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今井一(はじめ)の「『解釈改憲=大人の知恵』という欺瞞」を読む

新刊「『解釈改憲=大人の知恵』という欺瞞」(現代人文社・単行本1400円)を読みました。一昨日26日には、著者・今井一さんの大学ゼミのような勉強会にも参加してきました。著書の副題は「九条国民投票で立憲主義をとりもどそう」と呼びかけています。今井さんには「『憲法九条』国民投票」(集英社新書2003年)の著作があり、私のブログでも昨年11月に2回にわたって紹介しています。

http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55614034.html

 安倍内閣の憲法無視は、ついに新安保法制の強行採決にまで到達してしまいました。10年以上前から今井さんが憂慮していた「憲法9条を護持したままで戦争に参加する」という最悪のコースが、現実の問題になろうとしています。立憲主義は、ついに完敗して安倍自民党に踏みにじられたように見えます。

 事がここにまで至ったのには、護憲勢力の方にも重い責任があったと今井さんは言います。当初は戦争の放棄は文字通りに解釈されて、「戦争はしない、軍備は持たない」と明快でした。日本語として素直に読めば、第2項の「前項の目的を達成するため」は、戦争を放棄したのだから戦力を持たず交戦もしないと解するのが常識です。これを朝鮮戦争に伴うマッカーサー指令で「自衛権はある」と、再軍備へ向けて軌道修正したので問題がややこしくなりました。

 警察予備隊が保安隊になり自衛隊へと変貌する過程で、いつしか自衛のための戦力は必要だというのが「日本の常識」になってきました。そして護憲勢力の間にさえ、自衛隊の違憲性を問わない空気がむしろ多数派になって今に至っているのです。そして憲法の条文を明快にするための改憲論は護憲派のタブーとなり、「国民投票」への強い拒否反応となって、憲法の条文にだけは手をつけさせない態度で固まっています。

 しかし、自衛のための戦争は認めるのか認めないのか、自衛隊を認めるのか認めないのか、その結論を避けている限りは解釈改憲の一翼を担っているのと同じことです。その弱点を突かれたので安倍自民党に有効な反撃ができなくなっていると今井さんは考えるのです。では、どうすればいいのか。

 国民投票法を、自民党憲法案を通すための道具として毛嫌いするのではなく、「予備的国民投票」によって「専守防衛の自衛隊」を憲法の上で安定させるという選択肢もあり得るのです。外国軍隊の駐留に制限を加えるためにも国民投票は使えます。選挙の投票日にだけ主権者になるのではなく、重要問題への発言力を国民投票によって表現することは、日本の民主主義を蘇生させるでしょう。

 ちなみに、現憲法9条の正しい解釈は「戦争放棄・戦力不保持・交戦せず」であるという点で、今井さんと私の意見は一致しました。

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