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カリフォルニアでも進む太陽光発電の買価下落 - 土方細秩子 (ジャーナリスト)

 ソーラー発電、と言えば「初期費用はかかるが電気代が大幅に節約できるエコな技術」というのが共通認識だが、米国で今それが大幅に変わろうとしている。

 米国ではソーラーパネルを設置している家庭や企業には「ネット・メータリング」が適用される。ネット・メータリングとは、売電の際にメーターが逆回りするシステムだ。つまり電力会社は販売するのと同価格でソーラー発電からの電気を買い取っていることになる。この買取価格を大幅に下げ、かつ様々な追加料金をソーラー発電に課そう、という動きがある。

 ネット・メータリングの変更を提案している州は全米で16州に及ぶが、中でも最もソーラー発電普及率が高く注目を集めているのがカリフォルニア州だ。

 同州では今年8月4日、パシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)、サザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)など大手電力会社が連名で州の公共ユーティリティ協会にネット・メータリングの変更を求める意見書を提出した。

 電力会社側の言い分は、「ソーラーパネルの価格は発売以来劇的に下落し、今後より多くの家庭が設置に動く。その結果、今後10年でソーラーパネルを設置していない家庭や企業にかかる負担がより重くなる」というもの。この額はPG&Eの試算では240億ドル、SCEでは167億ドルに上る。

 負担の内容はグリッド、トランスミッター、保線、メンテナンスなどにかかる諸費用だ。ソーラーパネルを設置している家庭は昼間には売電するが、夜間は電力を購入することが多い。しかし夜間電力料金は低く設置されており、「ソーラーパネルを設置している一部の住民だけが恩恵を享受するシステムは改善されるべき」というのが論点だ。

 変更後は、電力買取額が現行の半分になる他、1キロワットごとの基本料金をソーラーパネル設置家庭にも課す、という。さらに、電力購入量が一定以下の家庭に対する電気料金を現行よりも引き上げる、という内容も含まれる。

 これに対し同州内に本社を置くソーラーパネルリース会社ソーラー・シティを始めとする企業、環境保護団体からは当然のことながら反対意見が提出された。ソーラー・シティは「電力会社の提案は州のソーラー事業者にとって壊滅的なもの」という激しいコメントを発表した。

 実際、カリフォルニア州に先立ってネット・メータリング変更を決めたアリゾナ州では、月に数十件あった新規のソーラーパネル設置が数件に減少したという。一般家庭にとって、ソーラーパネルを設置するメリットが新料金体制では消滅してしまうためだ。

現行システムでは持続可能性がない

 また環境保護団体からも「サステイナブルなエネルギーを供給することは地球温暖化の面から見ても必要不可欠なのに、電力会社は利益のみを求めてソーラー発電潰しに乗り出した」と糾弾の声が上がっている。消費者団体からは「複雑な料金体系を導入するには多大なコストがかかり、そのしわ寄せは消費者に来る」との懸念の声もある。

 しかし電力会社からすれば、ピーク時の高い料金でソーラー発電の電気を買取り、夜間の安い電力供給の増大に備える、など現行のシステムは電力会社の負担が大きい。現行のシステムのままでソーラー発電が増え続ければ、いずれ電力会社は大幅な赤字を抱える可能性がある、という。

 意見書は10月5日から公聴会にかけられ、遅くとも来年前半には結論が出される予定だ。世界でも最大級のソーラー発電件数を誇るカリフォルニアの決定は、全米はおろか世界中の電力会社のソーラー発電への扱いのスタンダードとなる可能性があり、その結果に注目が集まっている。

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