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IMF「世界経済見通し」見通し編を読む!

米国東海岸時刻の昨日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook (WEO) の見通し編が公表されています。今週末にペルーの首都リマで開催されるIMF世銀総会に向けて、IMFと世銀の世界経済の見方を示したものです。ヘッドラインとなる世界の成長率は今年2015年が+3.1%、来年2016年は+3.6%と、いずれも7月時点の見通しから▲0.2%ポイント下方修正しています。我が国の成長率についても世界経済とまったく同じで2015-16年とも▲0.2%ポイントの下方修正を受け、2015年+0.6%、2016年+1.0%の成長率見通しとなっています。下方修正の要因は中国をはじめとする新興国経済の停滞です。中国が風邪を引いて、先進国もお付き合いではないでしょうが、いっしょに風邪を引いているようなものかもしれません。

まず、以下に見通しの総括表をIMFのサイトから引用しておきます。画像をクリックすると、pdfの全文リポートp.2の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抜き出したpdfファイルが別タブで開くようになっています。

繰り返しになりますが、世界経済の成長率見通しは、中国をはじめとする新興国の景気低迷などのため、7月時点での前の見通しから今年も来年も▲0.2%ポイントの下方改定となり、我が国も同じ幅で成長率が下方改定されています。そして、米国経済は足元の最近時点で雇用の伸びが鈍化するなどの兆候は見られるものの、先進国の中でももっとも好調な経済状況にありますし、欧州も欧州中央銀行(ECB)の量的緩和などにより成長が回復しつつあり、やっぱり、日米欧の中でもっとも成長率が低いのが我が日本、ということになってしまっています。
上の総括表のほか、リポートからグラフをいくつか引用して、簡単に紹介しておきたいと思います。


まず、上のグラフはリポートのp.7から Figure 1.1. Global Activity Indicators を引用しています。特に、一番下のパネルのGDP成長率見通しについて、4月時点では先進国経済が2015年上半期にかけて徐々に成長を加速させていくシナリオであったのに対し、今年2015年上半期で少し踊り場のような停滞を足元で経験し、成長率見通しが下方修正されているのが分かります。新興国経済はもともと2015年上半期にかけて成長率が減速した後、今年下半期からの成長の加速を見込んでいたのが少し後ズレし、成長の加速の度合いも緩やかになる、との変更を組み込んだようです。



次に、上のグラフはリポートのp.8から Figure 1.2. Global Inflation を引用しています。日本はヘッドラインのインフレ率が2016年下半期にようやく1%程度に達するだけで、日銀のインフレ目標である2%にはまだ遠いというカンジでしょうか。そのもっとも大きな要因が単位労働コストであり、雇用者報酬とともに日本だけがとりわけ低くなっています。一番下のパネルに見る通りであり、2012-14年の平均でももっとも低く、足元の2015年第1四半期では日本だけが大きなマイナスを記録しています。従来からこのブログで主張しているように、企業がキャッシュを貯めこむだけでなく、賃上げの形で雇用者に還元することが必要です。


最後に、上のグラフはリポートのp.22から Figure 1.15. Recession and Deflation Risks を引用しています。輸出の不振と消費の停滞により景気の踊り場にありますので、先進国の日米欧の中では我が国の景気後退リスクがもっとも大きい結果となっています。とはいっても、まだ30%そこそこです。景気低迷とはいえ、中国などのアジア新興国は景気後退確率がゼロだったりします。ただ、デフレ確率については日銀の異次元緩和により欧州よりはグッと低くなっています。

これらを総合して、日本経済については、p.27において "In Japan, near-term prospects for economic activity have weakened, while medium-term inflation expectations are stuck substantially below the 2 percent inflation target. At the same time, potential output growth remains low." との現状認識を示し、金融政策については日銀が追加緩和の準備を進め (the Bank of Japan should stand ready for further easing)、財政政策については中期的な財政再建策を明らかにすることにより財政政策の方向性を示す (the announced medium-term fiscal consolidation plan provides a useful anchor to guide fiscal policy) といった政策対応により雇用の拡大と物価の安定を目指すべきとしています。

IMFの「世界経済見通し」を離れて、目を国内の経済指標に転じると、本日、内閣府から8月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインとなるCI一致指数は前月から▲0.6ポイント下降し112.5を、また、CI先行指数も▲1.5ポイント下降の103.5を記録しています。基調判断は「足踏み」で据え置かれています。いつものグラフだけ以下に掲げておきます。

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