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「『ユネスコへの拠出を辞める』という意見は恥ずかしい」河野洋平氏が会見

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かつて自民党総裁、衆議院議長など務めた河野洋平氏が日本外国特派員協会で会見を行った。会見では、安保法制や近隣諸国との問題など、現在の自民党の体質について河野氏が自らの考えを述べた。

安保法制、近隣諸国との関係を私は心配している

国会議員を辞めてもう6年になりまして、神奈川県の箱根山の麓にこもっておりますので、少し話が頓珍漢になるかもしれませんが、最近のことについて私の感想を申し上げたいと思います。

せんだって国会が終わりました。245日という戦後一番長い国会でございました。この国会は非常に重要な国会だったともいます。戦後内閣が一貫して守ってきた「二度と決して戦争をしない」という日本の大事な思いを、憲法にまで書き込んである精神を変えてしまった。しかも、それは国会の議論もしない、閣議決定と言う形で方針を変えたということ。その結果、委員会、衆議院も参議院も混乱しました。

こうした事態は国会の前、国会の周辺に大変多くの国民が心配して集まるという、最近では見たこともないような状況がそこに出てきました。私は古い議員ですから、かつての安保闘争、国会の周りを大変多くのデモが通過する時のことを覚えていますけれど、あれは労働組合なり、政党の支部が組織した人たちが多かったのですが、今度のように一人一人が自発的に参加をした。 買い物の帰りに来た人、子供連れで来た人、初めてこういうことに参加した人が集まって、あの人数になったということは大変大きな驚きでありました。

学生まで含めた多くの人たちが、どうして集まったかと言えば、安保法制という法律、その中身もさることながら、安保法制を作り上げる段階で、既に例えば内閣法制局長官の人事に介入するなど、これまでやったこともないような無理なことをやって、その結果、 多くの憲法学者と意見が違ってしまった。それまでずっと日本の憲法の解釈を守ってきた内閣法制局の新しい長官がこれまでと違った意見を言わなければいけなくなった。このようなことが、多くの人たちに不安とか怒りとか驚きとかを与えた結果だと思います。

若い人はこう言いました。「怒るのは当たり前でしょ。国会に提案する前に、総理はアメリカの議会に行って説明したんですよ。戦後一貫して、自衛だけをやってきた日本が今度はアメリカを守る。そういうことができるようになる法律をこれから作るんですということを、まずアメリカに行って説明してきた。我々にとっては怒るのは当たり前じゃないですか。」そう言いました。

そして結局、最後まで、違憲か合憲かということについて国民が納得しないうちに法律が出来てしまった。また、違憲か合憲かについて、かなりの部分の憲法学者が違憲であるといい、一部の人は合憲と言う。どちらに軍配をあげるのか。

古い話をして恐縮ですが、昔は予算委員会などに内閣法制局長官が呼ばれてきて、「これは違憲です」「これは合憲です」と言えば、みんなが納得したものなのですが、さっき申し上げた通り、内閣法制局長官をあらかじめ恣意的に人事に介入して決めたものですから、内閣法制局長官の 発言がほとんど説得力を持たないという状況になって、結果、違憲か合憲かわからないままに法律になってしまった。

私は心配しているのです。もしかすると、とんでもなく日本の国会、政治家は民意とかけ離れていってしまっているのではないか。もし、そうであるとすれば、これはとんでもないことだと思います。

もう一つの心配は、ここしばらくの間、平和志向という日本の国の方向が、例えば特定秘密保護法、武器輸出三原則の緩和、ODA大綱の改正、そういったもので随分と変わってきてしまっている。その結果、集団的自衛権の行使というものも閣議で決める。安保法制は混乱の中で議決する。どうもこれまで日本が歩んできた方向とベクトルが変わってきてしまったのではないか。私は心配なんです。

どうも日本の政治が劣化しているなんていうことを新聞に書かれます。その劣化の原因を私が考えると、小選挙区制もその原因の一つかもしれません。あるいはまた政治資金規正法というものも緩んできたんじゃないか。

これも古い話ですが、かつて経団連の平岩会長は自民党との長い付き合いの中で、大変苦心しながらも「政治資金は抑制しよう」「企業の献金はできるだけ抑制しよう」と説かれたのですが、今の経団連は積極的に自民党への資金協力を呼びかけるいう風になってきています。これらが武器輸出三原則の緩和などに影響があってはならないと私は思います。

もう一つの心配事は近隣国との関係です。安保法制の審議の際に中国を名指しで危機感を言い募りました。確かに日中の両国の関係は様々な問題を抱えています。歴史認識問題をはじめとした古い問題から、ユネスコを舞台にした世界記憶遺産の問題、スパイ問題など様々な問題があります。

しかし、こんな時に中国は楊潔チ国務委員が日本を訪問しました。中国では国務委員と言えば、国会指導者という場合もあります。そのクラスの人が日本に来るのは、本当に久しぶりであります。これは中国がどういうメッセージを日本に出しているのか。私は大変関心があります。習近平国家主席が訪米した後、これから日中韓の三カ国会議がソウルで行われる。あるいは、第5回中国全国大会が開かれて、今後5年間の経済計画がそこで議論されるという直前、こういうタイミングで楊潔チさんが突然日本を訪問されました。

中国の狙いは一体何なのでしょうか。米中関係の中で、日本にどういう役割を期待しているのか。あるいは、中国経済のこれから先の動きについて、日本との関係を考えているのか。様々なことが予想される中で、楊潔チさんが突然来られてしまった。何故なのか、そして結果がどういうことになるのか。

日中首脳会談がセットされるのか、あるいは日中の首脳の相互訪問みたいなものが実現に向かって動くのか。様々ないい方向に動いてほしいという期待はしておりますが、今のところ私にはまだわかりません。

韓国の大統領は支持率が元に戻りつつあります。大変良いことだと私は喜んでおります。しかし、先日訪韓された公明党の山口さん、あるいは大島衆議院議長、共に韓国の要人と会談しましたけれど、従軍慰安婦問題の早急な善処を強く求められたと聞いています。

この問題の解決は、両国首脳の覚悟が必要だと私は考えます。地球儀外交とかいろいろ言いますけれども、隣国との関係を一日でも早くより良いものにしてほしい。そう願います。

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