安倍総理が、20日に開かれた国家戦略特区諮問会議で自家用タクシーの解禁を指示したと報じられています。
所謂白タクってやつですね。
「過疎地などでの観光客の交通手段に、自家用車の活用を拡大する」
なるほど、なるほど。過疎地でタクシーが走っていないようなところでは、自家用タクシーが認められると大変便利になると思います。でも、そもそもそのような過疎地で例えば観光客を地元の誰かが自家用車に乗せて対価を取ったとして、問題になるのでしょうか?
もちろん、形式的には違法行為であることは分かります。でも、過疎地でそんな行為が仮に行われたところで、誰もみていないし、誰も文句を言う人はいない筈です。だって、それによって不利益を受けるタクシー業者がいないからです。
ということは、過疎地というのは単なる言葉の綾であって、本当はもっと違うところに狙いがあるのではないでしょうか。
案の定、この国家戦略会議は、年度内に(1)特区内での限定解禁、(2)法改正や省令改正などによる全国的な解禁――のいずれかの結論を出したいとしています。
要するに、成長戦略の一環として規制緩和を進めたいが、その対象としてタクシー業界に白羽の矢が立った、と。
そう言えば、安倍総理は先日、生産性革命を起こさねばならないと言っていましたが、タクシー業界の生産性の低さは誰もが気が付いているのではないでしょうか。特に、地方都市などでは、タクシーの運転手が客待ちをしている間、やることがなく昼寝をしている光景に出くわすことは日常茶飯事です。
ということで、タクシー業界に目をつけたのは大いに結構!
しかし、何故白タクなのかという疑問が湧いてくるのです。
白タクを認めるのであれば、今ある個人タクシーの資格をもっと緩和すべきではないのでしょうか? 仮にそれができないまでも、法人タクシーの運転手になることと余りにも資格面で違いが大きすぎるのではないか、と。
具体的には個人タクシーの免許を取るためには、タクシー等の運転歴が10年以上必要であったり、65歳未満であったり、或いは一定の開業資金が必要であったりするのに対し、タクシー会社でタクシーの運転手として採用されるためには、そのような条件は全く課せられていないのです。
さらに言えば、何故ワンコインタクシーを規制するようなことをしたのか? 何故軽自動車でのタクシー営業が認められないのか? 何故料金メーターをつけないといけないのか?
モノ価格は需要と供給の関係で決まります。だとしたら、タクシーの乗車賃も需要と供給の関係できまっておかしくはない筈。乗車したい人が少ない地域や時間帯では乗車賃を安くし、その反対に乗車したい人が多い地域や時間帯では乗車賃を高くするタクシーがあってもよいのではないでしょうか。
しか〜し、既得権を死守したいと考えるタクシー業界の人間にとっては、そんなことをやられるのは甚だ迷惑だ、と。変な奴が業界に参入して秩序を乱すようなことをするから儲けがなくなってしまうではないか、
そして、そのような既得権益者の不満を代弁する議員たちがいるから、タクシー業界の生産性はいつまでたっても低いままなのです。
安倍総理は、まさに既得権益者の利益擁護に奔走する自民党の代表者。その代表の安倍総理が、白タクを認めろと言う。
一体本当の目的はどこにあるのでしょう?
業界や党内部から今後反発が起きることも当然予想されるところなのですが…今後の進展を関心を持って見守りたいと思います。
記事
- 2015年10月21日 13:23