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戻り鈍いトヨタ株、日本株急伸でも残る不安感

[東京 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による追加緩和の示唆で日本株は急伸したが、市場には慎重ムードも濃い。国内時価総額トップで、日本株の代表格であるトヨタ自動車<7203.T>株の戻りが鈍いためだ。

世界景気に対する過度な懸念が後退しつつあるとはいえ、下期以降の景気や業績動向に不安感があることが、同社株の上値を抑えているという。

<好条件のトヨタ株、重い足取り>   

23日の日経平均は前日比で2.11%(389円43銭)高となったが、トヨタ株は1.27%高。ドル/円<JPY=EBS>が121円に接近するなど対ドルでの円安が進んだにもかかわらず、動きが鈍かった。

トヨタ株はチャート上では75日移動平均線(7593.9円=23日終値)を上抜けた後に押し戻される形となっている。テクニカル的な売り圧力や、信用倍率が9倍と高水準にあることなどが上値を抑えた可能性もあるが、バリュエーションが高いわけではない。

予想PER(株価収益率)はトヨタが10倍台後半であるのに対し、日経平均は約15倍。ホンダ<7267.T>(13倍台後半)や日産自動車<7201.T>(11倍台半ば)と比べても割安な水準だ。「中国での小型車減税措置や自動運転技術の話題、独フォルクスワーゲン<VOWG_p.DE>の不祥事によるシェア向上への期待など、株高への条件はそろっているのに戻りが鈍い」(国内証券)と、首をかしげる市場参加者は多い。

<消えない先行きへの不安>

PERの低さは高水準の業績予想の裏返しでもある。2016年3月期の連結営業利益(米国会計基準)は前期比1.8%増の2兆8000億円と3期連続で最高益更新の見通しだ。

トムソン・ロイターがまとめたアナリスト28人の予測平均値は3兆0860億円で、会社予想は保守的。少なくとも上期は堅調な業績内容になったとみるアナリストは多い。

ただ、先行きについては「新興国景気の影響を含め、下期以降の業績が気がかりだ」(銀行系証券)との声がある。金融緩和があったとしても、実体経済に与えるプラス効果は限定的で、業績面への不安は消えない。

日本株の上昇は「ショートポジションの巻き戻しの動きにすぎない」(ネット系証券)と、冷めた見方もある。トヨタ株の重さは、市場に残る先行きへの不安の表れと言えそうだ。

<注目される企業のガイダンス>

パインブリッジ・インベストメンツ執行役員の前野達志氏は、ECB総裁の発言を受け、流動性相場への期待感から「短期的に日本株は上昇しても、下期の国内企業業績には不安が残る」と話す。

翌週以降、国内では3月決算期企業の中間決算発表が本格化する。弱気なガイダンスを示す企業が相次げば、投資家心理を再度悪化させる懸念もある。

いちよしアセットマネジメント・執行役員運用部長の秋野充成氏は「過剰流動性相場のため、買い戻しだけでも日経平均は2万円までいくだろう。ただ、そこからさらに上昇トレンドが発生するかが問題だ」と指摘する。

2万円回復後に「企業業績がけん引役となれるかというと、そうでもなさそう。当面は1万6000円から2万円の間のレンジ相場が続くのではないか」との見方を示している。

先陣を切って中間決算を発表した安川電機<6506.T>や日本電産<6594.T>の株価反応は今のところは良好だが、両社とも通期の利益予想は据え置いた。流動性相場への再開にわく株式市場だが、時価総額首位のトヨタが足元の業況と先行きをどう投資家に提示するのか。1つのターニングポイントとなりそうだ。

(長田善行 編集:田巻一彦)

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