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国民を信じない政治家が国民に信用されるなんぞということは考えない方がいい〜石破地方創生大臣「これからの政治課題を考える」後編

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19日、石破茂・地方創生担当大臣が「これからの政治課題を考える」と題し講演を行った。石破氏は、安全保障問題から、地方創生、自身の立ち上げた新しい自民党内の派閥「水月会」の話題まで、企業経営者らを前に幅広く語った。

本記事では、前編に続き、地方創生の具体策、水月会が目指すものについて語った部分をお送りする。(前編: 安全保障・同盟維持に何倍もの努力をせねば、この国の独立は保てない〜石破地方創生大臣「これからの政治課題を考える」はこちら

ありとあらゆる発想の転換が必要

いま我々がやろうとしている「地方創生」というのは、決して流行り廃りでやるわけではない。

地方の振興策というのは、私が高校生の頃には「列島改造論」があって、勤め人の頃には「田園都市構想」があって、当選一回の頃には「ふるさと創生」があって、歴代政権で地方の発展を唱えなかった政権は一つもありません。

だけど、列島改造にせよ、田園都市構想にせよ、冷戦時代の話です。そして、経済は成長するものである、人口は増えるものである、地価は騰がるものである。この前提に立って政策が組み立てられていました。今は、経済はそんなに伸びない。「GDP600兆円」を達成するためには、それはありとあらゆる発想の転換が必要です。

"失われた20年"ってなんだったのかっていうと、そういうことを直視することがないままに、"みんなで我慢しよう"って、給料を下げ続けてきた20年ではないのかと。"悪いけど、下請け泣いてくれよ"って、下請けに色々な負担を負わせ続けた20年ではなかったかと。

みんな漠然と"これはまずいね"と気がついていたんだけれども、増田寛也先生が書かれた"増田論文"というのがあって、全国1,718町村すべてにおいて、100年後とか200年後とか、いまから25年後、2040年の20代、30代の女性の数がどれだけ減りますかということをすべて出して論を起こしているのがすごいところでございます。これで見るとあと25年経つと若い女性が半分以下に減るというデータが出ている。私の選挙区でも8割減るという所がある。

そういう国がこれから先持続可能なのかと言われれば、それは不可能だと断ぜざるをえない。「それは時代の流れだから、これから先無くなっていくのはしょうがないじゃないの」という人もいますが、そうではありません。さすがにこれはまずいよね、ということで、さあ抜本的に、どのように政策を変えていきましょうってお話なのでございます。

時間差をおいて地方も東京も衰退する

「地方創生」ってのは、東京の人の富を地方にばらまこうなんぞというつまんないことを考えているのではありません。東京は、"集積の利益"ということもございまして、情報であるとか、文化であるとか、金融であるとか、その世界の中心として、さらにその持てる力を最大限発揮しなければならない。それは東京が日本国に対して果たすべき責任だと思います。

昭和30年(1955年)から昭和45年(1970年)のたった15年の間に、この東京圏には北海道から、九州から、500万人が来たという、人類史上かつてないことが起こりました。私はそのとき小学生、中学生でしたが、高島平団地とか多摩ニュータウンとか、いろんな団地がどんどん立って、あるいはあちこちで学校が足りなくてプレハブ校舎作ってと、そんなニュースを毎日見ておりました。

昭和30年に15歳で東京に来た人は、今年75歳。いわゆる後期高齢者に入ります。このまま放っておけば、昭和30年から45年までに起きたことのきれいな裏返しが東京で起こります。今まで東京は若い街だったから、医療や介護が十分じゃなくてもやれたんです。これから先、高い東京の地価、高い人件費の下で、これから先の15年を乗り越えることができるか。それは極めて厳しいものだと思っております。

かてて加えて、明日、首都直下型地震が起こってもちっともおかしくない。国交省の資料集に出ていますが、ドイツの保険会社が出した「世界の主要都市危険度ランキング」というのがあって、東京はダントツのトップですからね。直下型地震がいつ起こってもおかしくなく、木造密集住宅がこれだけあり、インフラは老朽化し、大深度を地下鉄は走りということであって、危険度は実に高い。

