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バリューのある仕事の本質

先週は、あるセミナーの原稿が仕上がらず、特に週末は追い込まれ、やむなく家族を実家に送り返して悶絶しておりました。

 聴衆に伝えたいメッセージは前々から主催者とのブレストで固まっていたのですが、それをわかりやすく伝えるための事例企業がずっと思いつきませんでした。財務数値からのスクリーニングで、商売のうまそうな企業(今回のテーマは小売業でした)をある程度までは絞り込めても、「これで行こう!」という最終決定ができないのです。

 最後は風呂の中で考えをめぐらせながら、「アパレルで行こう!」と決めて、職場からできるだけ近いユニクロ、ローリーズファーム、ハニーズの店舗を偵察に行き、店員さんの愛想が最も良さそうに見えたローリーズファームを採用することにしました(笑)。

 ここから先、週末はプレゼンテーションの構成で悩むことになります。何をどのように伝えるか、75〜90分程度の時間ですから、「20分×3テーマ+まとめ」の構成で3つのサブテーマを作ることが適当だと思っていました。小売業をテーマに1社、サービス業をテーマに1社、あともう一つをどうするか、ここでまた苦しみました。

 結局、一般的に商売のうまいといわれる会社の特性を最初に持ってきて、その後米国のブルーチップ企業の事例から入っていくことにしました。最終的にマテリアルが完成したのは、ギリギリまで伸ばしてもらった締切日の午後、移動中の新幹線の車内でした。まったくもって綱渡りです。

 今回、プレゼン資料作成の実質的な作業時間は丸1日程度でしたが、題材事例に何を使うか、構成をどうするかは、徹底して考えました。こんな時、良いアイデアや知恵が浮かぶのは、電車の中だったり、風呂の中だったり、スポーツクラブのプールの中だったりします。「付加価値の高い仕事ほど、時間数には換算できない」というのは、皆さんも経験があるのではないでしょうか。

 今日ご紹介したい書籍、安宅和人「イシューからはじめよ―知的生産のシンプルな本質」画像を見るでは、「知的生産の生産性をいかにして上げるか」という命題に対して、元マッキンゼーで脳神経科学の博士号も持つ著者が自ら培った思考法を余すことなく紹介してくれています。
 この本、まず目次が整然と整理されていて全体像がわかりやすく、しかも「思考術」の本ですから応用範囲がものすごく広いです。フレームワークや他者の学説・ノウハウの紹介ばかりの駄本も多い中、この本の著者は、「バリューのある仕事の本質とは何か」ということに徹底的にフォーカスして、その思考プロセスを紹介してくれています。私にとってこの本は、コンサルタント系の著者の本では、ここ数年最大のヒットかもしれません。

①「問題を解く」よりも「問題を見極める」
②「解の質を上げる」よりも「イシューの質を上げる」
③「知れば知るほど知恵が沸く」よりも「知りすぎるとバカになる」
④「一つを早くやる」より「やることを削る」
⑤「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」

 上記は著者がこの本の冒頭に掲げている「イシューからはじめる考え方」の代表例です。こういったメッセージがなんとなくピンと来るという方は、既に「イシューからはじめる考え方」の一部を体得されている方だと思います。ただ、「何のことかまったくわからん」という方、特に中堅・若手の社会人の方は、実践できるかどうかは別として、読んでみて「う〜ん、なるほど」と感じることが多々あるのではないかと思います。

 私の職場では、これまで、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」画像を見るを若手の最初の課題図書に指定していました。今後は、ある程度仕事がこなれてきて、長時間労働で達成感を感じている中堅層に、この書籍を薦めたいと思います。1,800円の価値は間違いなくある書籍ですので、皆さんもWebで素人が書いた安易な要約版等を読むのでなく、ぜひ手にとって、速読ではなく、熟読されることをオススメします。

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