ別のサンプルを使っていた」という以前の不祥事と全く同じといえる。これを良しとする企業風土では水面下に不正があっても、それを表ざたにすることは難しそうだ。

基準に適合しなければ「お前が数値を入れろ」という上司

同社の免振ゴム問題に対する外部チームの報告書には、上司などが部下に不適切な指示をしたといった証言が記載されている。
「大臣認定の申請予定日までに基準内に収まる試験結果を得ることができないのであれば、その結果が得られたものとして申請資料を作成するように」
「性能検査において、大臣認定の性能評価基準に適合しない場合があると『お前が数値を入れろ』」

もしも最初の不正が業績悪化を招き、それを回復させようとする過程で無理が生じて、新たな不正が次々に起こったとすれば皮肉な話だ。逆に最初の不正からきちんと教訓を得て、社員の不満に耳を傾けていれば、このような事態にはならかなっただろう。

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