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保険の銀行窓販に関する興味深い資料を見つけました。

金融庁のHPに、先月の27日と30日に行われた「銀行等による保険募集に関する関係者等からのヒアリング」に関する資料*を見つけました。

*詳しくはこちらをどうぞ。

  • 5/31・報道発表資料 銀行等による保険募集に関する関係者等からのヒアリング資料

    今回は、そのことについての感想や個人的に興味深かった資料について取り上げてまいります。

    1.管理人の感想
    掲載されている資料一覧を見て、管理人はあれ?何かおかしくないか?と感じました。

    と、申しますのも、最終的に大きな影響を受ける消費者側から参加していたのは「社団法人 全国消費生活相談員協会」のみだったからです。

    銀行窓販の規制緩和を求めている銀行業界などは、必ず「消費者の利便性向上につながる」と主張しているのに、その消費者サイドからの参加団体が1つだけとは…。

    外部有識者も2名のみで、ほとんどが生保業界、損保業界、銀行業界と利害が対立する団体が参加して意見を交わして合意した仕組みで、本当に消費者の利便性が向上されるのでしょうか?

    何か違うのではないか?と疑問に感じています。

    2.個人的に興味深いと感じた資料
    次に管理人が個人的に興味深いと感じた資料を紹介します。それは、以下の2つです。

  • 江澤雅彦・早稲田大学商学部教授提出資料。「保険の銀行窓販における弊害防止措置について」(PDF)

  • 丹野美絵子・全国消費生活相談員協会理事長提出資料。「消費者からみた銀行の保険窓販について」(PDF)

    なぜ上記2つが興味深いのか、と申しますと、利害関係にない外部有識者から出た窓販を巡る規制緩和を反対する意見と、唯一消費者の立場から出た窓販に関する意見だからです。

    3.上記資料の内容

    以下、2つの提出資料の内容です(いずれも上記PDFより転載)。

    ―早稲他大学商学部 江澤雅彦教授提出資料―

    【保険の銀行窓販における弊害防止措置について】


     (1)2009年7月22日付の独立行政法人国民生活センターの報道発表資料「個人年金保険の銀行窓口に関するトラブル―高齢者を中心に相談が倍増―」によれば、個人年金保険の銀行窓販が2002年に解禁されてから2009年度まで、同センターに1,398件の相談案件が寄せられている。相談の内容をみると、銀行窓口の販売員による誤導的な情報提供、不十分なリスク説明、クーリングオフ妨害等が挙げられている。

     こうした事例は、伝統的なチャネルである営業職員や代理店にも起こりうることであるが、問題は、銀行が、定期預金の満期情報など、銀行でなければ入手できない「非公開金融情報」を用いてそうした営業を行う場合があることである。本来、銀行によるそうした情報の利用は、顧客の利便性向上に資するものであることが前提である。

     また現行の規制は、銀行が非公開情報を利用する場合に事前に書面その他の適切な方法により顧客から同意を得ることを求めているが、実務上は、後の確認を可能とするために、書面による同意の「署名・捺印」を求めることを徹底すべきである。そしてその際銀行側から丁寧な説明が行われ、顧客側も銀行の情報利用について十分理解した上で「署名・捺印」するものでなければならない。

     (2)すでに融資関係のある従業員50人以下の企業について、当該従業員に銀行窓口における保険販売を認めてはどうかという見解がある。そうした規模の企業においては、「自分が雇用されている会社が銀行から受けている融資」と従業員が、「独立」の関係を保てるという保証はない。融資先企業の経営者への保険販売を認めないとしても経営者の家族に販売を認めてよいか、また社長が1度辞任した後に販売する場合は認められるか。保険販売にあたっての「圧力」の有無は、個々の事情でその程度も千差万別である。客観的な線引きは極めて困難である。わずかでも圧力販売の危険性がある以上、こうした面で「規制緩和」を進める積極的根拠は見当たらず、現状においてその必要はないと考える。

     (3)現行規制によれば、変額個人年金を販売する際に、契約者が銀行から融資を受けて保険料に充てた場合、当該商品が元本割れすると、借入金の返済が困難になる可能性がある旨の説明を募集時に書面を交付して行うこと、および交付した書面を受領した旨の確認のための署名または捺印を得ることを求めている。この規定には大きな疑問を感じる。なぜなら、この規定自体がいわゆる提携ローンの存在を前提としているからである。われわれは、長期運用を前提に、インフレに強い年金を実現するという変額年金本来の考え方に戻るべきで、借入金を原資として変額個人年金等を購入させるという実務は原則禁止するといった態度で臨むべきであると考える。

    ―丹野美絵子 全国消費生活相談員協会理事長提出資料―

    【消費者から見た保険の銀行窓販について】

    1.銀行窓販に関する消費者トラブルの増加と特徴


    ○消費者相談の窓口から見れば、保険の銀行窓販については、とくに変額個人年金保険、外貨建年金保険を中心に、消費者からの苦情が著しく増加し、現在も減少していない。(国民生活センター:平成21年7月22日報道発表)

