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岡田武史さん、今治のサッカークラブ経営で地方創生が本当にできるんですか?

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サッカー日本代表の監督を2度務め、ワールドカップ出場へ導くなど、日本サッカー界をけん引してきた岡田武史さん。2014年11月に活躍の場を四国地域リーグ「FC今治」に移し、オーナーとして活動をスタートしています。

欧州には、地域から生まれ、100年以上の歴史を持つクラブチームが多数存在しています。Jリーグは欧州のサッカーリーグほどの歴史を持っていませんが、日本のサッカーも少しずつ、クラブが地域に根ざしていくことの大切さが語られはじめています。

日本では「地方創生」という言葉で、地域に関する取り組みに注目が集まりつつあります。「地方創生ではなく『地方創発』を」──。そう語る岡田さんが描く地域の未来とは何か。「cybozu.com カンファレンス 2015」(11月20日に大阪で開催)講演に先立ち、サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久がヒントを探ります。

地方創生への葛藤、「生き残りを掛けた競争」と割り切れるか

画像を見る FC今治、破竹の連勝中ですね! チームを強くしたその先に、どんなことを考えておられるのでしょうか?


画像を見る サッカーのことだけを考えるのであれば、ただチームが強くなればいいんでしょうね。ただ、チームの土台である今治という街が廃れてしまったら、チームではいられなくなってしまう。

チームがこの先存続していくためには、地域とのかかわりを持ち、街が存続していくことが必要です。


画像を見る チームが街の存続に貢献するのは簡単でないように思います。どんな条件が必要だと考えておられますか?


画像を見る まず、今治の人たちに認められ、愛され、支持されることが大きなポイントでしょうね。ただ、今治のような人口が16万5000人の都市では、それだけではダメなんです。

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岡田武史さん。1956年生まれ。大阪府立天王寺高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。同大学でア式蹴球部所属。大学卒業後、古河電気工業に入社しサッカー日本代表に選出。 引退後は、クラブチームコーチを 務め、1997年に日本代表監督となり史上初のW杯本選出場を実現。その後、Jリーグの札幌や横浜での監督を経て、2007年から再び日本代表監督を務め、2010年のW杯南アフリカ大会でチームをベスト16に導く。中国サッカー・スーパーリーグ、杭州緑城の監督を経て、2014年11月、四国リーグFC今治のオーナーに就任。日本サッカー界の「育成改革」、そして「地方創生」に情熱を注いでいる

画像を見る チームが地域に愛されることに加えて、ほかの要素も必要と。


画像を見る 土台としてチームが地域に愛されることは必要です。それだけではなく、チームをきっかけに外から人とお金が入ってくる状態を作っていくことができないと、街がにぎわっていかず、縮小スパイラルに入っていってしまいます。ただ、これが難しい。


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画像を見る  葛藤があるんですよ。外部からお金や人が入ってくるということは、その分だけどこかのお金や人が減るかもしれないということです。僕達は、生き残りをかけた競争をしなければならない。そのことを割り切れるかどうか。

だからといって、東京からただ有名な人や優秀な人を呼べばいいわけじゃない。地方創生をなんのためにやるのか、その裏にある哲学や、共通の認識がないといけません。そうしないとみんながついてこないですから。

今の社会は、つながりをなくす進み方をしていないか?

画像を見る FC今治のオーナーに就任されたと聞いて、FC今治は強くなるんだろうなと考えていました。お話を伺っていると、それだけではないんですね。


画像を見る FC今治の企業理念は『次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する。』です。サッカーチームを運営する組織がなんでこんな理念を掲げているんだと疑問をもたれることもしばしばあります。


画像を見る サッカーだけではなく広い視点で社会をとらえている言葉ですね。


画像を見る これは僕の思い入れから作った言葉です。自分にも3人の子どもがいて、子どもたちに一体どんな社会を残すのかをよく考えます。

僕たちは戦後の高度経済成長期を生きてきました。これから子どもたちが迎える時代は、年金破綻、少子高齢化、隣国との緊張関係、環境問題など、課題が山積みです。

本来、生き物とは命を次の世代へとつないでいくもの。それなのに、僕らの社会がやろうとしていることは、つながりをなくす一方なんじゃないかと思ってね。


画像を見る 次世代のために何かを残そうというお考えは、いつごろから持たれるようになったんですか?

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サイボウズ社長の青野慶久。1971年愛媛県生まれ。大阪大学工学部卒業後、松下電工株式会社を経て、1997年、愛媛県松山市でサイボウズ株式会社を設立、取締役副社長に就任。2005年より現職

画像を見る 孫が生まれてからですね。ライフネット生命保険 会長の出口 治明さんも同じような考えをされていて、出口さんはお孫さんが生まれてからそういったことを考えるようになったそうです。


画像を見る 「次世代」が大きなキーワードですね。挑戦の場に東京ではなく、あえて今治を選ばれたのはなぜだったのですか?


画像を見る 最初、今治という地を選んだのに、深い理由はありませんでした。クラブを選ぶときに考えたのが、1から作れるかどうか。僕らの発想からすると、根本から仕組みを作り直さないといけなくなります。これまでやってきたことを手放すのはなかなか人間には難しい。

それだったら、10年かかってでも1からできる場所を探しているときに思い浮かんだのがFC今治だったんです。

今治を選んだのは「正解」、16万5000人の地域だからこそ1つになれる

画像を見る 実際に今治で活動するようになってから、何か発見はありましたでしょうか?


画像を見る 今治での活動は「すごい正解だったな」と思いますね。まずは大きさがちょうどいい。16万5千人という人口サイズには、一体になれる感覚があります。

今治には、高校が6つしかないんですよ。中学校が12校、少年団も20ほど。サッカーのピラミッドを作っていくために必要なところを、全部足で回ることができるんです。


画像を見る 数が多すぎると全部を回ることはできないですからね。


画像を見る ええ。あとは今治にはスタジアムがありません。前からあるとそのスタジアムを使わないといけませんが、これから作るのであれば思い通りのものを作れます。

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画像を見る 1からスタジアムを作れるとなると、色々アイデアが膨らみそうですね。どんなスタジアムをイメージされているんですか?


画像を見る  今考えているのは、新しいスタジアムを複合型にして、トレーニング施設や治療院もある場所です。そこではデータの収集やバーチャルでの健康管理を可能にします。

年に1回「今治詣で」をしてもらうんです。全国から健康をチェックするために今治に来てもらい、今治を観光して帰ってもらう。健康とスポーツをテーマにしたまちづくりをしながら、年に1度は人が回ってくるような場所にできないか、なんてことを考えています。


画像を見る  面白い! 素敵なアイデアだと思います。


画像を見る 医療問題は根本的な改革が必要です。膨れ上がる医療費を下げていくためには、市民が健康にならないといけない。そのためには、生涯スポーツが良い。ドイツなどは早くから生涯スポーツの振興に力を入れています。


画像を見る 健康促進を重視する流れは、会社組織でも同様ですね。Googleでは社食でご飯を無料で食べられるようになっていて、食べるもののレコメンドや食べたものを記録し、社員の健康管理をしてくれるそうです。

実はここにお金をかけたほうが社員の集中力が上がって、投資対効果が良いということがわかってきた。街にとっても健康に力を入れていったほうが長期的には良い結果がでるんでしょうね。

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