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橋下・渡辺会談をいぶかしむー第三極潰しか、なんのための会談か

 維新の党の分裂劇が更に迷走・泥沼化の様相を深めている。参議院で大阪方に与する議員が、維新の党の参議院議員の会派離脱届を提出し、しかも受理されてしまうという珍事件まで起きている。ここまで来ると、その節操のなさは政治家としてはもう末期症状と言われても仕方あるまい。

 かつて、そうした節操のない行動で党を混乱に陥れ、解党に至ってしまった政党があった。言わずもがなであるが、みんなの党である。みんなの党は、自民党でもなく民主党でもない第三勢力として登場し、自民党でも民主党でもない有権者の受け皿となることを目指して多くの支持を集め、一時は衆参合わせて30議席を超える勢力となった。しかし、それも束の間、党のガヴァナンスを巡る対立で党代表自らがクーデターを起こして江田幹事長の解任、古参の柿沢議員の追放、さらには第三勢力の結集という結党の理念をかなぐり捨てての政権与党への擦り寄りで大量の離党者を出した。

 党代表自らの政治とカネに関する疑惑で一時は党代表から退き、表舞台からも退いていたものの、突如「与党再編」なる摩訶不思議な概念を持ち出して再登場し、時の浅尾代表への辞任を迫るという理解しがたい行動にまで及んだ。結果党内は再び混乱し、浅尾代表ら執行部の苦渋の決断で解党に至った。

 その渦中の人であった渡辺喜美氏が、10月20日に、なんと橋下大阪市長と名古屋で会談したという情報が駆け巡った。渡辺氏と橋下氏と言えば、ある種犬猿の仲である。(詳細は拙著『仮面の改革派・渡辺喜美』を参照されたい。)それがなぜ会談に至ったのか。

 報道によると、保守の改革勢力の第三極を新たにつくる絶好のチャンスという認識でお互い一致したであるとか、橋下氏が新党「おおさか維新の会」の結党構想や維新の党の解党について助言を求めたようである。

 橋下氏については、それへの賛否や妥当性は別として、「大阪都構想」といった分かりやすい改革プランがある。一方の渡辺氏は、「ブレない、まげない、くずれない」とのスローガンを掲げていたにも関わらず、特定秘密保護法への対応に象徴されるように、政策的にブレて、第三極の結集という結党の精神をまげて、分裂から解党へと党自体を崩してしまった、その張本人であると言っていい人物である。

 そもそも、解党についての助言と言っても、解党という苦渋の決断をしたのは、浅尾慶一郎氏ら当時の執行部であって、渡辺氏ではない。

 そんな人物が何の助言ができたというのであろうか?(そもそも誰の「鶴の一声」で、橋下氏は渡辺氏に会談を申し入れたのか?そこには渡辺氏が会談に応じることを快諾したことの理由も隠されているように思えてならないが。)

 渡辺氏は、かつては改革派の旗手として目された人物である。その精神がみんなの党のアジェンダには溢れていたし、みんなの党の旗の下に集まった人材はまさに改革派人材であり、第三極の結集というのも、既得権益に縛られずに国家・国民のためになる改革を推進するために必要なものであった。

 そんな改革派の旗手であった渡辺氏は、いつしか「仮面の改革派」に変節してしまい、第三勢力結集の芽を自ら潰し、昨年の衆院選では落選という憂き目に会うことになった。自らどこで道を誤ったのか、何を間違ったのか、それを省みる時間は十分にあったと思うが、第三勢力の結集を雲散霧消させてしまった人物が、離党したにも関わらず、かつて所属した政党を誹謗中傷し、今まさに第三勢力の結集を再び雲散霧消させんとする橋下氏と会談して、第三勢力を新たに作るとは、本末転倒、支離滅裂で開いた口が塞がらない。

 渡辺氏は、今こそ改革派としての原点に立ち返り、自らなすべきことを熟慮・熟考すべきではないのか。誰かに呼ばれたからといって、自らの信念や原点と異なるところにノコノコでていくというのは、潔い姿とは言い難い。付和雷同することなく、潔く、信念を貫き通す、そこにこそ政治家としての立つ瀬があるのではないか。

 そして、今回のような件で言えば、渡辺氏の役割は、橋下氏に同調するのではなく、自らの経験から、橋下氏を諌めるというところに本来あるべきであると思うが。

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