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焦点:外需弱く連続マイナス成長も、政府内に補正予算求める声

[東京 21日 ロイター] - 9月貿易統計で外需の弱さがはっきりし、7─9月期の国内総生産(GDP)は2期連続のマイナス成長となる可能性が高まっている。

一部の民間エコノミストだけでなく、政府部内からも景気停滞を警戒する声が浮上。いずれかの段階で消費や設備投資喚起に向けた補正予算編成が必要になるとの見方が出ている。

<7-9月期の外需寄与度、マイナスの可能性>

「7─9月GDPはほぼゼロ成長だとみていたが、貿易動向を踏まえるとマイナスが濃厚になってきた」──。

政府内では21日に発表された9月貿易統計をみて、そうした分析も出てきた。仮にゼロないし多少のプラス成長となったところで、4─6月期のマイナス1.2%という落ち込みは、取り戻せないとみている。

9月貿易統計では黒字になると予測されていたが実現せず、赤字が続いた。数量ベースでみても、内閣府の試算では輸出が減少して輸入が伸びており、外需寄与はマイナス方向だ。

ニッセイ基礎研究所・経済調査室長の斉藤太郎氏は、7─9月期GDPの外需寄与度がほぼゼロになると予測している。

農林中金総研・主席研究員の南武志氏は「先進国経済には明るさも見え隠れするが、中国など新興国経済の不振の影響で世界貿易数量は低調に推移しており、その余波を受けた格好」だとみている。

加えて頼みの米経済が回復しているとはいえ、中国や新興国、欧州経済の弱さを補うほどの力はないというのも、官民エコノミストの一致した見方だ。米国ではエネルギー関連部門を中心に製造業の弱さが目立ち、鉱工業生産は低迷している。 

地域別の日本からの輸出数量(内閣府試算)は、米国・欧州・アジア向けのいずれも9月は減少している。

<消費も期待ほど伸びず>

他方、内需の柱である消費や設備投資のけん引力は弱い。7─9月の個人消費は8月家計調査が良好だったこともあり、プラスに転じるとの見方が多いが、実質所得の伸びは辛うじてプラスといった程度で、全体をけん引するほどの強さは期待できない。

政府内では「昨年秋の日銀追加緩和で円安・物価高が進み、消費が戻らない」(関係者)と、消費停滞の矛先を日銀に向ける声が多くなっており、追加緩和のシナリオは政府からみれば、頼みの消費に冷水をかける対応と映っている。

このため11月16日発表の7─9月期GDP1次速報値で、2四半期マイナス成長ないしゼロ近傍の成長が明らかになれば、「補正予算の話が必ず出てくる」(政府関係者)との見方も出てきた。 

結局、アベノミクスが目指す景気の「好循環」は、マクロデータをみれば「未達」であると、多くの政府関係者も認めている。

最高益を更新している大企業収益を起点に家計の所得も増えているが、実質所得の増加幅はわずかで消費に回っていないというのが、現段階での政府内のコンセンサス。

<機械受注が急速に悪化>

設備投資計画も増えてはいるが、機械受注の急激な悪化などにみられるように、実際の投資姿勢には企業の慎重さがみえている。

政府は官民対話で経営者に投資を促そうとしている。だが、新興国を中心にした景気減速が鮮明化しており、企業心理はこれから一段と慎重化しかねないとの声が政府部内からも出ている。

政府にとって、人手不足で賃金が上昇し、消費が緩やかに回復。設備投資も省力化投資を中心に増勢を強める──というのが、最も「美しい」シナリオだという。

しかし、安倍晋三首相が繰り返している名目3%、実質2%成長の達成には「日本経済の実力からみて高過ぎる」との声や「今は景気の谷に向かっているところ」など、政府の公式見解とは距離のある冷めた声も、霞が関の官僚から聞こえてくる。

一方、市場の一部では「11月16日のGDPを待って対策を検討するのは時期を失することになる。市場が期待しているのは、積極的な政策対応」(国内証券の関係者)と言う見方も少なくない。

国内景気の現状をどのように政府が認識し、日銀を含めていかなる政策対応を打つのか。市場は29日の9月鉱工業生産速報、30日の日銀金融政策決定会合の行方に神経を集中している。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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