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IMFが日本に追加緩和を求める本当の理由

 IMFは、6日に公表した世界経済見通しのなかで、2%の物価目標を達成するために追加緩和を実施したらどうかと日本に指摘したと報じられています。

 どう思います?

 小さな親切、大きなお世話。

 そう思いませんか? 放っておいてくれ、と。

 いずれにしても、IMFがそのような指摘をするということは、IMFのエコノミストたちも、リフレ政策を支持する人が多いということでしょうか。つまり、アベノミクス・バージョン1の第1の矢であった金融緩和策を大いに支持をする、と。

 でも、IMFというのは、代々欧州勢のなかから専務理事を出している国際機関ですから、欧州の利益に反するようなことは言わない筈。その一方で、アベノミクスがスタートした頃には、アベノミクスは円安による輸出促進策であるとして、欧州側からブーイングが起きていたのも事実。

 では、何故、さらなる円安を加速するかもしれない追加緩和策を日本に求めるようなことをIMFは主張するのか?

 答えは、アベノミクスがスタートして以降、どれだけ円安になろうとも、思ったほどには日本から欧州への輸出が増えていないからなのです。

 IMFとしては、今むしろ心配なのは、円安によって欧州が輸出競争上不利になることではなく、世界経済の低迷が続くことなのです。

 というのも、IMFは今回、世界経済の成長率を、2015年が3.1%、16年が3.6%と、7月時点か0.2%ポイント下方修正したからなのです(4月時点からはそれぞれ0.4%ポイント、0.2%ポイントの下方修正)。

 なんとしても世界経済の悪化を食い止めたい、と。それを実現することが、ラガルド専務理事にとっての最大の任務だ、と。

 できることは何でもやる、或いは関係諸国にやらせる、と。

 だから、米国に対してはゼロ金利の解除は年内はやってはいけないとか…そして、日本に対しては追加緩和しろなんてことを言っているのです。

 では、仮に米国がゼロ金利解除を先送りし、そして、日本が追加緩和策を打つようなことになれば、世界経済は上向くのでしょうか?

 私は、それは大いに疑問だとしか思えません。

 それに、そもそもこのIMFの世界経済の見通しのなかで、中国の予想成長率は、2015年が6.8%、2016年が6.3%となっているのですよ。おかしいとは思いませんか?

 もう一度言います。IMFは、今年の中国の経済成長率は6.8%にも達すると予想しているのです。

 ご承知のように中国政府の目標は7%ですから、僅かに0.2%ポイント低いだけの話なのです。でも、最近、そのような数字を信じる者は誰もいないのです。電力の消費量や貨物の輸送量などから推測される成長率は、目標値よりも遥かに低い。そして、誰もが中国経済の減速を肌で感じているから、今資本の流出が止まらないのです。そして、そのような動きが新興国経済にまで広がっているから、IMFが警戒感を強めているのです。

 だったら、2015年の世界経済の成長率予想は、もっと低くなるだろうというのが、IMFの本音だと思うのです。しかし、そんなことを口に出してしまうと、益々景気が悪くなるのでそうは言えない。

 VWの排ガス不正をEUの関係者が見逃したのと同じような構図ですね。

 それに、先日、私が記事にしたように、景気の減速を恐れるあまり、いつまでも超緩和策を続けるようなことをしていると、ひとたびインフレになったとき、引き締めが急ピッチにならざるを得ず、その弊害の方がむしろ大きいのです。

 そんなことになれば、1980年代に起きたような債務問題が再発しないとも限らない。

 IMFは、中国のインチキGDP統計を見逃す一方で、世界経済の悪化を防ごうとする余り、今回日本に追加緩和を求めているということなのです。

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