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訂正:アングル:底なしの新興国売り、割安でも投資家戻らず

[ロンドン 5日 ロイター] - 2015年の新興市場への資金流出入は、この27年で初の流出超となりそうだ。新興市場の株式、通貨、債券に下げ止まる兆しが見えない中、こうした資産にあえてマネーを投じようという投資家は見当たらない。

過去30年ほどの新興市場の動向を見ると、一時的なショックや急激な下げに見舞われたあと、大胆な投資家が割安になった資産を買い漁り大きなリターンを手にする、というのがいつものパターンだった。

ところが今回は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げとそれに伴う米ドル高への警戒感や、コモディティー(商品)価格の下落、中国経済の減速など悪条件が重なった結果、これまでのパターン通りにはなっておらず、新興市場はすでに2年以上にもわたって鈍化が続いている。

国際金融協会(IIF)のデータによると、今年の途上国への資金流出入は、1988年以降で初の純流出になる可能性が高いという。

ファンドは今回の新興国危機について、これまでのような広範囲のデフォルト(債務不履行)や通貨急落が起きない代わりに、秩序立った形でゆっくりと展開するとみている。新興国の多くが抱える過剰投資、過剰借り入れという問題が解決するにはかなりの時間を要するからだ。

ミレー・アセット・グローバル・インベスターズのホセ・モラレス最高投資責任者(CIO)は「この1年半の間、角を曲がったと感じることもあったが、もちろんそれは錯覚だった。一時的にアウトパフォームすることがあっても、すぐに下方トレンドに戻った」と指摘した。

今回の大きな問題は、新興市場の命運を決定する中国経済の先行きが不透明なことだ。同国の国内総生産(GDP)伸び率は今年、政府見通しの7%を下回る可能性が非常に高い上に、企業債務が1兆1000億ドルに膨れ上がっていることで、金融危機の発生も警戒されている。

UBSによると、中国経済の鈍化や欧米の需要減退を受け、新興国の輸出は前年比で、2008─09年以来の高ペースで減少している。

それに伴い、新興市場の資産は割安になっている。MSCIの新興市場株価指数は5年連続で先進国をアンダーパフォームし、先進国に対する株価のディスカウント幅は少なくともここ10年で最大に達した。

また実質実効為替レートは、新興市場23カ国・地域のなかで12の国・地域で、過去10年間の平均水準を割り込んでいる。

<割安感は投資の理由にならず>

しかし、ピクテ・ウェルス・マネジメントの投資委員会委員長(訂正)、ピエールアライン・ワーブル氏は「落下するナイフを捕まえる気はない」とすげない。「新興国の一部は悪循環に陥っている」と話す。

ロイター調査によると大半のファンドマネジャーも同意見のようだ。

投資運用会社カンドリアム・デュフォセで資産配分を担当するナデージュ・デュフォセ氏は「われわれが投資を検討するのは、経済成長の見通しが安定してからのみだ。バリュエーションは長期的な指針にはなるが、短期的なシグナルを発するわけではない」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ/メリルリンチの調査によると、米ファンドの半分超が、新興国債券のアロケーションを縮小したと回答した。

調査ではまた、およそ40%が、新興市場の回復はコモディティー価格の安定化にかかっている、と回答。一方、3分の1以上は、コモディティー価格が今後1年でさらに10─20%下落すると予想した。

<収益低下と高債務>

今回の新興国危機の根底には、企業の収益低下・高債務がある。モルガン・スタンレーによると、収益の減速を受けて、新興国企業の1株あたり利益(EPS)は2011年のピークを25%下回っており、新興国EPSの低下局面としては過去最長となっている。1998年、2008年以降もEPSは急激に低下したが、1年半─2年で終わった。

新興市場では民間企業の債務が積み上がっており、IIFの試算によると、24兆ドルに達しているという。このうち3兆3000億ドルはドル建ての借り入れであり、2008年の水準の2倍となっている。

新興国の大半には企業を救済する手段があるが、ドル建て債務が多い企業のデフォルトを恐れて、自国通貨を下落させることはできない。

モルガン・スタンレーのアナリストは、積み上がったレバレッジを巻き戻すプロセスは始まったばかりと指摘する。「構造的に建設的な体質になるには、バランスシートをきれいにする必要がある」という。

*本文の小見出し後の最初の段落にあるワーブル氏の肩書きを「投資委員会メンバー」から「投資委員会委員長」訂正します。

(Sujata Rao記者 翻訳:吉川彩 編集:田中志保)

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