そして東京が抱えている課題は、その急速な高齢化とともに、ダントツの少子化をどうしますかというお話なのでございます。

そう考えてきた時に、この東京の持っている負荷をどのようにして減少させていくかというと、東京のためというよりは、むしろ日本国全体のためにこれをやらねばならないというのは、ご理解を頂けるかと思います。

東京は食料が作れるわけでなく、エネルギーが作れるわけでなく、出生率は全国最低であって、そういうところだけが残る国家というのはありえません。

製造業も、かつてのような雇用と所得、企業誘致を実現するのはむずかしいでしょうよと。その方々が、かなり医療とか介護にシフトしてきたんです。大勢の若い方々が、高齢者の方々の医療の介護に従事をしていただいているのですが、高齢者の絶対数が減り始めると、そこに失業が起こるんです。東京はそういうマンパワーが足りないっていうことが起こるんで、このまま行けば、もう一度若い人たちの東京への集中が起こるんです。

「東京いらっしゃいよ、給料高いですよ、花の都ですよ」とか言って、また若い人が東京へどっと集まる。食料が作れず、エネルギーが作れず、出生率は最低の東京に集まるということは、なんのことはない、何年かの時間差をおいて地方も東京も同じように衰退する結果が、冒頭申し上げた、このまま行けば、ということにつながるのでございます。

これを止めなければなりません。なんとしても止めなければならない。

農林水産業の改革を

そして、地方においてこれから先何が起こるかっていうと、若い人がどんどん出て行けば高齢化率は高止まりしたままなんですが、東京に比べて20年くらい進んでますから、高齢者の方々の絶対数はこれから減ります。ということはなんですか。いままで地方を支えてきたのは公共事業と企業誘致ですよね?。そこに多くの雇用と所得があったんですよね。だけど、これから先それがバンバン伸びるかって?そういうことはないでしょう。

もちろん、防災とか、繋がっていない路線を繋げるとか、バリアフリーとか、そういうことはやりますが、かつてと同じような雇用と所得を公共事業に期待するのは無理ということです。国家財政もそれを許しません。人口が減っているときには、どうやって町をコンパクトにするかを考えていかないと、町の財政自体が持ちません。中心市街地と郊外の新興住宅を比べると、一人あたりの行政経費は3~4倍違いますよね。財政が厳しい市町村においてこれがサステナブルであるためには、都市のコンパクト化を図っていかないといけないのであります。

公共事業や企業誘致でかつてと同じことを再現するのが難しいとするならば、なんなんだと。それは農業でしょう、漁業でしょう、林業でしょう、観光でしょう。

繰り返しになりますが、日本ほどそれに向いた国は無いんです。土と光と水と温度のサイクル、これが農業の4要素で、この4つにおいて日本は凌駕する国はどこにあるのと。日本が魚が取れる排他的経済水域は世界第6位。水だから体積で言えば世界第4位。なんで漁獲高がピークの半分に落ちたかといえば、それは資源管理のあり方が時代に合わなくなったから。"親の敵と魚は見た時獲れ"、なんてこと言ってたら資源は枯渇するに決まってる。

世界中、木の切り過ぎで困っているが、日本だけは木の切らな過ぎで困っている。木ですから成長するのであって、1年成長する木材の量だけで日本の木材需要は優に賄える。何で山村も林業もこんなになったのだろうか、ということを考えた時に、所有と経営の分離というのがかなり進み過ぎて実態にあわなくなったということがございましょう。だって山持ちと森林組合が別ですから。所有権は山持ちで、施業は森林組合がやりますから、綺麗に所有と経営が分離されているのが、いい結果をもたらしたかというと、決してそうではない。

そしてヨーロッパに行けば木造10階建も当たり前。理論的には30階も経つそうです。「CLT」という技術だそうです。日本では見たことも聞いたこともない。山のことは林野庁、建物のことは国交省住宅局。全く縦割りです。木造10階建という話をしたこともない。「お前それはね、木は燃えるんだよ、地震に弱い」。そうでうすか?ほんとにそうですか?世界最古の木造建築物って法隆寺じゃなかったですか?阪神大震災で残った木造建築はいっぱいありますでしょう。難燃製の燃えない木ってとっくに開発されたんじゃなかったですか?私は、東京オリンピックまでにこの「CLT」の技術を確立して、選手村のいくつかはこれで作ってね、ということを舛添さんにお願いしています。

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