- 2015年10月07日 00:00
【読書感想】民主主義ってなんだ?
1/2- 作者: 高橋源一郎,SEALDs
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/09/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。
リンク先を見る 民主主義ってなんだ?- 作者: 高橋源一郎,SEALDs
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/09/18
- メディア: Kindle版
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内容紹介
国会前デモで話題の学生団体SEALDsが、
単行本、初登場。
特定秘密保護法の施行、
集団的自衛権の行使容認、
そして安全保障関連法案の強行採決……
安倍政権の暴走に対して若者が立ち上がった。
この国の未来をあきらめないために。
『ぼくらの民主主義なんだぜ』がベストセラーとなっている作家・高橋源一郎と、
安保関連法案に反対する国会前抗議を毎週金曜日に主催し、
テレビ、新聞、雑誌他あらゆるメディアで大注目を集める
学生団体SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が、
2日間・計8時間に渡って、「自由」と「民主主義」を考えた対談、緊急出版!
この本には、新書『ぼくらの民主主義なんだぜ』でもある作家・高橋源一郎さんと、学生団体SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の主要メンバー3人(奥田愛基(おくだ・あき)、牛田悦正(うしだ・よしまさ)、芝田万奈(しばた・まな))の対談が収録されています。
後半には、他のメンバーも少しだけ顔を出してはいるのですけど。
僕はSEALDsについて、よく知らなくて、この本を読むまでは、「左派の大人にオルグされた、昔の学生運動の闘士の魔界転生みたいな人たちなのかな」と思っていました。
ネットでも、SEALDsの「未熟さ」や「特定の政治勢力との繋がり」が指摘されているのをたくさん見ましたし。
でも、この本を読んで、彼らのナマの言葉を聞いてみて、僕は彼らを応援したくなったのです。
なんだ、普通の若者じゃないか。
いまの世の中の同調圧力に盲従できない若者たちが、こうして、彼らなりのやり方で声をあげていることに対して、粗捜しばっかりしている大人たちって、あまりにも狭量だと思うのです。
若いころさんざん抵抗してきた「イヤな大人」に自分がなってしまっているということに、気づかないのだろうか?
いやまあ、僕も正直、彼らの話を読んでいて、思想家の名前とかがたくさん出てくると、「頭でっかち」な印象も受けたんですけどね。
ただ、僕も若いころは、こんな感じだった。
そして、僕は若いころ、口ばっかりで行動できなかったけれど、彼らは自分たちの意志で、「若者たちの声を『未熟だ』のひと言で抹殺しようとしている大人たち」と対峙している。
この本のなかで、いちばん面白かったのは、SEALDsの3人が、それぞれのこれまでの半生について語るところでした。
牛田さんは、お父さんについて、こんな話をしています。
牛田:父は25歳のときに都内に美容院をつくって、それを経営してたんですけど、パチンコにはまってしまってから店に行かなくなって、それで、3000万借金をつくったんです。だから僕は生まれたときから家に借金があるみたいな生活で(笑)。それでしばらくお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの家に預けられていたこともあるんですけど、ずっと親父と母親の悪口を言われるんですよね。「お前の親はダメだ」って。それがなかなかつらいんですよね。けっこう粛々と言われ続けるんで。そして僕が中学を卒業するときくらいに、母親が「もう嫌だ!」ってなって離婚したんですよ。そこから高校の間は親父と住んでました。
高橋源一郎さんは「うちの父親もギャンブル好きで、まあひどかった」と、この話を受けておられますが、「いやいやいや、高橋さん自身もじゃないですか!」と、読みながら突っ込んでしまいました。
この牛田さん、「デモの日も、バイトのシフトが入っていたので参加しなかった」ということをさらりと言っていて、こういうのが「今風」なのだよなあ、と、僕はけっこう頼もしく感じたのです。
そんなにいいかげんでいいのか?って、最初はちょっと思ったのですが、日本の現代史のなかの「学生運動」というのを考えると、彼らはむしろ「真面目に」やろうとしすぎて、かえって閉塞感にとらわれてしまったような気がするのです。
強固な「組織の掟」をつくったり、内部での粛清や過激な暴力行為が常態になったりして、どんどん「現実」とかけ離れていってしまった。
そういう、「過去の失敗」を意識しているのかどうかはわからないけれど、SEALDsは「ゆるい」。
LINEなどをつかって、集まれる人が集まり、自分がそこでできることをやっている。
だからこそ、大勢の人が集まってくる。
もちろん、そういうやりかたでは、「流行が終わると、一気に閑散としてしまう」可能性もあるわけです。
それを恐れて、「組織化」すると、組織を維持するために、「反対するための反対」を続けざるをえなくなってしまう。
その成れの果てが、いまの日本の「サヨク」。