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ネットで見かける、あなたの価値を下げる「ダメな批判」の言い回し

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10月9日にリリースした『エヴァンゲリオン化する社会 「逃げちゃ駄目だ」で軋む職場』だが、不思議な売れ方、プッシュのされ方をしている。




Amazonは壊滅状態だ。ついに8万位台までいった。やれやれだ。ただ、イオンに入っている未来屋書店や、地方の大型書店で売れている。文教堂では売れていないが、TSUTAYAでは売れている。池袋のジュンク堂も調子が良いようだ。ブックファーストでは渋谷でも新宿でも大プッシュされている。追加の注文も入りまくっている。11月4日には気鋭の社会学者「男性学」田中俊之先生とイベントをやるのだが、在庫の確保がやや大変らしい。

なんだかんだいって、Amazonのランキングは気にするのだけど、それが全てではない。読者にどう届くかは本によって違うわけだ。そして、新書は初動が勝負みたいな話になるのだが、それは出版社や著者のエゴである。

もちろん、売るため、広がるための努力はするが、現実を直視するしかない。

おかげ様で書評エントリーも。感謝!

田中秀臣先生のブログ
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20151018#p3

TOKYO FM TIMELINEのブログ「まえがきは謳う」
http://www.tfm.co.jp/timeline/index.php?itemid=101440&catid=1485

嬉しいな。

で、ここからが本題だ。

TIME LINEのエントリーでも触れられていたが、Amazonレビューでは「著者は別にエヴァのことを好きでない」というコメントがいくつもついている。これで1点レビューをつけていたりするのだが・・・。

この「好きではない」というのは批判のポイントとしてどうなのだろうか?

これって、私がずっと問題意識を持っている「ネット上での駄目な批判」「相手を批判していそうで、実は自分がわかっていないことを証明する批判」だと思っている。

例えば、集団的自衛権を、消費税増税について賛否を論じる人は、それが「好き」なのだろうか。政治的、経済的な問題だと極論に聞こえるかもしれないが、では、村上春樹を論じる人はすべて、彼のことや作品のことが「好き」なのだろうか?

違うだろう。

評論や批評をする際には、「好き」かどうかは関係がなく、「関心」や「問題意識」を持っているかどうかが重要なのである。

そして、この「好き」だから「論じる(もっというと論じる資格がある)」という姿勢は時に危険だ。学部生の卒論、いや、院生の修論でもありがちなのだが、対象との距離が近すぎるがゆえに、偏った視点に陥りがちなのだ。

というわけで、「好きでもないのに取り上げやがって」というのは、そもそも評論や批評、もっというと、何かを読むとか、論じるとか、そういうことがまったくわかっていない人の言い回しなのである。

まあ、書籍でも書いているが、私がガンダムほどにはエヴァへの愛はない。ただ、その絶妙な距離感ならではの原稿というのは書けたと思っている。「好きではない」という批判は、何も言っていないのと同じなのだ。

同様に、ネット上で何か意見を言っている人の、一見するとかっこいいが、「ああ、わかってないなあ、駄目だなあ、バカに見えちゃうなあ」と思う言い回しは、次のようなものだ。みんな、気をつけよう。

・「だったらお前がやれ」「評論家ではなく、当事者であるべきだ」
→これは、もっともそうで、今時の社会システムをすべて否定している。そして、評論家は評論するのが仕事なのだ。

・「●●のことは、●●にしか分からない(例えば、若者とか学生)」
→これは、学問を否定している。これを例えば社会学者なんかが語っていたら最低。

・「私の周りの若者は皆、●●と言っている」
→でた、現場視点がある風に見えて、n=1くらいの議論。それは自分の周辺の事実でしかない。

・「この調査はサンプル数が少ない」
→こういう人に限って、どれくらいのサンプル数が適切か、言えない。統計のことをわかってそうで、わかっていない意見。

・「私は●●に関わっているからわかるが・・・」
→これも自分の視界でしか語っていない事例。でも、この手の話でも「誰が言うか」で説得力を持ってしまったりするわけだけど。

・「ドラッカーはこう言った。だから、欧米では」
→あくまでドラッカーが言ったことでしかない。そして、人口対比で日本人ほどドラッカーを読んでいる国民はいないらしい。

・「ネットでこんなに叩かれているのに、●●が当選するっておかしい」
→ネット「だけ」で政治は動かないっての。そして、こういう人が言うネットって、せいぜい自分のTL。

・「欧米では〜」
→この手の批判は間違っていないこともあるが、まず欧と米って違うし、たいていちゃんと見ていないし。

・「共同体の崩壊により●●が起きている」
→まともな社会学っぽい評論をしているようで、この手の話をするときは、どういう状態から、どういう状態に変わったのかを論じないといけない。

まだまだあるが、この辺で。

思うに、実は日本のネット元年って何度もあるわけで、その中でも時に私は2011年くらいじゃないかと思っていて、震災というのもあるが、このあたりでスマホもソーシャルメディアも普通の人に普及したし、企業もネットにますますお金を入れるようになったのではないか、と。中川淳一郎の言う「バカと暇人のもの」になったのは、このあたりではないか、と。そして、こういう「わかってそうで、わかっていない批判」をする人も可視化されていったのではないか、と。

あと、ネットでは脊髄反射的に、スピーディーに何かを判断し、言い切ることがウケるけど、ものごとそんな簡単じゃないだろっていう。しかもそれを、記事のタイトルだけで判断していたら最悪だ。

というわけで、賢そうに見えて、バカに見える言い回し、みんなも気をつけようぜ。

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