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中国の実質経済成長率が6.9%もあるとはとても思われない数値的根拠

中国の2015年7-9月期の実質GDPは前年同期比で6.9%の伸びとなっていることが明らかになりました。因みに、1-9月期のGDPも前年同期比で6.9%の伸びとなっていると言います。

 いきなりですが、どう思います?

 貴方は中国のGDP統計を信じることができますか?

 多くのメディアは、中国の経済統計の正確さを巡って懐疑的な意見があると紹介しつつも、一応中国のGDPのデータは正確であるという前提で報道をしているのです。

 まあ、それは仕方のないことでしょうか?

 しかし…

 どう考えても私には納得がいかないのです。

 言ってみれば、インフレ率はゼロ%程度で推移しているのにも拘わらず、デフレは脱却したと言う黒田総裁の発言と同じくらい納得がいかない。

 では、何故納得がいかないのか、計数を基に説明をしたいと思います。

 先ず、今回の中国のGDP成長率が2009年以来の低い伸び率になったとはいうものの、計画値の7%と比べたら僅かに0.1%ポイントしか下回っておらず、言ってみれば大変底堅い動きとなっている理由について、メディアは次のようなことを理由に挙げています。

 「サービス部門の成長加速や力強い消費が製造業と輸出の弱さを補った」(ブルームバーグ)

 具体的には、9月の小売売上高は、前年同月比で10.9%も伸びている、と。

 では、仮に個人消費部門の伸びが年率10%ほどの率で増え続けているならば、GDP全体では7%ほどの成長率を示すと考えられるのでしょうか?

 表をご覧ください。

画像を見る
(資料:中国国家統計局)

 過去10年間ほどの名目GDPの推移を支出ベースで示したものです。(通常示されている生産ベースの数値とは若干異なっていますのでその点ご留意下さい。)

 いいでしょうか?

 2014年の支出ベースの名目GDPは、64兆796億元。

 そのうち個人消費が、38%程度を占める24兆1541億元。

 この個人消費が、株価の下落や景気の悪化にも拘わらず10%の伸びを続けるとすれば、2015年通年の個人消費は26兆5695億元となります。政府消費についても、この際太っ腹で10%伸びるとすれば9兆5448億元。

 あと、輸出は前年比マイナスが続いていますが、輸入もマイナスが続いているので、これはネットの輸出としては前年と変わらずと仮定しましょう。 つまり純輸出額は1兆7463億元。

 となると、残るは資本形成(投資)がどの程度の伸びとなるかですが…中国当局は、現下の中国経済の最大の問題は設備過剰にあると考えているので、恐らく資本形成は前年並み(伸び率ゼロ)よりも多いことはないでしょう。従って、資本形成は29兆5022億元。

 ということで、以上を合計すると2015年の名目GDPが67兆3628億元となり、2014年に比べて5.1%の増加に留まるのです。
 

 ねえ、大甘に見積もっても名目GDPの伸び率は5.1%程度にしかなりません。

 これで勝負はあった?

 しかし…早まってはいけません。というも、GDPデフレーターが低下するような状況下では、実質GDPの伸び率が名目GDPの伸び率を上回るからなのです。

 それに、ご存知でしょうか? 今年になって、中国のGDPデフレーターがマイナス1%程度で推移していることを。

 仮に中国の2015年デフレーターが前年比マイナス1%となれば、2015年の実質GDPの伸び率は6.1%となります。

 要するに、全ての面であま~い見積もりをした結果が実質6.1%の伸びとなる訳でして…

 しかし、いろんなところで鉛筆をなめるようなことをしていると考えるならば、よくて3%台程度といったところではないのでしょうか。

 5年間は調整期間が続くと言っている訳ですから、その間設備投資を増やすようなことはあり得ないと思うのですが…もし、それにも拘わらず設備投資を増やせば、問題は益々深刻になるだけのことなのです。

 最後は、GDPデフレーターがどんと落ち込んだことにして実質GDPを支える作戦に出るということになるのでしょうか?

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