    ○典型的な事例
     ・「銀行から、定期預金が満期になるからと来店を依頼され、とても良い商品だと勧誘された。」

     ・「元本保証だと言われたが違っていた。」

     ・「預金だと思っていたのに、保険だった。」

     ・「運用が悪く、今、80%戻すか、15年間で100%戻すか選択してくださいと言われたが、そんな説明はされていない。」

    <特徴 (1)>契約者が高齢者である。

     トラブル事例では、契約者が60歳代から70歳代(中には80歳代も)の高齢者が多い。銀行で販売する保険は、保険料が一時払であることが多く、金融資産の多い高齢者が対象になる。

    <特徴 (2)>銀行が預金情報によって勧誘をする。

     定期預金の満期時を知っている銀行側からの来店要請などにより、保険契約に至ることが大変に多い。銀行が既知の顧客情報によって積極的に勧誘している実態が窺える。なおトラブルは店舗内、訪問勧誘の両方にある。

    <特徴 (3)>保険を金融商品として販売する。

     銀行では投資信託と並列して保険を販売している。そのため、保険の保障性よりも金融商品としてリターンの優越性をアピールする販売が行われている。

    <特徴 (4)>説明義務、適合性の原則の遵守が問題となる。

     ほとんどの事例が、銀行員(募集人)が説明責任を果たしたか、適合性原則に則って販売したかを争うものとなっている。最終的には「言った、言わない」の水掛け論になる。

     なお銀行では、契約概要等、意向確認書などの書面の交付・取付は厳格に行われている。

    ○現状では、特定保険に消費者トラブルが集中しており、保障型の保険(一時払終身保険など)については、まだ苦情が顕在化していない。

    2.銀行窓販トラブルの根底にあるもの

    ○消費者にとって、規制緩和の具体化である「商品の多様化・複雑化」、「販売チャネルの多様化」は、必ずしも消費者が望んだものではなかった。

    ○銀行で多様な金融商品を購入できることを、消費者はいまだに十分に認識していない。とくに高齢者は、銀行で多種の商品を販売していることを認識していない。

    ○他方、消費者は銀行及び銀行員に非常に大きな信頼感を持っている。このギャップがトラブルの根底にある。

    ○保険は商品が複雑であり、消費者は必ずしも商品を理解して購入していない。ただし、銀行窓販においては、消費者の銀行、銀行員に対する信頼度が非常に高いため、たとえ理解不足であっても、銀行に対する信頼感=「リスクのない商品を売るところ」という誤認を抱えたまま、契約に至っているケースがある。

    3.銀行窓販トラブルを防止するために

    ○特定保険については、改正保険業法により、適合性原則の導入などの手当てがされ、また国民生活センターの要望(平成21年7月)を受けて、生命保険協会、全国銀行協会がそれぞれ対応を行うなどの改善が行われた。しかし消費者トラブルの実情から言えば、まだ十分とは言えない。

    ○また一時払終身保険、介護保険などの保障型保険の銀行窓販も、今後拡大するものと考えられる。

    ○それを踏まえて、消費者トラブルの未然防止のために、以下の方策をご検討いただきたい。

     (1)募集人の資質向上のために募集人教育制度の是正

     (2)銀行の販売責任の明確化

    <(1)の趣旨>


    ○銀行窓販では銀行は典型的な乗合代理店であり、銀行員は数社から10社以上もの保険商品(同様に投資信託商品も)について保険の内容を理解し、顧客に対して適切に説明し、顧客の意向を踏まえて販売することが要求される。

    ○現行の教育システムでは、保険会社が募集人教育の責任を負うが、銀行の募集人の役割の重要性から言って、また実効性から言って、それが実態に相応しいものなのかを検討するべきではないか。

    ○銀行のような、従来と明らかに規模の異なる巨大代理店については、募集人の教育制度を根本的に見直す必要があるのではないかと考える。

    <(2)の趣旨>
    ○現行制度では、募集人の募集時の行為について、所属保険会社に賠償責任を課しているが(保険業法283条)、消費者トラブルのほとんどが募集時の説明責任と適合性の原則に収斂するものである以上、銀行と保険会社の関係において保険会社のコントロールが効くのかと考えれば、むしろ銀行に直接の販売責任を求める方が、消費者被害の未然防止の観点から有効ではないかと考える。

    ○保険販売の中で、銀行窓販チャネルは、今後ますますその割合が増大すると想定される。そのため銀行窓販による消費者被害を放置していて良いはずがなく、適切で有効な対策が早急に講じられる必要がある。消費者が安心して銀行で保険契約ができる環境を整えることを、ぜひともお願いしたい。

    以上です。
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