http://www.npo-iasia.org/i/archive/2015/10/abe-conference.html
アイ・アジアが今回入手した資料は会見前に準備されていたもので、それによると、日本のメディアの記者と外国メディアの記者が交互に、5人まで質問することが決まっていた。極めて興味深いのは、その資料には、質問者の名前とともに、質問内容まで書かれていたことだ。いくら記者クラブとの慣れあいが恒常化しているといってもこれはひどいです。シナリオ付きだもん。これは記者会見じゃないですよ。
まずNHKの記者が、日ロ関係について質問、続いてロイター通信の記者がアベノミクスについて質問、続いて共同通信の記者が内閣改造について質問、そして4番目に米公共放送NPRの記者が、普天間基地の移設問題について質問し、最後が、テレビ朝日の記者で、国連改革について質問、となっている。
「質問事項をあらかじめ提出しろということですから驚きました。そんなことは、アメリカでは記者倫理に違反する行為です。ところが、それは日本の政府と記者との間では常に行われていることだというではありませんか。本気かよ?と思ったのは私だけじゃありませんよ」
ですが、政府側も記者クラブ側もこれを異常と思わない、このような田舎芝居的な茶番が海外でも通じると思っていたことろが極めてナイーブです。
ですが、防衛省の記者会見においてぼくも事前通告をすることがあります。
会見に出席を希望すると事前に広報から電話がかかってきて何を聞きますか?と聞かれます。まあ、記者クラブのメンバーは大臣が困るような「失礼」な質問をしないでしょうが、ぼくはそいうのを全く忖度しませんから。
ですが、一応ぼくは、「奇襲攻撃」の威力が減じない質問に関しては、ですが。例えば先日の陸自の衛生学校の自作自演問題に関しては事前通告をしておりません。
本来事前に質問を行うべきではないのですが、それを行うのは「我が国固有の環境」という問題があるからです。
事前に通告していないと大臣が「私知りません、調べさせます」といって、コメントを避けて逃げ、官僚に回答を丸投げするからです。先の「自作自演」でもそうでした。
まあ、外国でこれやるとこの大臣バカだなあ、と思われます。ですが我が国ではこの手が当然のように通用するんですねえ。大臣だけではなく、幕僚長も同じです。
それでも大臣会見のQ&AはHPで公開されますから、大臣がどのような答弁をしたかは公となります。
ただ、ぼくが聞くのが割りと細かい話でもあるので、大臣が即答できないような話も多々あります。それは事実です。ですから事前に調べて貰っておいた方うがよろしいこともあるわけです。
本来大臣に質問すべきではないなあ、と思いつつも記者クラブの壁に阻まれて、防衛省、自衛隊の広報に質問しても無視されるような話が多々あります。ですからこういう話を「医一番偉い人」にお尋ねするわけです。そうすれば防衛省としては、黙殺できずに何らかの回答をしないわけにはいかなくなるからです。
以前にご案内した陸自の衛生の話などまさにそうです。陸幕広報室はぼくの質問を3ヶ月以上にわたって黙殺しました。これを大臣や陸幕長にぶつけたからこそ、その後の進展がありました。ぼくが記者会見にでられる立場ではなければ黙殺されたままでした。
ですから、そのような逃げを封じるために事前通告をするわけです。
まあ、次善の策というやつです。
なんとも虚しい現実なんですが、何もしないよりはマシだろうと思ってあれこれ記者会見で質問をしているわけです。政治の改革にはメディアによる政治の監視が必要です。ですが、現在の記者クラブ制度がそれを阻んでいます。
政治改革の前段階として、記者クラブ制度の改革、解体が必要です。
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました。
陸自が導入した輸送防護車は使えない
机上の空論では済まない邦人救出の現場
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015100200004.html
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
陸自「攻撃ヘリ部隊」は、自滅の危機にある
オスプレイ大量調達の前に見直すべきこと
http://toyokeizai.net/articles/-/84832
エアバスは、なぜ日本政府に激怒しているのか
不透明すぎる日本の防衛調達の問題点
http://toyokeizai.net/articles/-/84639
東京防衛航空宇宙時評で軍事見本市、DSEIのレポートを掲載しています。
http://www.tokyo-dar.com/