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- 2011年02月26日 10:20
WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドの意味
ジャスミン革命以降,中東諸国の騒乱がエジプト・リビアと続いて原油価格が上昇してきました。その原油価格の中でもWTI:West Texas Intermediate原油価格と北海ブレント原油価格は代表的なものです。そして,WTIより北海ブレントの価格のほうが一層上昇しており,今年に入ってからその価格差(スプレッド)は1バレルあたり5ドルを突破して現在では14-15ドルあたりとなっています。
■ WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドチャート
WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドチャートはBloombergのInteractive Chartで表示することができ,そのスナップショットは以下の図のようです。(図をクリックすると表示のページを開きます。)
[画像]
■ WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドの理由
このスプレッドの一番の理由は,WTI原油はオクラホマ州クシンでの原油引渡し契約なのでクシンでの在庫量・精製需要に大きく影響を受けるのに対し,ブレント原油はどこにでも運べるので在庫より産油国での原油価格の影響をより受けるからです。
加えて,カナダのアルバータ州とアメリカのオクラホマを結ぶ Keystone Pipelineが完成し,カナダのオイルサンドがクシンに供給されるようになったので,これもWTI原油の在庫増に貢献する一因です。昨今のように原油価格が高止まりするとオイルサンドからの精製コストもペイしてしまうのです。需要があるところにビジネスチャンスがある米国企業の考え方からすれば驚くにはあたりませんね。
■ 原油価格ベンチマークとしてのWTIの価値
しかし,WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドがこれからも恒常化するなら,WTI原油価格は世界の原油価格の実態を正しく表さないことになります。事実,世界最大の産出国であるサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは,既に1年以上前からWTIベンチマークを元に生産調整をするのを止めているからです。また,ユーロ圏での原油価格の指標としては事実上北海ブレントを無視することはできません。
【参考】 サウジアラムコ:米国向け原油の値決めにWTI原油を使用中止
その一方で,トレード対象としてのWTI原油の価値は高まっています。WTI原油は供給が安定する一方で北海ブレント原油が中東のイベントの影響を受けやすくなれば,先物市場ではそのスプレッドを利用して利益を上げるのはごく普通のことです。また,一般にWTI原油のほうが遅行指標になりやすくボラも少ないとなれば絶好のシステムトレードの対象となるでしょう。なお,WTI原油の生産量は世界の原油生産量の1-2%に過ぎませんがWTI先物の一日あたり取引量はその100倍の1億バレルなので,この面からも引き続き(生産調整のためのベンチマークとしてはともかく)トレード対象としてのWTI原油はこれからも重要と思います。
【参考】 A record WTI-Brent spread, a new paradigm
■ 日本政府は資源確保をどう考えているか
最後に,経産省のページに良いパッケージがありましたのでリンクを載せておきます。リビアの原油生産量は世界の中で3%にしか過ぎないこと,原油価格が上昇すれば相対的に精製コストの割合が低下することなども書いてあります。原油価格が高止まりすると,サウジの重質油の採算性が向上しリビアの軽質油との代替可能性が高まることも当然ですね。また石油以外の資源のことも書いてありますのでご一読ください。
【参考】 資源確保を巡る最近の動向
■ WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドチャート
WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドチャートはBloombergのInteractive Chartで表示することができ,そのスナップショットは以下の図のようです。(図をクリックすると表示のページを開きます。)
[画像]
■ WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドの理由
このスプレッドの一番の理由は,WTI原油はオクラホマ州クシンでの原油引渡し契約なのでクシンでの在庫量・精製需要に大きく影響を受けるのに対し,ブレント原油はどこにでも運べるので在庫より産油国での原油価格の影響をより受けるからです。
加えて,カナダのアルバータ州とアメリカのオクラホマを結ぶ Keystone Pipelineが完成し,カナダのオイルサンドがクシンに供給されるようになったので,これもWTI原油の在庫増に貢献する一因です。昨今のように原油価格が高止まりするとオイルサンドからの精製コストもペイしてしまうのです。需要があるところにビジネスチャンスがある米国企業の考え方からすれば驚くにはあたりませんね。
■ 原油価格ベンチマークとしてのWTIの価値
しかし,WTI-北海ブレント原油価格のスプレッドがこれからも恒常化するなら,WTI原油価格は世界の原油価格の実態を正しく表さないことになります。事実,世界最大の産出国であるサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは,既に1年以上前からWTIベンチマークを元に生産調整をするのを止めているからです。また,ユーロ圏での原油価格の指標としては事実上北海ブレントを無視することはできません。
【参考】 サウジアラムコ:米国向け原油の値決めにWTI原油を使用中止
その一方で,トレード対象としてのWTI原油の価値は高まっています。WTI原油は供給が安定する一方で北海ブレント原油が中東のイベントの影響を受けやすくなれば,先物市場ではそのスプレッドを利用して利益を上げるのはごく普通のことです。また,一般にWTI原油のほうが遅行指標になりやすくボラも少ないとなれば絶好のシステムトレードの対象となるでしょう。なお,WTI原油の生産量は世界の原油生産量の1-2%に過ぎませんがWTI先物の一日あたり取引量はその100倍の1億バレルなので,この面からも引き続き(生産調整のためのベンチマークとしてはともかく)トレード対象としてのWTI原油はこれからも重要と思います。
【参考】 A record WTI-Brent spread, a new paradigm
■ 日本政府は資源確保をどう考えているか
最後に,経産省のページに良いパッケージがありましたのでリンクを載せておきます。リビアの原油生産量は世界の中で3%にしか過ぎないこと,原油価格が上昇すれば相対的に精製コストの割合が低下することなども書いてあります。原油価格が高止まりすると,サウジの重質油の採算性が向上しリビアの軽質油との代替可能性が高まることも当然ですね。また石油以外の資源のことも書いてありますのでご一読ください。
【参考】 資源確保を巡る最近の動向
- EURO SELLER
- システムトレーダー兼中央銀行ウォッチャー



