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焦点:衰えぬインバウンド効果、中国経済減速でも消費堅調

[東京 21日 ロイター] - 中国経済の減速が鮮明になるなか、中国人の消費は衰えを見せていない。カードの取り扱い金額やネット通販の拡大など、消費の強さは際立つ。日本の消費を支える存在となった中国人観光客による「爆買い」の行方も注目されるが、国慶節は活況だったほか、地方へも広がりを見せており、先行きを懸念する声は少ない。

<中国人消費は衰え見せず>

中国経済全体としては、このところさえないマクロ経済指標が相次ぐものの、8月の上海株暴落以降も、中国人の消費は堅調だ。中国の小売売上高は、8月に前年比10.8%増となり、4月以降は徐々に伸び率を高めている。鉱工業生産統計が2014年12月の同7.9%増から同6.1%増まで鈍化しているのと比べ、消費は底堅さを保っている。

中国人が買い物に利用する銀聯カードでは、 国慶節(10月1─7日)の取り扱い金額が前年同期比25.4%増の6400億元超にのぼった。このうち旅行での利用額は前年比40%の大幅増となった。

世界のクレジット業界の動向を扱う米国の「ニルソン・レポート」誌によると、2014年のカード会社の取り扱いシェアは、VISAが5割以上を占める中で銀聯カードは1割まで拡大し、マスターカードに次ぎ3位となった。

前年からの伸び率は52%増と他を引き離している。同誌では2023年までにアジア太平洋地域のカード決済取り扱い高は13年の4倍に伸び、米国全体の取り扱い高にほぼ追い付く見通しだとしている。

背景には、中国でのネット通販の急拡大もある。中でも日本製品はひっぱりだこだ。中国ネット通販最大手の京東集団は、日本製品販売サイト「日本館」を今年6月に開設。日本製品5万点を購入可能とした。インバウンド消費に限らず、日本企業にとってネット消費向けの輸出も拡大途上だ。

日本企業の中にも、こうしたネット通販の急拡大を商機ととらえ、打って出る企業もある。

三井物産 <8031.T>と三菱商事 <8058.T>は昨夏、物流高度化ニーズに応えるべく香港企業との共同出資により、施設開発に参画すると発表。中国国内での物流施設を開発・取得し、事業開始後3─4年で1000億円超の資産規模を目指すとしている。

<来年の春節予約も順調>

中国人の消費は同国内にとどまらず、訪日客によるインバウンド消費も、一部で心配されているような変調は見られない。

9月の訪日外国人の数は前年比46.7%増の161万2000人。1─9月の累計は年間で過去最高だった2014年の1341万人を超え1448万人に達した。2020年に年間2000万人にするのが政府の目標だが、今年中にその目標にかなり接近する可能性がある。

国慶節を含む10月前半の全国百貨店売上高は「前年同期比8%増程度で推移している」(日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事)としており、上海株下落や中国経済の成長鈍化に関しては「大きな影響は出ていない」(井出氏)というのが、流通業界の一致した見方だ。

百貨店各社でも、J.フロント リテイリング <3086.T>は、通期の免税売上高計画を250億円から350億円に引き上げた。高島屋 <8233.T>も220億円を300億円に上方修正している。

「流れは急に変わらない」―――。Jフロントの山本良一社長はインバウンドの先行き見通しに楽観的だ。

中国人観光客は1―9月期累計で383万人となり、前年同期比2倍以上の数字で推移している。昨年の訪日中国人観光客は240万人。仮に倍増したとしても、中国人の海外旅行者数1億人の5%に過ぎず、伸びる余地は大きいとみられている。

国慶節が終わり、次の大きなヤマとして、来年2月の春節の動向が注目される。新宿にあるハイアットリージェンシー東京では、春節時期のアジア旅行客の予約状況は「例年通り」(福井雅之・マーケティング部支配人)で、今年の春節と変わらず順調だと話す。

ただ、ある旅行業界関係者は「レジャーは景気の減退後、時差を伴って反応が出る。訪日客に関しても、12月ごろに変化が出るかどうかだ」と、やや慎重な見方を示す。

もう1つ見逃せない要素が円安の行方。過去2年余の円安進行により、品ぞろえが豊富なブランド品が、中国国内より安価かつ安心して買えるという環境が、日本に出来上がっており、多くの中国人観光客は、それをかなり意識しているという。

ある業界関係者は「為替が急速に円高に反転しなければ、訪日客の消費がしぼむことはない」と話している。

(清水律子 中川泉 編集:田巻一彦)

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