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なぜシンガポールなのだろう?

シンガポールに対する日本人を含む世界の人のイメージは比較的良好だと思います。クリーンな国で投資などの税制のメリットから日本人の富裕者がこぞってシンガポールに居住するケースは多くみられます。日本の国税が海外に脱出する富裕層を追っかける際にもその代表的イメージがシンガポールです。確か、旧村上ファンドの村上世彰さんもシンガポール在住ですし、クォンタムファンドのジムロジャーズ氏もシンガポール在住です。そう意味からはシンガポールのもう一つのイメージは「札束の臭い」でしょうか?

あるウェブサイトによるとシンガポールには人口当たり12人に一人の割合で富裕層に属する人がいらっしゃるようです。(日本は100人に一人だそうです。)金融センターやインフラを含めた地球のど真ん中というコンセプトで香港と似たようなスタンスで国家の繁栄が築き上げられたと言ってよいでしょう。

その香港についてみると日本人からみて本当に輝きを持っていたのは中国への返還前の97年までだった気がします。まさに自由で安全だというイメージが日本に強く伝わっていたのだと思います。その香港の人は97年の返還以降、中国主導になれば何が起きるかわからないと戦々恐々としていました。それが世にいう資産の分散化と複数のパスポート取得を通じてリスクヘッジをする発想でオーストラリアやカナダ、イギリスにとてつもない資金が流れ、現地不動産の高騰を招いたわけです。

今、香港がそれほど魅力的だという人は少ない上に「中国圏」で唯一ギャンブルができるマカオは瀕死の重傷ともいえるカジノ売上激減に苦しんでいます。習近平国家主席の腐敗撲滅運動がギャンブル抑制に走っているわけです。また、香港のタイクーン、リーカーシン氏も一時、中国本土の不動産投資を引き揚げ、欧州など他の地域に投資を振り分けたとされ、中国本土側と大きな溝が出来ました。

つまり、香港やマカオの脆弱性とは政治による突然の政変や方針変更で防御不能な事態が生じるリスクでありましょう。

これを踏まえ、シンガポールを考えると実は私はある不安を感じます。それは「独裁政権」であるということです。極端な話、北朝鮮となんら変わらず、朝日新聞も現地の声を踏まえシンガポールを「明るい北朝鮮」と言い表したこともあるのです。

シンガポール建国の父、リー クアン ユー氏は人民行動党のリーダーとして1959年から1990年まで首相として君臨し、そのあと中継ぎのゴー チョクトン氏が14年間のロングリリーフのち、リー クアン ユー氏の息子であるリー シェンロン氏が満を持して2004年から登板しています。

同国に野党はあるにはありますがほとんどないに等しく、民主的ではない国というイメージもあり、2012年のギャラップ幸福度調査では148カ国のうちシンガポールは最下位でした。つまり、国民は経済的にある程度の自由度を提供され、大きな不満も抱えていない反面、幸せだとも思っていない現実がそこにあります。

それなのに日本を含む世界の富裕層はマネーのにおいにつられてそこに吸い込まれているというのが正直な姿でありましょう。

同国に政変が起きるという切羽詰まった話はないのですが、隣国のタイに見られるような民主化運動はいろいろな形で国民意識を刺激するものであります。国家の水準はGDPだけでは当然推し量れないわけで同国が如何に経済的に好調を維持しているとしてもそれは真の姿かどうかは検証すべき課題であります。

モノがあふれる世界になると人々は次のレベルの幸福を探します。私がこのブログでマズローの欲求五段階説を時々取り上げる背景は資本主義の次に何があるのだろうと考えているからであります。日本が2%のインフレをするために日銀が札束でビンタする絵面が頭に描けるのですが、お札の臭いに人々はかつてのように興奮しなくなったのではないかという仮説を立てるならばシンガポールのスタンスも決して盤石ではないともいえます。

クリーンで賄賂も少ない国だけに見えずらい部分ではありますが、モノの見方はいろいろな角度からみれば様々な色に見えるということでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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