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アングル:短観から推計の需給ギャップ改善、日銀シナリオに追い風

[東京 1日 ロイター] - 1日に発表された9月日銀短観で、企業の人手と設備がそれぞれ小幅ながら不足感を強めていることが明らかになった。日銀が重視する需給ギャップは、この結果を受けて緩やかながらプラス幅を拡大している公算が大きくなった。日銀は2%の物価目標実現に向け、予想物価上昇率と需給ギャップのプラス幅拡大を必須条件とみており、日銀シナリオの実現に追い風のデータが加わったかたちだ。

日銀が物価の動向を見るうえで重視しているのは、需給ギャップと家計・企業の物価観である予想物価上昇率。

半年おきに公表している「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、1%の需給ギャップ改善が実現すると、消費者物価指数(CPI)のうち、生鮮除くコアCPIが0.28%、食料・エネルギー除くコアコアCPIが0.16%上昇するとの試算を示してきた。

日本経済の総需要と供給力の差を示す需給ギャップは、試算に時間がかかるため、日銀では短観の設備判断と雇用人員判断をもとに「短観加重平均DI」を作成している。

9月短観を踏まえた加重平均DIは、今月8日に4─6月期の需給ギャップ試算と同時に公表される。

このDIを独自に試算しているニッセイ基礎研究所によると、9月は10.4ポイント需要超過で、6月の9.4からプラス幅が拡大した。

雇用人員判断の需要超過幅が1ポイント拡大し、生産・営業用設備判断も需要超過幅が1ポイント拡大したのが理由だ。

同DIは3月、11.1ポイントの需要超過まで改善後、6月にいったん9.4ポイントに縮小していた。今回の短観結果を受け、再びプラス幅が拡大した。

ニッセイ基礎研・シニアエコノミストの上野剛志氏は「大幅に悪化した鉱工業生産などに見られる景気悪化とは逆の動き。生産年齢人口の減少という構造要因と、機械化が難しいサービス業や採用競争で不利な中小企業が好調なのが理由ではないか」と分析する。

短観の先行き見通しから試算された12月の加重平均DIも、需要超過幅が12.7となり、さらに拡大する見通し。

日銀が物価の指標としているコアCPIは、今年8月に前年比マイナス0.1%と2年4カ月ぶりに下落した。

その一方、短観から見る限り、人手や設備の不足による需給ギャップ改善が物価を押し上げる力が働き続けている。

実際、日銀が原油安の影響を除いた物価の基調を示すため公表している、生鮮・エネルギーを除く日銀版コアコアCPIは、8月に前年比プラス1.1%まで上昇している。

もっとも原油価格の低迷長期化が鮮明化してきており、これまでの日銀見通し通り2016年度前半にコアCPIが目標の2%に達するのは難しい情勢。

政府部内には、原油安のメリットを最大限に享受するためには、物価目標2%の達成を急ぐべきではないとの声が出てきている。

しかし、政府・日銀が締結した共同声明では、早期の目標達成がうたわれている。物価目標の達成まで時間設定をどのようにしていくのか、日銀からの情報発信に対し、市場の注目度が高まっていくと予想される。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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