1通の電子メールに返信するのに、どれくらいの時間がかかるだろうか。
もし、あなたが誰かから返信が来るのを、指で机をコツコツとたたきながら待つタイプならば、以下のことを頭に入れた方が良いかもしれない。
電子メールの返信スピードは、返信者の年齢、返信に使われるのがスマートフォンないしデスクトップ型パソコンか、返信者の受信箱にどれだけメールがたまっているかによって異なることが分かった。それは時間帯によっても違うほか、返信者の性別によっても違う(その差はずっと小さいが)という。
米ヤフー研究所の科学研究員ミハイロ・グルボビッチ氏によると、電子メールサービスを提供するヤフーやグーグルのような企業は、この種の情報を活用して、人々が過重な電子メールの負担に対応するのを手助けできる。例えば、すぐに返信できる可能性が高いかや、もっと時間がかかる可能性が高いかに基づいて電子メールの順序を並べ替えたり、すぐに返信が必要なメッセージにだけ通知を表示させたりすることを通じて可能だという。
しかし電子メールの返信パターンは、返信が運ぶ暗黙の情報を、われわれ非研究者が理解するのに役立つかもしれない。
グルボビッチ博士率いる米ヤフー研究所と南カリフォルニア大学(USC)の研究チームは、返信パターンを特定するため、ヤフーのユニークユーザー200万人の間でやりとりされた160億通の電子メールについて調べた。返信にかかった時間、返信の長さ、返信したメールの数を計測し、それら全てを性別と年齢別で分析した。結果はイタリア・フィレンツェで開かれた今年の国際ワールドワイド・ウェブ(WWW)会議で発表された。
研究チームは、大半の返信が迅速だったことを突き止めた。90%は電子メールを受信したその日に返信されていた。返信までの所要時間で最も確率が大きかった所要時間は、受け取ってから2分以内だった。
受信箱内のメッセージの数が増えるなか、ユーザーが返信するメールの数も増えている。だが一般的に言って、ユーザーは増え続けるメールの数についていけず、全体の返信比率が小さくなって終わっている場合も少なくない。
ここに年齢の差が現れる。
論文の執筆者の1人であるUSCのクリスティーナ・ラーマン教授(コンピューター科学)は、「若者およびティーンはすぐに非常に短いメッセージを書いて返信する」と指摘。「彼らは電子メールの負担が気にならないようだ。(受信に)ちゃんとついていっている」と付け加えた。
ティーンが返信するまでの時間(中央値)は13分だった。51歳以上(返信が一番遅いグループ)の返信時間は47分だった。若者と成人はその中間で、20-35歳は16分、36-50歳は24分だった。
多数のメールのやりとりがなされている会話だと、返信は次第に迅速になっていったが、最後のメールは例外で、これは他の全てのメールより返信が遅かった。同様に、やりとりが進むにつれ、メッセージが長くなる傾向にあったが、最後は簡潔な返答で終わっていた。この最後の短い返信が伝えた暗黙のメッセージは何か。話はこれでおしまいということだ。
男女による差は大きくなかったが、研究チームは女性からの返信については、4分ほど長く待たなくてはならない公算が大きいことを突き止めた。
また、返信に使われるデバイスは、返信のスピードと長さの両方に影響をもたらしていた。携帯電話から送られた返信は最も速く、最も短かった。これは携帯電話では電子メールを受信すると、ユーザーに通知するよう設定されている場合が多いことが理由かもしれない。
携帯電話からの返信時間(中央値)は28分、文の長さは20語だった。タブレットからだと、返信時間は57分、長さは27語だった。デスクトップパソコンからでは、返信時間が62分、長さが60語だった。
今回のヤフーによる研究は、分析したデータの量が膨大なことで他の研究に卓越しているが、研究チームは結果が偏っている可能性があることを認めている。なぜなら、参加者全員が情報の収集を容認(オプトイン)したヤフーユーザーだからだ。
ラーマン教授は「オプトインした人々は、系統的に他のヤフーユーザーや電子メールユーザーと異なる可能性がある」と述べ、「われわれとしては、オプトインした人々の間に十分な無作為性があり、一般的な人口、つまり利用者全体の様子が反映できていることを願いたい」と付け加えた。
By JO CRAVEN MCGINTY